フェラーリGTC4ルッソT(FR/7AT)
使えるサラブレッド 2018.03.12 試乗記 V8ターボエンジンを搭載するフェラーリの4シーター「GTC4ルッソT」に試乗。その走りにはどんな特徴があるのか。12気筒エンジンやMRの駆動方式を採用する、ほか多くの“跳ね馬”に接してきた清水草一がリポートする。日本人には理解不能
「フェラーリ・フォー」が登場した時、正直「なんじゃこりゃ」と思った。ああ、これはいわゆるシューティングブレークなのだなと頭では理解したし、モンテゼーモロ会長(当時)がSUVの生産を拒否してこれを世に送り出したことにも、守旧派カーマニアとして喝采を送りたい部分はあったが、いかんせん「なんじゃこりゃ」だった。
そのフェラーリ・フォーがビッグマイナーチェンジを受け、「GTC4ルッソ」に生まれ変わっても、基本的なフォルムが変わってない以上、なんじゃこりゃは変わらない。なにせ私は、アストンマーティンの古いシューティングブレーク、例えば「DB6ヴァンテージ シューティングブレーク」などを見ても、エレガンスを感じるより先に「なんじゃこりゃ」と思ってしまうので。
私を含む多くの日本人には、シューティングブレークのフォルムを理解する脳内回路がないような気がする。なにせ本来、貴族が狩りに使うためのクルマだ。こちとら純農耕民ですので……。4枚ドアのシューティングブレークなら、スタイリッシュなワゴンということでオッケーだが、2枚ドアはムリだ。これはもう文化の違いと申し上げていいでしょうか?
とにかくフェラーリ・フォーおよびGTC4ルッソは、われわれ日本人にとってほぼ間違いなく「ヘンなフェラーリ」ではあるが、そのヘンなフェラーリが好きなお金持ちは確実に存在するのだから、私がこれ以上とやかく言うのはやめにしよう。