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第531回:“商品改良”によって最新技術を惜しみなく投入
改良型「マツダCX-5/CX-8」にチョイ乗りリポート

2018.10.26 エディターから一言 生方 聡
マツダの「CX-5」と「CX-8」の試乗会は栃木県栃木市のGKNドライブライン プルービンググラウンドで行われた。外周路やハンドリングコースを使って、短時間ながら改良モデルの出来栄えを確かめることができた。
マツダの「CX-5」と「CX-8」の試乗会は栃木県栃木市のGKNドライブライン プルービンググラウンドで行われた。外周路やハンドリングコースを使って、短時間ながら改良モデルの出来栄えを確かめることができた。拡大

2018年10月に相次いで改良を受けたマツダのSUV「CX-5」と「CX-8」。国内のマツダ車としては久しぶりにラインナップされたガソリンターボエンジンや、進化した車両運動統合制御技術の仕上がりを、クローズドコースでテストした。

2.5リッターガソリンターボエンジンを搭載した「CX-8」で外周路を周回する。ターボラグが小さいことや、自然吸気エンジンよりもトルクが豊かであることを体感できた。
2.5リッターガソリンターボエンジンを搭載した「CX-8」で外周路を周回する。ターボラグが小さいことや、自然吸気エンジンよりもトルクが豊かであることを体感できた。拡大
細かな改良も加えられており、「CX-5」「CX-8」とも車載インフォテインメントシステムが「Apple CarPlay」に対応した。
細かな改良も加えられており、「CX-5」「CX-8」とも車載インフォテインメントシステムが「Apple CarPlay」に対応した。拡大
上級グレードには、センターを液晶スクリーンとしたメーターパネルを採用している。
上級グレードには、センターを液晶スクリーンとしたメーターパネルを採用している。拡大

進化が止まらない

マツダの「商品改良」がすごい! フルモデルチェンジやマイナーチェンジと違って、見た目はほとんど変わっていないのに、パワートレインを大きく変えてきたり、話題の新技術を投入したりといった変更を毎年のように行っている。輸入車では「イヤーモデル制」としておなじみだが、マツダの商品改良は輸入車のそれをさらに上回る手の入れようである。

実際、今回用意されたCX-5とCX-8も改良点がてんこ盛り。主なポイントに触れるだけでこのエッセイの文字数をオーバーしてしまうので、内容についてはそれぞれのニュースをご覧いただくとして、早速テストコースで、最新のCX-5とCX-8の見どころをチェックするとしよう。
◆関連ニュース:マツダが「CX-5」を一部改良 2.5リッターターボモデルを追加設定
◆関連ニュース:マツダ、「CX-8」にガソリンモデルを追加設定

最初に試乗したのはCX-8。2017年9月に発表、同年12月に発売のCX-8にとって、今回が初の商品改良である。その一番のハイライトがエンジンの追加で、発売当初は2.2リッター直噴ディーゼルターボの「スカイアクティブ-D 2.2」だけだったラインナップに、2つの2.5リッター直噴ガソリンエンジンが加わったのだ。

ひとつは、すでにCX-5にも搭載される自然吸気の「スカイアクティブ-G 2.5」。そして、もうひとつが日本初導入となるターボの「スカイアクティブ-G 2.5T」だ。

2.5Tはすでに北米市場に導入されているもので、ノンターボの2.5が最高出力190ps/6000rpm、最大トルク252Nm/4000rpmであるのに対し、2.5Tは同230ps/4250rpm、同420Nm/2000rpmと大幅なパワーアップが図られている。今回はこの2台を乗り比べることができたのだが、最初に乗ったノンターボ仕様でも、2.5リッターという大排気量のおかげで低回転からトルクに余裕があるし、回せば自然吸気エンジンらしい気持ちよさがあって、これで十分という印象だ。

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CX-5にまさかのマニュアル

しかし、2.5Tに乗り換えるとやっぱりいいわけで、低回転からトルクが増強され、ノイズや振動がさらに抑えられることからクルマが一段と上質になったようだ。ターボでありながらアクセルペダルを踏んでから反応するまでの、いわゆる“ターボラグ”が思いのほか小さいのもこのエンジンのいいところ。そしてアクセルペダルを深く踏み込めば、極太のトルクでCX-8の巨体をぐいぐいと加速させるのだから、退屈なはずがない。

このスカイアクティブ-G 2.5TがCX-5にも投入されたのだが、よりコンパクトなボディーを持つCX-5と2.5Tの組み合わせなら、当然CX-8よりも鋭い加速が味わえるわけで、気分はほとんどスポーツカーだ。しかし、個人的に楽しかったのが、今回ラインナップに追加された6段マニュアル仕様。しかも組み合わせられるエンジンがディーゼルのスカイアクティブ-D 2.2というから驚きである。

国内の乗用車販売で、最もマニュアルの台数が多いのがマツダ。だからといってディーゼルとマニュアルの組み合わせを出してくるとは予想外だ。とはいうものの、いくらマニュアル好きの私でも、これは選ばないだろう。ところがいざ運転してみると、コクッと入るシフトとヒール・アンド・トウがしやすいペダルレイアウトのおかげで、シフト操作が楽しいのなんの! 一方、低回転からトルクに余裕があるディーゼルエンジンだけに、例えば4速なら40km/hから100km/hオーバーまでカバーするので、シフトをサボることだってできる。また、高速では6速に入れたままでも追い越しまで持っていけるから、意外に運転がラク。これならオートマチックに慣れきった身体にも優しい。この勢いで、2.5Tとマニュアルの組み合わせというのはどうだろう?(笑)

マツダによれば、初代「CX-5」の導入当初はディーゼルモデルの販売比率が80%を超えるほどだったが、2017年にはガソリンモデルの比率が40%近くまで向上しているという。
マツダによれば、初代「CX-5」の導入当初はディーゼルモデルの販売比率が80%を超えるほどだったが、2017年にはガソリンモデルの比率が40%近くまで向上しているという。拡大
「CX-5」の6段MTモデルは、特別仕様車等を除いたディーゼルモデルの全グレードに設定される。このあたりがマツダらしいところだ。
「CX-5」の6段MTモデルは、特別仕様車等を除いたディーゼルモデルの全グレードに設定される。このあたりがマツダらしいところだ。拡大
シフトフィールの良さと適切なペダルレイアウトのおかげで、「CX-5」のディーゼル×6段MT仕様にいたく満足した筆者。この勢いで2.5リッターターボ車にもMTの設定をお願いしたい。
シフトフィールの良さと適切なペダルレイアウトのおかげで、「CX-5」のディーゼル×6段MT仕様にいたく満足した筆者。この勢いで2.5リッターターボ車にもMTの設定をお願いしたい。拡大

GVCプラスで走りがアップグレード

今回の商品改良のもうひとつのハイライトが「G-ベクタリング コントロール プラス(GVCプラス)」だ。マツダは、新世代車両運動制御技術「SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS(スカイアクティブビークルダイナミクス)」の第1弾として、コーナリングの際にエンジンの駆動トルクを制御することで4輪の接地荷重を最適化する「G-ベクタリング コントロール(GVC)」を投入したが、このGVCをさらに進化させたのが、改良版のCX-5から搭載されるGVCプラスだ。GVCプラスは、旋回の前半で効果を示すGVCに加えて、ステアリングを戻す際にフロント外輪にブレーキをかけることでスムーズに直進状況に戻すというものだ。

今回は機能を比較するために、GVCプラスがオン/オフできる車両が特別に用意されたが、高速レーンチェンジではGVCプラスが機能しているほうが直進に戻るときのボディーの収まりが良く、動きがよりスムーズ。舵角が少なくて済むのも見逃せないポイントだ。また、GVCの特長を受け継ぎ、コーナー進入時の前輪の接地性が高いのと、ピッチングが抑えられることもあって、スムーズなのに素早いコーナリングができるのがうれしい。エンジンとブレーキを制御するだけのGVCプラスだが、知らなければ電子制御式サスペンションが装着されたと勘違いしてしまうほどの出来である。サーキット走行でも効果があるといい、しかも、いわゆるトルクベクタリングよりもブレーキへの負担が少ないということなので、機会があれば試してみたいところだ。

マツダでは他のモデルでも、商品改良のタイミングなどで順次GVCをGVCプラスに変更するという。常に最新技術が詰まったモデルを提供しようというマツダの戦略とともに、それを支えるエンジニアの熱意にも感心した試乗会だった。

(文=生方 聡/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)

新旧「CX-8」で高速レーンチェンジを試す。撮影していた郡カメラマンも「改良型のほうが揺れの収まりが早い」と話していた。
新旧「CX-8」で高速レーンチェンジを試す。撮影していた郡カメラマンも「改良型のほうが揺れの収まりが早い」と話していた。拡大
「GVCプラス」を搭載した「CX-5」でハンドリングコースを行く。GVCプラスはワインディングロードでの走りの楽しさを向上させるだけでなく、とっさの時の危険回避性能アップや滑りやすい路面での安定感アップといった効果も見込めるという。
「GVCプラス」を搭載した「CX-5」でハンドリングコースを行く。GVCプラスはワインディングロードでの走りの楽しさを向上させるだけでなく、とっさの時の危険回避性能アップや滑りやすい路面での安定感アップといった効果も見込めるという。拡大
「GVCプラス」の開発を手がけたマツダの車両開発本部の梅津大輔氏(写真左)に詳しい技術内容を聞く筆者。ついつい話し込んでしまい、予定時刻を大幅に過ぎてしまった。
「GVCプラス」の開発を手がけたマツダの車両開発本部の梅津大輔氏(写真左)に詳しい技術内容を聞く筆者。ついつい話し込んでしまい、予定時刻を大幅に過ぎてしまった。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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