【F1 2018 続報】第19戦メキシコGP「史上3人目の5冠達成」

2018.10.29 自動車ニュース
F1第19戦メキシコGPを4位で終えたメルセデスのルイス・ハミルトン(写真)。しかし、2戦を残して2018年のワールドチャンピオンとなった。(Photo=Mercedes)
F1第19戦メキシコGPを4位で終えたメルセデスのルイス・ハミルトン(写真)。しかし、2戦を残して2018年のワールドチャンピオンとなった。(Photo=Mercedes)拡大

2018年10月28日、メキシコのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われたF1世界選手権第19戦メキシコGP。前戦アメリカGPに続くタイトル決定戦で、王者は苦しい戦いを強いられ、挑戦者は最後の意地を見せ、そして伏兵は完勝を遂げた。

タイトル獲得間近となったメキシコで、ハミルトン(写真)はレッドブルという伏兵と、自らのタイヤマネジメントという課題と格闘することに。予選では3位、レースではスタートで2位まで上がるもトップ争いに食い込むことはできず、タイヤに足を引っ張られて4位まで後退。最後はしっかりとポジションを守りゴールすることだけに専念してチェッカードフラッグを受けた。苦しいレース展開となったが、それでもタイトル獲得には十分なポイントを追加。これで2年連続、5回目のチャンピオンとなり、ファン・マヌエル・ファンジオ(タイトル5回)、ミハエル・シューマッハー(同7回)に次ぐ5冠達成となった。「タイトルはここで決めたわけではなく、多くのレースでのハードワークにより勝ち取ったもの。ファンジオは(1954、1955年に)メルセデスでチャンピオンになっていることを考えると、信じられない喜びだね」とレース後に語った。(Photo=Mercedes)
 
タイトル獲得間近となったメキシコで、ハミルトン(写真)はレッドブルという伏兵と、自らのタイヤマネジメントという課題と格闘することに。予選では3位、レースではスタートで2位まで上がるもトップ争いに食い込むことはできず、タイヤに足を引っ張られて4位まで後退。最後はしっかりとポジションを守りゴールすることだけに専念してチェッカードフラッグを受けた。苦しいレース展開となったが、それでもタイトル獲得には十分なポイントを追加。これで2年連続、5回目のチャンピオンとなり、ファン・マヌエル・ファンジオ(タイトル5回)、ミハエル・シューマッハー(同7回)に次ぐ5冠達成となった。「タイトルはここで決めたわけではなく、多くのレースでのハードワークにより勝ち取ったもの。ファンジオは(1954、1955年に)メルセデスでチャンピオンになっていることを考えると、信じられない喜びだね」とレース後に語った。(Photo=Mercedes)
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タイトル決定戦「第2幕」の条件

1週間前のタイトル決定戦、第18戦アメリカGPでは、フェラーリのキミ・ライコネンが5年ぶりの勝利を飾り、ポールポジションから3位に終わったメルセデスのルイス・ハミルトンの戴冠は次のメキシコGPに持ち越された。

それでも、残り3戦=75点満点で、フェラーリのセバスチャン・ベッテルに70点もの大量リードを築いている、ハミルトンの圧倒的な優位は変わらなかった。8月末の第13戦ベルギーGPから勝ち星なしのベッテルは優勝が絶対条件で、さらにハミルトンが8位以下にならないと、ライバルのタイトル獲得を阻止できない。別の言い方をすれば、ハミルトンはベッテルが何位になろうが、7位=6点以上を追加すれば、史上3人目の5冠達成となるということだった。

タイトル決定戦「第2幕」の舞台は、2015年にF1に復活したメキシコのエルマノス・ロドリゲス。約2300mという、21戦中最も高地にあるサーキットでは、空気中の酸素は海抜0m地点に比べ78%しかなく、したがってパワーダウンは避けられない。さらにパワーユニットやブレーキなどの冷却効率も落ち、マシンを路面に押し付けるダウンフォースも削られてしまう。1km超の長いストレートを持つコースながら、モナコ並みにハイダウンフォース仕様としなければならないという、極めて特殊な環境である。

昨年のレースでは、ハミルトンとベッテル、マックス・フェルスタッペンの3台がオープニングラップで交錯、ベッテルと激しくヒットしたハミルトンは緊急ピットインを強いられるも、最後尾から追い上げて9位でゴールし王座に就いた。1年後の今年も、再び年間王者誕生の瞬間を迎えることになるのか。

メキシコGPの表彰台。優勝はレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右から2番目)、2位に入ったフェラーリのセバスチャン・ベッテル(同左端)、3位でレースを終えたフェラーリのキミ・ライコネン(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)
メキシコGPの表彰台。優勝はレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右から2番目)、2位に入ったフェラーリのセバスチャン・ベッテル(同左端)、3位でレースを終えたフェラーリのキミ・ライコネン(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)拡大
2番グリッドからスタートでトップを奪ったフェルスタッペン(写真先頭左端)。2位にハミルトンが上がり、ポールシッターのダニエル・リカルドは3位に落ちた。(Photo=Red Bull Racing)
2番グリッドからスタートでトップを奪ったフェルスタッペン(写真先頭左端)。2位にハミルトンが上がり、ポールシッターのダニエル・リカルドは3位に落ちた。(Photo=Red Bull Racing)拡大

レッドブル好発進、ポールポジションはリカルド

初日の金曜日に好発進を決めたのはレッドブル勢で、2回のフリー走行ともフェルスタッペン、ダニエル・リカルドの1-2。しかしライバルとの間に築いたギャップは予想以上に大きく、後続に対して1.2秒もの大差をつけたことは驚きをもって受け止められた。さらに3位には中団ルノーのカルロス・サインツJr.が食い込み、タイヤに苦しんだメルセデス、フェラーリはトップ10の後方に沈むという、今季これまでの戦況からは想像できない展開となった。

高地ゆえのパワーダウンは、どのパワーユニットにも例外なく起こることだが、より高出力なメルセデス、フェラーリのエンジンは、オーバーヒートにも余計に配慮する必要がある。結果的に非力なルノーとの差が縮まり、レッドブルはその高いマシン性能により前を取れたと見ることができた。

フェルスタッペンは土曜日のプラクティスでも1位。その後行われた予選になっても好調を維持し、いよいよ最年少ポールシッターの誕生かと思われたが、トップ10グリッドを決める予選Q3、最後のアタックでP1をかすめとったのは、僚友リカルドだった。今季はマシントラブルが多発し、リタイア7回と苦境に陥っていたオーストラリア人が、優勝した第6戦モナコGP以来となる今年2回目、通算では3回目、さらにレッドブルにとっては60回目のポールポジションを獲得した。0.026秒届かず惜しくも2位となったフェルスタッペンだったが、レッドブルは2013年シーズンを最後に遠ざかっていた最前列独占を成し遂げたのだった。

チャンピオンを争う2人は2列目に並び、ハミルトン予選3位、ベッテル4位。バルテリ・ボッタス5位、ライコネン6位と、3列目もメルセデスとフェラーリが分け合った。トップ3チームに次いだのは、コンストラクターズランキング4位につけるルノー勢で、ニコ・ヒュルケンベルグ7位、カルロス・サインツJr.8位。シャルル・ルクレール9位、マーカス・エリクソン10位と、ザウバーの2台が5列目からスタートすることとなった。

3回のフリー走行すべてでトップタイムをマークしたレッドブルのフェルスタッペン(写真)。ベッテルが保持する史上最年少ポールシッター記録の更新に期待がかかったが、予選Q3ではチームメイトのリカルドにお株を奪われ惜しくも2番グリッド。昨年に続く2連勝がかかったレースでは、スタートでトップ奪取に成功、ライバルがタイヤのマネジメントに苦しむ一方で快走を披露し、チームの地元で劇的優勝を飾った7月のオーストリアGP以来となる今季2勝目、通算5勝目を記録した。(Photo=Red Bull Racing)
3回のフリー走行すべてでトップタイムをマークしたレッドブルのフェルスタッペン(写真)。ベッテルが保持する史上最年少ポールシッター記録の更新に期待がかかったが、予選Q3ではチームメイトのリカルドにお株を奪われ惜しくも2番グリッド。昨年に続く2連勝がかかったレースでは、スタートでトップ奪取に成功、ライバルがタイヤのマネジメントに苦しむ一方で快走を披露し、チームの地元で劇的優勝を飾った7月のオーストリアGP以来となる今季2勝目、通算5勝目を記録した。(Photo=Red Bull Racing)拡大
キャリア通算で52勝、2010年からチャンピオンシップ4連覇を達成したベッテル(写真)は、トップ3グリッドより下からのスタートで勝ったことがない。ハミルトンに70点もの先行を許し迎えたメキシコGPでは優勝が絶対条件となったものの、ハミルトンのひとつ後ろ、4番グリッドからのスタートとなった。今季これまでスピンや接触が多く、何かと批判の対象となってきたが、それでもメキシコでは最善の走りで2位フィニッシュ。「今日はマックス(フェルスタッペン)の日、そして何よりルイス(ハミルトン)の日だったから、2人におめでとうと伝えたい」と話すベッテル。この週末を通じてやや落ち込んだ印象を受けたが、最後の局面で元王者の意地をみせた。フェラーリのエースには、今年残り2戦と、来季に期待をかけたい。(Photo=Ferrari)
キャリア通算で52勝、2010年からチャンピオンシップ4連覇を達成したベッテル(写真)は、トップ3グリッドより下からのスタートで勝ったことがない。ハミルトンに70点もの先行を許し迎えたメキシコGPでは優勝が絶対条件となったものの、ハミルトンのひとつ後ろ、4番グリッドからのスタートとなった。今季これまでスピンや接触が多く、何かと批判の対象となってきたが、それでもメキシコでは最善の走りで2位フィニッシュ。「今日はマックス(フェルスタッペン)の日、そして何よりルイス(ハミルトン)の日だったから、2人におめでとうと伝えたい」と話すベッテル。この週末を通じてやや落ち込んだ印象を受けたが、最後の局面で元王者の意地をみせた。フェラーリのエースには、今年残り2戦と、来季に期待をかけたい。(Photo=Ferrari)拡大

フェルスタッペン、スタートでトップを奪う

このレースで各陣営が手こずることになったのがタイヤの使い方だ。ピレリはメキシコに、硬い方からスーパーソフト、ウルトラソフト、ハイパーソフトを持ち込んだのだが、実質的に予選用タイヤとなる一番やわらかいハイパーソフトは極端にライフが短く、また一番長持ちしそうなスーパーソフトですらマネジメントに苦心するほど。上位6台は中間のウルトラソフト、以降10番手まではハイパーソフトを装着し、71周のレースに旅立っていった。

長いストレートの後のターン1でトップを取ったのはフェルスタッペン、抜群の出だしで2位に上がったのはハミルトン。ポールシッターのリカルドは3位に落ち、ベッテル、ボッタス、ライコネンらが続いた。5周目にマクラーレンのフェルナンド・アロンソがトラブルでマシンを止めバーチャルセーフティーカーが出るも、トップランナーはピットに飛び込まず。しかし1位フェルスタッペンの2秒後方を走っていた2位ハミルトンからは、タイヤのもろさを訴える無線が飛び、10周もするとギャップは5秒台にまで広がっていた。苦しんでいたハミルトンとボッタスは、12周目にスーパーソフトに変更。さらに翌周リカルド、14周目には首位フェルスタッペンもこの動きにならった。一方フェラーリ勢は18周目までスタートタイヤでの走行を続けた。

タイヤ交換が一巡すると、1位フェルスタッペン、8秒後方に2位ハミルトン、トップから10秒差で3位リカルド、同じく13秒後方に4位ベッテルという順位。ハミルトンは余裕でチャンピオンとなれる位置にいたが、特にフロントタイヤの状態が思わしくなく、レース的には余裕がない状況。1秒以上速く走る首位快走のフェルスタッペンから徐々に後れを取っていった。

31周目、ルノーのサインツJr.がマシンをコース脇に止め、再びバーチャルセーフティーカーの指示が出るも、メルセデスはハミルトンをコースにとどめた。ゴールまで道半ば、メルセデス勢はそもそも替える最適なタイヤを持ち合わせておらず、我慢のレースを強いられていた。

ホンダは、ストレスのかかる高地メキシコでの戦いに実績ある旧スペックのパワーユニットを採用。トロロッソのブレンドン・ハートレーは予選14位、ピエール・ガスリー(写真)は15位ながらパワーユニットとギアボックスを交換したことで降格ペナルティー。最後尾スタートとなった。レースではガスリーが着実にポジションを上げ続け、今年5回目の入賞となる10位。ハートレーは12位でゴールしたが、エステバン・オコンとの接触で5秒加算のペナルティーを受け14位だった。(Photo=Toro Rosso)
ホンダは、ストレスのかかる高地メキシコでの戦いに実績ある旧スペックのパワーユニットを採用。トロロッソのブレンドン・ハートレーは予選14位、ピエール・ガスリー(写真)は15位ながらパワーユニットとギアボックスを交換したことで降格ペナルティー。最後尾スタートとなった。レースではガスリーが着実にポジションを上げ続け、今年5回目の入賞となる10位。ハートレーは12位でゴールしたが、エステバン・オコンとの接触で5秒加算のペナルティーを受け14位だった。(Photo=Toro Rosso)拡大
18戦して7回、今年誰よりもリタイアが多かったレッドブルのリカルド(写真)。前戦アメリカGPでも序盤の4位走行中に突如マシンがストップ、悔しさのあまり部屋の壁をパンチして穴を開けたほどいら立ちを募らせていたという。続くメキシコGPでは、チームメイトのフェルスタッペンにリードされる展開から、予選Q3では渾身(こんしん)のアタックで0.026秒差をつけ、13戦ぶりのポールポジションを獲得。通算3回のうち、モナコ以外では初となるポールだ。レースではスタートで3位に落ちるも2位に挽回。レッドブル1-2を守っていたところに、またもマシンが止まってしまった。起死回生のポールから一転、8回目のリタイアを喫し失意のどん底に落とされたリカルド。レッドブルでの最後の2戦で、トレードマークの満面の笑みは戻るのだろうか。(Photo=Red Bull Racing)
18戦して7回、今年誰よりもリタイアが多かったレッドブルのリカルド(写真)。前戦アメリカGPでも序盤の4位走行中に突如マシンがストップ、悔しさのあまり部屋の壁をパンチして穴を開けたほどいら立ちを募らせていたという。続くメキシコGPでは、チームメイトのフェルスタッペンにリードされる展開から、予選Q3では渾身(こんしん)のアタックで0.026秒差をつけ、13戦ぶりのポールポジションを獲得。通算3回のうち、モナコ以外では初となるポールだ。レースではスタートで3位に落ちるも2位に挽回。レッドブル1-2を守っていたところに、またもマシンが止まってしまった。起死回生のポールから一転、8回目のリタイアを喫し失意のどん底に落とされたリカルド。レッドブルでの最後の2戦で、トレードマークの満面の笑みは戻るのだろうか。(Photo=Red Bull Racing)拡大

ハミルトン5冠達成、フェルスタッペンは自身5勝目

弱り目のライバルに襲い掛かったのがベッテルだった。フェラーリとてタイヤに不安を抱えていないわけではなかったが、34周目にリカルドをオーバーテイクし3位に上がると、2秒前方のハミルトンには瞬く間に追いつき、39周目、ハミルトンを鮮やかに抜き去り2位に。その後はファステストラップを連発しながら、今度は13秒前のフェルスタッペンに照準を合わせた。

もはや力の残っていないハミルトンは、47周目にリカルドにも先を越され4位。これを見たメルセデスはタイヤ交換の準備を始め、その動きに呼応するかのようにフェラーリのピットクルーも新しいタイヤに手をかけた。48周目、ベッテルとハミルトンが同時にピットに入り、中間のウルトラソフトを装着。ベッテルは3位、ハミルトンは5位でコースに戻った。続いてトップのフェルスタッペンもタイヤを交換したのだが、こちらは温存していたスーパーソフトを装着し、1位を譲ることなく、7秒後ろに2位リカルドを従えてひたすらゴールを目指した。

1位フェルスタッペン、2位リカルド、3位ベッテル、4位ライコネン、5位ハミルトン、6位ボッタスと、レッドブル、フェラーリ、メルセデスがきれいに隊列を組んだレース終盤、その序列を崩さんと好走を続けたベッテルがリカルドに食らいついた。リカルドもファステストラップでこれに応じたものの、残り10周、またしても彼のレッドブルは音を上げ、白煙を吹いた後にターン1でストップ、今年8度目のリタイアとなってしまった。

3度目のバーチャルセーフティーカーを使い、ボッタスが3度目のタイヤ交換を行いハイパーソフトに換装。この日のメルセデスには王者としての輝きはなく、ハミルトン4位、ボッタスはラップダウンの5位でフィニッシュしたのだった。

それでも、ハミルトンにとっては十分な結果だった。ベッテルが2位でゴールラインを通過した瞬間に、彼は2018年のワールドチャンピオンになったのだ。マクラーレンで初戴冠となった2008年から数えて5回目の世界一の称号。ファン・マヌエル・ファンジオ、ミハエル・シューマッハーに次ぐ3人目の5冠達成となった。

2年連続してメキシコGPを制したフェルスタッペンは、僅差でポールを逃した土曜日の夜、悔しさのあまり眠れなかったことをレース後に明かした。ポールポジションなしでの勝利数としては歴代最多となるキャリア5勝目。今後、常に予選でもトップを狙えるマシンを手に入れられたら、やや不名誉なこの記録も気にならなくなるはずである。前回優勝したオーストリアGP同様、勝てる機会を逃さない勝負強さを既に持ち合わせているのだから、焦る必要はない。

“チェコ”の愛称で親しまれるメキシコのヒーロー、セルジオ・ペレス(写真)。2015年のカレンダー復活以来、毎回入賞している母国GPだが、今年は予選よりもレースでの戦いやすさを優先したタイヤ選択で中団の13番グリッドからスタート。ポイント獲得を目指したものの、ブレーキのトラブルで無念のリタイアを喫した。なおペレスは、来季もレーシングポイント・フォースインディアに乗ることが決まっている。またチームは、シーズン途中の破産により今季12戦分のポイントを奪われたものの、新生レーシングポイント・フォースインディアとなってから既に47点を取り返しており、コンストラクターズランキングは7位まで挽回してきている。(Photo=Racing Point Force India)
“チェコ”の愛称で親しまれるメキシコのヒーロー、セルジオ・ペレス(写真)。2015年のカレンダー復活以来、毎回入賞している母国GPだが、今年は予選よりもレースでの戦いやすさを優先したタイヤ選択で中団の13番グリッドからスタート。ポイント獲得を目指したものの、ブレーキのトラブルで無念のリタイアを喫した。なおペレスは、来季もレーシングポイント・フォースインディアに乗ることが決まっている。またチームは、シーズン途中の破産により今季12戦分のポイントを奪われたものの、新生レーシングポイント・フォースインディアとなってから既に47点を取り返しており、コンストラクターズランキングは7位まで挽回してきている。(Photo=Racing Point Force India)拡大

メルセデスの勝因、フェラーリの敗因

メキシコの大観衆の前で「最悪のレースだったよ!」と振り返るハミルトンの表情はその言葉とは裏腹に晴れやか。5度目のタイトルについて「まだ実感がわかないんだ」と言いつつも、1年間支えてくれたチームクルーと抱擁し喜びを分かち合っていた。

今シーズンは開幕からベッテル&フェラーリの台頭が目覚ましく、ハミルトンの今季初優勝は、棚ぼた感が否めなかった第4戦アゼルバイジャンGPまで待たなければならなかった。チャンピオンシップリーダーが5回も変わった激闘のシーズン前半は、しかし後半に入りハミルトンのワンサイドゲームと化してしまった。今季これまで唯一のリタイアとなる7月の第9戦オーストリアGPを境に、ハミルトンは9戦連続してポディウムフィニッシュ。このうち優勝は6回という、圧倒的な強さで一気に王座まで上り詰めた。

その裏には、宿敵ベッテル&フェラーリの、決して少なくない取りこぼしもあった。アゼルバイジャンGPをはじめ、フランスGPドイツGPイタリアGP日本GP、そしてアメリカGPと、勝利を狙える位置にいながらスピンやクラッシュで下位に沈むことが多々あり、また夏休み以降、フェラーリがマシン開発競争でメルセデスに後れを取ったことも事実だった。一方で、カナダGPイギリスGPベルギーGPなど、これまでメルセデスのテリトリーだったコースでの勝ちっぷりには、元王者の底力を感じずにはいられなかった。

今年のフェラーリは、メルセデスをしのぐほどの完成度の高いマシン&パワーユニットを手がけることができた。2年目の銀と赤の頂上対決は、昨年と同じようにハミルトンの圧勝となったが、挑戦者フェラーリに足りなかったのは、ドライバー、チームが一丸となって、組織として劣勢をはね返す継続的な力だった。メルセデスの勝因は、まさにその点に尽きるのだ。

残り2戦となった2018年シーズン、アメリカ大陸3連戦の最後はブラジルGP。決勝は11月11日に行われる。

(文=bg) 
 

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