第565回:マツダの未来を占うクルマ
新型「マツダ3」に見るSKYACTIVの進化

2019.03.27 エディターから一言
マツダの次世代商品群の嚆矢(こうし)となる新型「マツダ3」。2018年のロサンゼルスモーターショーで発表された。
マツダの次世代商品群の嚆矢(こうし)となる新型「マツダ3」。2018年のロサンゼルスモーターショーで発表された。拡大

日本でもデビュー前から大きな話題を集めている新型「マツダ3」。電動化が世の趨勢(すうせい)となっている中で、ICE(内燃機関エンジン)への強いこだわりを見せ、究極の燃焼技術と言われるHCCI(予混合圧縮着火)に近い、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を用いた新エンジン「SKYACTIV-X」を初搭載するだけでなく、シャシー系のテクノロジーやデザインなども刷新される新世代モデルの第1弾となる。

自動車メーカーとしての規模はそれほど大きくないが、ユニークかつ原理主義的な発想で大きな存在感を示しているマツダの今後を占う意味で、新型マツダ3には注目せざるを得ない。今回は現行のマツダ3(アクセラ)と比較しつつ、マツダの次世代商品の進化を見てみたい。

マツダが「魂動(こどう)=Soul of Motion」というデザインテーマを掲げ始めたのは2010年のこと。写真はそのデザインを体現したコンセプトカーの第1弾となった「靭(SHINARI)」。
マツダが「魂動(こどう)=Soul of Motion」というデザインテーマを掲げ始めたのは2010年のこと。写真はそのデザインを体現したコンセプトカーの第1弾となった「靭(SHINARI)」。拡大
2017年の東京モーターショーで発表された、ハッチバック車のコンセプトモデル「魁(かい)コンセプト」。「ビジョン クーペ」ともども、マツダが「深化した魂動デザイン」と説明する新しいデザインテーマを体現したモデルだった。
2017年の東京モーターショーで発表された、ハッチバック車のコンセプトモデル「魁(かい)コンセプト」。「ビジョン クーペ」ともども、マツダが「深化した魂動デザイン」と説明する新しいデザインテーマを体現したモデルだった。拡大
新型「マツダ3」のデザインには、「魁コンセプト」の影響が色濃く見られる。
新型「マツダ3」のデザインには、「魁コンセプト」の影響が色濃く見られる。拡大
現行モデルと同じく、新型「マツダ3」には5ドアハッチバックとともに4ドアセダンもラインナップされる。
現行モデルと同じく、新型「マツダ3」には5ドアハッチバックとともに4ドアセダンもラインナップされる。拡大

新しいデザインは「引き算の美学」

現行モデルは、2012年の「CX-5」「アテンザ」に続く新世代商品の第3弾として2013年に登場。生命感をカタチにする「魂動」デザインは、アテンザなど全長の長いモデルでは四肢動物が後ろ足を蹴って体が伸びきったさまを思わせるエレガンスな表現となっていたが、ハッチバックのアクセラでは、蹴り出す手前で力をため、それを解き放とうとする瞬間を思わせるイメージにこだわっている。自動車を単なる機械として捉えるのではなく、クレイモデラーや生産技術のエンジニアらの職人技が生きる、アナログな輝きにまでこだわることで生命感を吹き込んだ。

その魂動デザインの2周目は、「引き算の美学」という考え方が用いられている。新型マツダ3の、特にハッチバックのほうは、サイドのキャラクターラインをはじめとした各部の要素を減らし、本質的なフォルムや面構成の美しさで勝負。バウハウスには「Less is more.」という概念があるが、減らすことでより豊かになるというのは、新しい魂動の美学に通じるところだろう。

近年は、いかにも生産技術が求められそうな、エッジの効いたキャラクターラインを大胆に使って目を引くデザインも多かったが、メルセデス・ベンツの「CLS」や「Aクラス」、BMWの「8シリーズ」や「3シリーズ」などもこれを改め、ツルンとしたシンプルな面構成を新たなデザイン言語とし始めている。

ただ、日本のカーデザインが世界をリードしているということはうれしく思うが、ここまで要素を減らしてシンプルになってくると、ボンネットの前部の切り欠きラインが目につく。アウディがクラムシェル型ボンネットで無駄なラインを消しているように、なんらかの手が打てなかったものかと思うのだ。

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