第49回:偉大なるエンツォ・フェラーリ
勝利を追い求めたアジテーター
2019.05.16
自動車ヒストリー
戦前から続くモータースポーツ界の名門であり、スーパーカーメーカーとしても不動の地位を築いているフェラーリ。その創業者が“総帥”エンツォ・フェラーリである。レースに情熱をささげた彼の生涯を、モータースポーツの変遷とともに振り返る。
“母”を殺し、息子を失う
1956年6月30日、エンツォ・フェラーリは最愛の息子が息を引き取るのをみとった。重い病に冒された長男のアルフレードは、死の床でも新しい6気筒エンジンの構想を語り続けたという。彼の死後、それは「ディーノ206」というミドシップ・スポーツカーとして現実のものとなる。“ディーノ”とは、フェラーリ家が代々長男につける名前アルフレードの愛称である。
息子を亡くす5年前、エンツォは“母”を失っている。
「私は母親を殺してしまった」
1951年のイギリスGPでエンツォの率いるスクーデリア・フェラーリは、それまで負け知らずだったアルファ・ロメオを破って初優勝した。自分がレース人生をスタートさせたチームを打ち倒したことを、彼は誇りと感傷が入り交じった気持ちで受け止めたのだ。
エンツォは、1898年にフェラーリ家の次男として生を受ける。父は金属工場を経営していた。フェラーリという家名は、イタリア語で鉄を表す“ferro”に由来している。23歳の時、エンツォはテストドライバーとしてアルファ・ロメオで働き始めた。その後レースで走るようになるが、華々しい活躍を残してはいない。当時、チームにはウーゴ・シヴォッチ、アントニオ・アスカリといった名ドライバーがいたのだ。
彼は1923年6月にラヴェンナで行われたレースで初優勝を果たす。表彰式の後、一人の男が彼に話しかけた。第1次大戦中に34機の敵機を撃ち落とした英雄フランチェスコ・バラッカの父親である。彼は息子が愛機に描いていたシンボルの跳ね馬(キャバリーノ・ランパンテ)を、意気盛んな若者に贈ると申し出た。
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