ダイハツ・タフトG(FF/CVT)/タフトGターボ(FF/CVT)
異なる道を切り開け 2020.09.03 試乗記 スズキの1強状態が続いていた軽クロスオーバーSUV市場に、ダイハツが送り込んだニューモデル「タフト」。ライバルとは異なるアプローチをとり、独自のキャラクターを確立したこのクルマは、マーケットに一石を投じる存在となるか?異物感にたじろぐ
試乗会の数日前、街なかで偶然タフトを見かけてたじろいだ。まわりの風景から浮かび上がっているように見えたのだ。東京オートサロンの会場に置かれていたときは、都会的でクールだな、と冷静に観察していた。しかし、公道を走っていると、これはかなりインパクトのある見た目である。異物感が強い。「スズキ・ハスラー」対抗と目されているわけだが、ビジュアルで明確な差別化を図ることには成功した。
はっきりとしたキャラクターを持っていることは、後発の製品としては極めて重要だ。ダイハツが2015年に発売した「キャスト」は、その点で物足りなかったように思う。軽ハイトワゴンの新たな選択肢を提供する意図があったはずだが、「アクティバ」「スタイル」「スポーツ」という3種のタイプを用意したことで印象が分散してしまった。今となっては、どんな形をしていたのか思い出せない。律義にユーザーの好みに応えようとしたことがアダとなり、アピールが弱くなってしまった。
リベンジマッチとなる今回は、戦略を練り直してきたようである。誰にでも好かれる八方美人を目指すのはやめ、自らの主張を貫いている。SUVテイストというコンセプトは共通していても、ハスラーとは異なる道を開拓しようという気概が感じられるのだ。ダイハツのオフィシャルコメントとしては「ハスラーに対抗するというより、このジャンルを一緒に盛り上げていきたい」ということで、異なる個性だからこそマーケット拡大に貢献することができる。
ハスラーは2020年7月の販売台数が前年同月比117.2%で、軽自動車の車名別ランキングで5位、登録車を含めた総合順位で10位に入るという好調な売れ行き。タフトも軽自動車の順位で8位に入っており、マーケットには早くも競合効果が表れているようだ。軽自動車の世帯あたり普及台数は2019年に前年比0.1%減と44年ぶりの減少に転じたが、軽クロスオーバーSUVというジャンルを拡充できれば、まだ伸びしろはあるはずだ。
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