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第636回:アウディのスポーツモデルにイッキ乗り! フォーシルバーリングスが掲げる速さの流儀とは?

2020.12.26 エディターから一言
富士スピードウェイの1コーナーに進入する「アウディR8」。
富士スピードウェイの1コーナーに進入する「アウディR8」。拡大

webCG編集部員が、富士スピードウェイでアウディのスポーツモデルの走りを体験。「RS」モデルに試乗し、レーシングカーに揺さぶられ、おまけに電気自動車「e-tronスポーツバック」までサーキットでドライブした記者が、“走りのアウディ”の今と未来をリポートする。

ブリーフィングルームにて記者が案内されたテーブルに、さん然と輝く「1」の札。久々のサーキット取材にすっかりハイになった記者は、会場の富士スピードウェイに一番乗りしてしまった。
ブリーフィングルームにて記者が案内されたテーブルに、さん然と輝く「1」の札。久々のサーキット取材にすっかりハイになった記者は、会場の富士スピードウェイに一番乗りしてしまった。拡大
アウディスポーツ社は、レース活動や高性能モデルの開発を担うアウディの子会社。かつてのクワトロ社が2016年に改組・改称し、現在の姿となった。
アウディスポーツ社は、レース活動や高性能モデルの開発を担うアウディの子会社。かつてのクワトロ社が2016年に改組・改称し、現在の姿となった。拡大
アウディ ジャパンは、当イベントの直前に新型の「RS 7スポーツバック」と「RS 6アバント」(写真)、「RS Q8」の日本導入を発表したが、今回は、これら最新モデルの試乗はかなわなかった。
アウディ ジャパンは、当イベントの直前に新型の「RS 7スポーツバック」と「RS 6アバント」(写真)、「RS Q8」の日本導入を発表したが、今回は、これら最新モデルの試乗はかなわなかった。拡大
ピットレーンにて、走行開始を待つアウディスポーツの各モデル。これ、全部足したら、お値段幾らで何馬力になるのかしら?
ピットレーンにて、走行開始を待つアウディスポーツの各モデル。これ、全部足したら、お値段幾らで何馬力になるのかしら?拡大

アウディに乗って富士の本コースを走りまくる

“1”と書かれたプラスチック製のタグを記者に手渡しつつ、顔見知りのアウディ広報氏がニッコリする。

「ほったさんが一番乗りですよ」

うーん。気恥ずかしい。得難い機会にテンションがハイになり、キモチが浮き立っていたのを見透かされたようである。しかしそれもむべなるかな。国際格式のサーキットをメーカー自慢の高性能モデルで走れるというのは、こうしてギョーカイに身を置く身でも、そうあることではないのだ。

時は晩秋。場所は富士スピードウェイ。記者はアウディによるサーキット走行体験会「Audi Sport Circuit Test Drive」に赴いていた。お題となるは、主にアウディスポーツが手がけた高性能モデルだ。

読者諸兄姉におかれては耳タコな話だろうが、アウディスポーツというのは、アウディの傘下にあってモータースポーツ活動や高性能スポーツモデルの開発を担う組織だ。アウディの各車種にラインナップされるハイパフォーマンスバージョン、RSモデルを手がけているのも彼らである。

そんなアウディスポーツのクルマを、とっかえひっかえ、富士の本コースで走らせられるというのだからぜいたくなお話。取材メディアとしてwebCGに声をかけてくれたアウディ ジャパンに感謝しつつ、同時に武蔵野の小市民は、「今回の試乗車を全部足し算したら、何馬力でお幾らになるのかしらん?」と想像して、いささか緊張した。

しかしネタばれしてしまうと、記者は終始、非常にリラックスして運転を楽しむことができた。アウト/インラップ含め都合14周のスポーツ走行に、レーシングカーの同乗体験×2本までセットになっていたのだから、終わってみれば体はヘトヘト。しかし過去の類似したイベントとは異なり、サーキットを走るのに精いっぱいで「クルマのことなど全然わからん!」といった事態にはならなかった。

飛ばしていてもなぜか安心

なんで記者のごとき未熟者でも緊張せずにいられたかというと、ひとつは今回の走行会が「目を三角にしてクリッピングポイントを削り取る」ような代物ではなかったからだ。走行はすべて先導車アリで、ホームストレートでの最高速は220km/hが目安。パナソニックのゲートを越えたらブレーキを踏み始め、1コーナーの速度は60km/h指定である。富士を走ったことがある御仁なら、これらのお約束から“肩ひじの張り具合”を察することができるだろう。

そしてもひとつ。別にヨイショするわけじゃないけど、今回のお題がアウディのスポーツモデルだったというのも大きかったと思う。……などと書くと、当方のドライビングスキルを知る方々からは「お前にそんな繊細なことが分かるの?」と指を差されそうだが、それがね、分かったんですよ今回は。単純に「やっぱ4WDはスゴいな」というのに加え、アウディのラインナップに共通する「野生<知性」な運転感覚や、シャシーやブレーキに見るマニアックなつくり込みと品質の高さが、手足と尻からカチッとした操作感として伝わってきて、なんだか安心できたのである。

ちゃんとした批評は山田弘樹氏の試乗記におまかせするとして、記者の感想を述べさせていただくと、まず試乗に供されたのは「R8クーペV10パフォーマンス5.2 FSIクワトロSトロニック」。いきなりの大御所登場である。そして読者諸兄姉ならお察しのことと思うが、上述の条件下でのスポーツ走行は、このクルマにとってはお散歩みたいなものであった。

各部からのインフォメーションに「何かが起きそう」という気配は一切なく、なんというか、非常に自由が利く。もちろんアドバン→ダンロップといった高速コーナーでブレーキを踏んだりしたら、どこかにすっ飛んでいってしまうのだろうが、つまりはワザと誤った運転でもしないかぎり、(今回くらいのペースでは)このクルマで怖い思いをすることはまずないように思えた。

今回のイベントは、サーキットで限界性能を確かめるという鼻息の荒いものではなく、広々とした環境で各車のキャラクターを味わうというものだった。
今回のイベントは、サーキットで限界性能を確かめるという鼻息の荒いものではなく、広々とした環境で各車のキャラクターを味わうというものだった。拡大
最初に試乗したのは「R8」。エンジンをミドシップ搭載し、後輪駆動ベースのフルタイム4WDと組み合わせたスーパースポーツだ。
最初に試乗したのは「R8」。エンジンをミドシップ搭載し、後輪駆動ベースのフルタイム4WDと組み合わせたスーパースポーツだ。拡大
白いクロスステッチのシートがまぶしい「R8」の車内。色移りしそうな服を着てこなくて、本当によかった。
白いクロスステッチのシートがまぶしい「R8」の車内。色移りしそうな服を着てこなくて、本当によかった。拡大
細いスポークの向こうに見える、巨大な赤いキャリパー。利きのよさや自然な制動の立ち上がりに加え、精緻ですっきりとした操作フィールにも驚かされた。
細いスポークの向こうに見える、巨大な赤いキャリパー。利きのよさや自然な制動の立ち上がりに加え、精緻ですっきりとした操作フィールにも驚かされた。拡大

スーパーカーならではの“ありがたみ”

コーナリングでは精緻で逃げのないブレーキのタッチと、自然でスムーズな回頭性が実に気持ちよし。フロントの軽さはミドシップならではだが、同時にミドシップならではの怖い感じがしないのは、4WDのなせる業か、はたまた245幅の「ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2」タイヤの恩恵なのか。多分両方なんでしょう。中庸でわざとらしいところがなく、R8は非常にクリアに旋回する。

そしてなにより、今や希少な自然吸気の高回転型V10エンジンよ。ストレートの中ごろで音色が変わってからのハイトーンはもう、旧人類である記者を泣かせにかかってる。この音だけでももう、あなたは真正のスーパーカーですよ……。

かようにありがたい、それこそ手をすり合わせたくなるほどありがたいR8から「RS 3セダン」に乗り換えると、コンパクトセダンならではのとっつきやすさと、2.5リッターターボ+4WDがかなえる高機動っぷりに、「ああこれがRSであった」と目が覚めた。

というのも、実はスーパーカーのR8は、同じアウディスポーツ製のモデルではあっても、RSシリーズの一台ではないのだ。冒頭でも述べた通り、RSとはアウディのセダンやワゴンやSUVをベースとした高性能モデルで、実用性の高さと速さの両立にその神髄がある。同シリーズの起源となったのが、1994年デビューのコンパクトワゴン「RS2アバント」であることを示せば、ご理解いただけるだろう。

その特徴はドライブフィールにも表れていて、例えば同じハイパフォーマンスモデルでも、「ホンダ・シビック タイプR」のように分かりやすく高性能ぶりをアピールしてはこない。前2輪をがばちょと広げ、べったり路面に押し付けて「どんなスピードでも曲がってみせまっせ!」と主張するのがタイプRなら、マス感の小ささと賢い4WDでもって、スパー、スパーとコーナーを抜けていくのがRS 3。あっちがタコ焼きなら、こっちは明石焼き。

「R8」に搭載される5.2 FSIは、今となっては珍しい自然吸気の高出力エンジン。620PSの最高出力を8000rpmで発生する。
「R8」に搭載される5.2 FSIは、今となっては珍しい自然吸気の高出力エンジン。620PSの最高出力を8000rpmで発生する。拡大
ロー&ワイドなボディーに内燃機関のスポーツカーの楽しさを満載していた「R8」。「こんなクルマを楽しめるのも、あとどれくらいだろう?」と思うと、降りるのが惜しくなった。
ロー&ワイドなボディーに内燃機関のスポーツカーの楽しさを満載していた「R8」。「こんなクルマを楽しめるのも、あとどれくらいだろう?」と思うと、降りるのが惜しくなった。拡大
グリーンのボディーが鮮やかな「RS 3セダン」。個人的に「これぞRS!」と勝手に思い込んでいる一台だ。
グリーンのボディーが鮮やかな「RS 3セダン」。個人的に「これぞRS!」と勝手に思い込んでいる一台だ。拡大
1994年に登場した“元祖RS”こと「RS2アバント」。このサイズのボディーに直5エンジンを搭載して……と聞くと、エンジンの縦置き/横置きの違いはあれど、「RS 3セダン/スポーツバック」こそが、その直系の子孫な気がしてくる。
1994年に登場した“元祖RS”こと「RS2アバント」。このサイズのボディーに直5エンジンを搭載して……と聞くと、エンジンの縦置き/横置きの違いはあれど、「RS 3セダン/スポーツバック」こそが、その直系の子孫な気がしてくる。拡大

似ているようで確かに違う3兄弟

この(高性能車の割に)奥ゆかしいフィーリングは、エンジンやブレーキにも共通するものがあって、RS 3セダンからは常にどこかしら上品さというか、余裕を感じる。パワートレインは1コーナーからの再加速などできっちりレッドゾーンまで引っ張ってシフトアップ! そのたびに「ボッ」とか「フバンッ」とか言ってこちらの気分を盛り上げるのだが、それでも1気筒500ccぶんのゆとりか、今回の走らせ方では……なんと言ったらいいのやら。エンジンに頼りがいを感じることはあれど、“頑張っている感”を覚えることはなかった。

こうしたRS 3セダンの印象は、同じエンジン、同じ駆動システム、同じコンパクトクラスの「TT RS」や「RS Q3」にも共通していて、いずれもとっつきやすく、もちろん速く、頑張って走らせてもどこか安心感がある。そしてこの3台については、共通部分が鮮明だからこそ違いも分かりやすく、それが有意義で楽しかった。

TT RSは、当然のことRS 3セダンよりマスが小さく地面に張り付く感じが強く、なによりクルマとの一体感が濃い。右旋回時にはセンターコンソールに左足を当てて体を支えられ、強くブレーキングすると、低い位置に据えられたシートの背もたれが反力を受け止めてくれる(着座位置が高いクルマでは膝が折れるので、強くブレーキを踏むと体が浮き上がるのだ)。このコックピット環境だけでも、クルマに対する印象が全然変わる。

一方のRS Q3は、車高が高いぶんクルマの挙動が分かりやすく、またエンジンにはスロットルオン時にわずかなタメが感じられた。こんなこと言うと語弊があるが、不等長排気のブイハチっぽい回転フィールといい、なんか、ちょっと、アメ車っぽい。……などと書くと眉をひそめる向きもおられようが、普段使いではこのくらいリズムやパルス感があるほうが、きっと楽しいことでしょう。

よりスピード域が上がれば話は別なのだろうが、今回の試乗では、「RS 3セダン」からは終始“ゆとり”が感じられた。
よりスピード域が上がれば話は別なのだろうが、今回の試乗では、「RS 3セダン」からは終始“ゆとり”が感じられた。拡大
直5モデルの中でもひときわクルマとの一体感が濃かった「TT RSクーペ」。タイトなコックピットのつくりといい、やっぱりスポーツカーはこうでないと!
直5モデルの中でもひときわクルマとの一体感が濃かった「TT RSクーペ」。タイトなコックピットのつくりといい、やっぱりスポーツカーはこうでないと!拡大
「TT RSクーペ」のシート位置は低く、足を伸ばしたらその先にペダルがある感じ。強くブレーキを踏むと、腰や背中をぐっとシートに押し付ける形になり、体が安定するのだ。
「TT RSクーペ」のシート位置は低く、足を伸ばしたらその先にペダルがある感じ。強くブレーキを踏むと、腰や背中をぐっとシートに押し付ける形になり、体が安定するのだ。拡大
「RS Q3」はSUVなので、当然ながら「RS 3セダン」や「TT RS」よりはロールやピッチが大きめ。エンジンも、少しだけおおらかな味つけだった気がしたが、記者にとってはそれも好印象だった。
「RS Q3」はSUVなので、当然ながら「RS 3セダン」や「TT RS」よりはロールやピッチが大きめ。エンジンも、少しだけおおらかな味つけだった気がしたが、記者にとってはそれも好印象だった。拡大

やっぱりレーサー&レースカーはすごい

ここまででも十分に充実した取材の内容となったが、今回のイベントはまだ終わらない。日本で活躍する2台のレーシングカー、SUPER GT GT300クラスに投入される「R8 LMS」と、TCRシリーズやスーパー耐久を戦う「RS 3 LMS」の同乗体験も用意されていたのだ。早速、両モデルとプロドライバーの走りをリポートしたい……のだが、これについてはもう、貴重な機会をありがとうとしか言いようがなかった。同乗前に考えていた「プロの運転を読者の皆さまもぜひ参考に」なんてコメントは、秒で吹っ飛んだ。

まずはR8 LMSだが、当たり前といえば当たり前だが、まあ前後左右のGがスゴイ。変速でガン、ブレーキでガーン、アクセルオンでドン。これはもう、Gというよりショックである、いやダジャレじゃなくて。コーナリングでは「路面を離してなるものか!」という強烈なクルマの意思を感じるが、当然のことドライバー(近藤 翼選手)はそのキワのキワで走るものだから、なんかの拍子にバッと滑る。そして、その都度ドライバーがこまめに操舵し、ペダルを操り、R8 LMSを踏みとどまらせる。こんだけ体を揺さぶられながら、即座に、繊細に、正確にクルマを操れるんだから、レーサーというのは超人である。

一方、ディメンションに制約のあるRS 3 LMSはまだクルマっぽい動きをするのだが、それだけに篠原拓朗選手は滑ることを前提にクルマを御している感があった。FFなのでメインはフロント。後(リア)は野となれ山となれだ。さらに大胆なのが縁石の切り取りっぷりで、「お前はグループA時代の星野一義か!」と突っ込みたくなる勢いでガンガンまたぐ。結果として前後左右の4方向に加え、上下方向にもGショック。クルマが落ち着くストレートが、これほど待ち遠しかった同乗体験は過去になかった。

豪華なオマケにすっかりおなかいっぱいの記者だが、まだ今回の取材は終わらない。さらなるオマケとして、最後にユニークな試乗が待っていたのだ。供されたのはまさかの「e-tronスポーツバック」。アウディ自慢の電気で走るSUVだ。ピットレーンに並ぶその姿の場違いなこと。いやこれ、富士スピードウェイで何を試せばいいのよ? と思ったのだが、乗ると存外に発見が多かった。

同乗走行のプログラムに供された「R8 LMS」と「RS 3 LMS」。こうしたレーシングカーの開発や、カスタマーによるレース活動のサポートも、アウディスポーツの仕事である。
同乗走行のプログラムに供された「R8 LMS」と「RS 3 LMS」。こうしたレーシングカーの開発や、カスタマーによるレース活動のサポートも、アウディスポーツの仕事である。拡大
同乗体験でドライバーを担当した、Hitotsuyama Racingのレーシングドライバー。写真右から、篠原拓朗選手、近藤 翼選手、川端伸太朗選手。
同乗体験でドライバーを担当した、Hitotsuyama Racingのレーシングドライバー。写真右から、篠原拓朗選手、近藤 翼選手、川端伸太朗選手。拡大
「R8 LMS」はカスタマー向けのレーシングカーとして世界的に成功している一台。ニュルブルクリンク24時間レースでもたびたび優勝している。
「R8 LMS」はカスタマー向けのレーシングカーとして世界的に成功している一台。ニュルブルクリンク24時間レースでもたびたび優勝している。拡大
ツーリングカーレースのTCR規格に沿って開発された「RS 3 LMS」は、駆動方式が4WDからFFに変更されている。篠原選手いわく「予選などでの“一発”の速さ、力強さが持ち味」とのこと。
ツーリングカーレースのTCR規格に沿って開発された「RS 3 LMS」は、駆動方式が4WDからFFに変更されている。篠原選手いわく「予選などでの“一発”の速さ、力強さが持ち味」とのこと。拡大
フォーミュラEへの参戦を2021年で終了し、2022年にはダカールラリーに参戦するというアウディ。さらには世界耐久選手権への復帰ももくろんでいるとのことで、今後の動向が気になる。
フォーミュラEへの参戦を2021年で終了し、2022年にはダカールラリーに参戦するというアウディ。さらには世界耐久選手権への復帰ももくろんでいるとのことで、今後の動向が気になる。拡大

今から楽しみな“電気で走るアウディスポーツ”

スタッフ氏いわく「高速走行時の静かさを体験してくださいね」とのことだったが、EVだし、なによりアウディだし、いまさら静かで快適なんてことでは驚かないですヨ。それより目からウロコだったのが、こんな巨体なのにちゃんとスポーツ走行している気分になれる点だった。

そりゃあ、直前まで乗っていたRSモデルのようにはいかない。車体はでかく、車重も優に2.5tを超えており、それを頭に入れていないとさすがに怖い思いをする。が、それさえ覚悟していればロールやピッチは意外に小さく、「上屋がグラッときてドライバーの気持ちがなえる」なんてことはなかった。この辺りは、床下にびっしりバッテリーを積んだ低重心なEVならではだろう。

EVならではといえば、アクセルを踏むと待ちもタメもなくすっと加速するリニア感もEVならでは。ブレーキも強力で、これだけの重量物を高速域からしっかり減速させる。聞けば、制動はかなりの部分を回生ブレーキに任せている(=摩擦ブレーキをあまり使わない)とのこと。自然なブレーキフィールに「ホンマかいな?」と思っていたが、確かに走行を終えた後でも、キャリパーは素手で触れる程度の温度だった。

既述の通り、重さが気になったり、コーナーでたくさんハンドルを回さなければならなかったりと、サーキット向きではない部分もないわけではないが、クルマの性格を思えばそれは当たり前の話だ。むしろ、かねてEVに感じていたジドーシャとしての優れた点が色濃く感じられ、非常に意義深い体験となった。

で、ふと思ったのである。このEVというのをアウディスポーツが仕上げたら、どんなクルマになるのだろう? 聞けば2018年のロサンゼルスショーで発表された「アウディe-tron GT」などは、市販モデルの開発をアウディスポーツが受け持っているのだとか。R8やRS 3セダンが持っていた運転感覚と、上述のEVならではの特性が合わさったらと思うとワクワクしませんか?

EVというと、目下日本でもフクザツな議論が交わされている乗り物ではあるが、記者としては純粋に、単純に、新しいモデルの登場が楽しみなのである。

(文=webCGほった/写真=田村 弥/編集=堀田剛資)

SUVタイプの電気自動車「e-tronスポーツバック」。2560kgのヘビーなボディーを、システム出力408PSの電動パワートレインで走らせる、カーボンフリーの重戦車だ。
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重量が重量だけに、コーナーでの“外へ引っ張られる感”はかなりのもの。ただロールやピッチはしっかり抑えられており、コーナリングを普通に楽しむことができた。
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リニアで抵抗感のない加速は電動パワートレインならでは。低重心な車両構造がかなえるドシっとしたフットワークともども、ガソリン車にはないEVの魅力だ。
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独ネッカーズルム工場で生産が開始された「e-tron GT」。2021年はじめの世界初公開が予定されている。
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アウディの電動化戦略の一端を担うべく、ライバルに先駆けてスポーツEVの開発を手がけることとなったアウディスポーツ。彼らの手にかかるとEVはどんなクルマになるのか、今から楽しみである。
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