第9回:効率性に疑問アリ? バッテリーやモーターで独自色を出すルノーの電動化戦略

2021.08.03 カーテク未来招来
ルノーが「EWAYS」と呼ぶイベントで公開した「メガーヌE-Techエレクトリック」。
ルノーが「EWAYS」と呼ぶイベントで公開した「メガーヌE-Techエレクトリック」。拡大

ラインナップのEV(電気自動車)化に前のめりに取り組む欧州の自動車メーカー。彼らの戦略はどれも似通ったものだが、細かく見ていくと各社の特色がうかがえる。なかでも仏ルノーの戦略は、モーターとバッテリーの分野で独自性を示すものだった。

「メガーヌE-Techエレクトリック」(右)と「ルノー5」(左)を紹介するルノーのルカ・デメオCEO。
「メガーヌE-Techエレクトリック」(右)と「ルノー5」(左)を紹介するルノーのルカ・デメオCEO。拡大
こちらはスポーツカーブランド、アルピーヌの新型車のシルエット。こちらでもEVモデルの投入が計画されている。
こちらはスポーツカーブランド、アルピーヌの新型車のシルエット。こちらでもEVモデルの投入が計画されている。拡大
EVの生産体制強化のため、新会社ルノーエレクトリシティーに組み込まれるモブージュ工場。現在は「カングー」の専門工場として稼働している。
EVの生産体制強化のため、新会社ルノーエレクトリシティーに組み込まれるモブージュ工場。現在は「カングー」の専門工場として稼働している。拡大
エンビジョンAESCは、日産とNECが設立したバッテリー会社のオートモーティブ・エナジー・サプライを前身としており、現在は社名の通り、中国のエンビジョングループの傘下に入っている。
エンビジョンAESCは、日産とNECが設立したバッテリー会社のオートモーティブ・エナジー・サプライを前身としており、現在は社名の通り、中国のエンビジョングループの傘下に入っている。拡大

“似たり寄ったり”な欧州勢の電動化戦略

前回までのボルボに引き続き、今回はフランス・ルノーが「RENAULT EWAYS ELECTROPOP」と呼ぶイベントで明らかにした電動化戦略を取り上げる。この後にステランティスやフォルクスワーゲンについても紹介するつもりだが、各社の戦略には似通っている点が多いので、それぞれの特徴的なところだけを取り出しながら、簡潔にまとめていきたいと思う。

ルノーの戦略の要点は以下の通りだ。

  • 2025年までにEVを10モデル商品化。そのなかには2022年に発売する「メガーヌE-Techエレクトリック(メガーヌE)」や、現在のEV「ZOE(ゾエ)」より33%低価格な「ルノー5(サンク)」、かつての「ルノー4(キャトル)」をイメージした「4ever(フォーエバー)」が含まれる。
  • 2025年には欧州市場でEVおよび電動車の販売比率を65%以上に、2030年にはルノーブランドでEVの販売比率を最大90%に引き上げる。
  • EVの生産体制強化のため、完全子会社のRenault ElectriCity(ルノーエレクトリシティー)を2021年6月に設立した。新会社はフランス北部にあるドゥエー、モブージュ、リュイッツの3工場をまとめ、EVの生産拠点として再編したもの。
  • 中国エンビジョンAESCとのパートナーシップによって、ドゥエーに大規模なバッテリー工場(ギガファクトリー)を建設し、2024年に製造を開始する。
  • フランスの新興企業Verkor(ベルコール)との共同プロジェクトで、2022年までに高性能なバッテリーを開発する。
  • 2030年までにバッテリーパックレベルのコストを60%削減するため、すべてのセグメントでセルの寸法を標準化する。
  • コストを30%低減し、かつエネルギー損失を45%抑えた新規の電動パワートレイン(e-パワートレイン)を開発する。
鶴原 吉郎

鶴原 吉郎

オートインサイト代表/技術ジャーナリスト・編集者。自動車メーカーへの就職を目指して某私立大学工学部機械学科に入学したものの、尊敬する担当教授の「自動車メーカーなんかやめとけ」の一言であっさり方向を転換し、技術系出版社に入社。30年近く技術専門誌の記者として経験を積んで独立。現在はフリーの技術ジャーナリストとして活動している。クルマのミライに思いをはせつつも、好きなのは「フィアット126」「フィアット・パンダ(初代)」「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」「スバル360」「マツダR360クーペ」など、もっぱら古い小さなクルマ。

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