第671回:九州に「ランボルギーニ教」布教の旅に行ってきた
2021.12.28 エディターから一言 拡大 |
ランボルギーニのツーリングイベント「GIRO」に参加。宮崎→大分→熊本を舞台に市街地から高速道路、ワインディングロード、さらにはサーキットを駆け巡り、冬の九州の魅力とランボの魅力を同時に味わってみた。
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旅の始まりは豪華ディナーから
北海道日本ハムファイターズのファン感謝祭に新庄剛志BIG BOSSは「カウンタック」で登場し、ファイターズの一員として15年ぶりに札幌ドームに足を踏み入れた。こういうときの神輿(みこし)として、ランボルギーニに取って代わるものはないと思う。どんな人が乗っているのだろうという関心を呼び起こすという点でも、やはり最適なチョイスだったのではなかろうか。まあ、今回は新庄が乗っていることは明白だったわけだが。
ランボルギーニのオーナー向けツーリングイベント「GIRO(ジーロ)」は2021年で4回目を迎えた。舞台は九州。宮崎→大分→熊本と、30台近くのランボルギーニがひた走ったイベントの様子をリポートする。
宮崎空港に降り立った取材陣はシェラトン・グランデ・オーシャンリゾートに投宿し、翌日からのツーリングに備える。ガラディナーでふるまわれた皿数の多さがハードな旅になることを示唆していた。巨大なランチボックスに詰め込まれた6種の先付けに始まり、刺し身は伊勢エビの姿造りに本まぐろの中トロ。とどめはコース中盤、宮崎地鶏の炭火焼き→穴子の一本揚げの天ぷら→牛肉の炭火焼き(A5ランク)の3連発である。ホッとしたところで出てくる握りずしもガツンと効く。ふくらんだおなかをさすりながら夜中にふと目覚めると、北斗七星がこれまでに見たことのない大きさで夜空に浮かんでいた。思えば遠くに来たもんだ。
無線がもたらす一体感
明くる朝、ホテルの駐車場に向かうと色とりどりのランボルギーニが出発に備えてスタンバイしている。われわれはメディア向けの試乗車を借りるわけだが、オーナーの方々はもちろん自分のマシンで参加している。最新の売れ行きは「ウルス」「ウラカン」「アヴェンタドール」の順だそうだが、参加車両の割合はその逆で、半分以上がV12をミドに積んだアヴェンタドール系であり、次いでウラカン、ウルスの順だ。ブランドロイヤルティーの高さをひしひしと感じる。ランボルギーニだからすべてのクルマが特別なわけだけれど、「SVJ」に「SVJ63」、そして「チェンテナリオ」と並んでいると、どこか張り詰めた空気が漂う。早くも納車された「ウラカンSTO」に乗り込むオーナーの姿も見える。みんな自慢の神輿である。自分に割り当てられたのは「ウラカンEVO RWDスパイダー」だった。
宮崎神宮の宮司による祝詞と、地元の和太鼓演奏ユニットのパフォーマンスによって送り出されたキャラバンは、九州の東海岸線に沿って北上する。ルーフを開けてみると、風はそれほど冷たくない。12月も中旬というのに山はまだ青さを保っていて、九州はやはり暖かい。風向きによっては潮風が鼻をくすぐることもあれば、畜産業の面影を感じることもある。昨晩の炭火焼きは宮崎牛だった。
出発に際しては、各車にひとつずつトランシーバーが配られた。先導車から最新の交通情報やルート案内が届くのはもちろんのこと、「右手に見える山は……」とか「宮崎神宮は神武天皇由来の……」などといった観光情報が頻繁にもたらされる。まるでリモートバスガイドだ。情報の面白さとともに、ひとつながりのキャラバンが移動しているという一体感も得られるようになっている。これはナイスアイデアだと思う。
サプライズの花火も
立ち寄り先が多く用意されているのもGIROの特徴で、この日はワイナリーや道の駅で小休止を挟むとともに、海岸沿いのおしゃれなレストランで昼食をとった。人々がランボルギーニの小旗を振って迎えてくれるのは、先遣隊が立ち寄りスポットを回り、もうすぐランボルギーニの大集団がやってきますよと触れ回っているからだ。
自分のクルマではないので控えめな対応でも構わないとも思ったが、それは迎えてくれる側には関係のないことだ。なのでこれはランボルギーニ教の布教活動なのだと考え直し、全力で手を振り返すことにした。時には沿道から旗を振ってくれる人もいる。左ハンドルにはこうした場面で対応しやすいという隠れたメリットもある。道の駅では小さな子が寄ってきたので、ステアリングを握らせてあげた。あの子が将来、お金持ちになって「クルマはランボ一択です」などという信者になってくれたら、これほど喜ばしいことはない。
この日は九州屈指の温泉街である別府に宿泊。ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパに到着したころには午後5時を過ぎており、およそ8時間をかけて300km近くを走破したことになる。ツーリングのスタッフに聞いたところ、これでも走り足りないという人もいれば、もっと早めにホテルに入って休みたいという人もいるそうだ。ホテルの部屋からは、いたるところから湯けむりが立ち上る別府の街並みと由布岳の雄大な姿が見えた。ディナーではサプライズの花火が上がった。露天風呂を楽しんでいた人などは、さぞかし驚いたことだろう。
ウラカンSTOでワインディングロードへ
翌日は東九州自動車道から九州横断自動車道へと抜け、阿蘇の外輪山をぐるりと回るミルクロードへ。三十数基の神輿を携えたキャラバンはオートポリスを目指す。日本百名道にも選ばれているというミルクロードは、広大な牧草地の間に敷かれたワインディングロードだ。阿蘇山を目の前に拝みつつ、眼下には阿蘇市を見下ろせるという絶景を楽しみながらカーブをひとつずつこなしていく。このルートでウラカンSTOが割り当てられたのは幸運というしかない。レーシングカーのロードゴーイングモデルということで構えていたが、路面からの突き上げは驚くほど穏やかだ。何よりも白線と白線の間を自由自在に使える軽やかなハンドリングと、微小な入力に対しても即座に反応するスロットルレスポンスが心地いい。かつて富士スピードウェイで試したときにも感服したものだが、全く異なるスピードレンジでもその価値は変わらない。ちなみにウラカンSTOにはアイドリングストップのみならず、低負荷走行時の気筒休止機構(5気筒運転)も付いていた。ゆっくりだが着実にウラカンもカーボンニュートラルを目指している。
オートポリスでは車両を並べて記念撮影をし、その後はコースでパレード走行が執り行われた。パレードといってもストレートでは200km/h近くを記録したので、ここまで法定速度をきちんと守ってきたオーナーの方々にとっては、いいガス抜きになったことだろう。車両が車両なので200km/hでも腹八分目にも満たないだろうが、しかるべきステージでスピードを出して走るのは、他には代えられない楽しみだ。
3日間の旅を支えてくれたのは、何よりも「安心感」ではないだろうか。GIROではすべての立ち寄り先にスタッフが先回りして安全な駐車スペースに誘導してくれるほか、先に書いたトランシーバーからは「次のカーブにキャッツアイがあります」とか「この先にオービスがあります」といった情報ももたらされる。ウルスはともかく、ウラカンやアヴェンタドールではコンビニに立ち寄るだけでも緊張感を強いられるものだ。こうしたストレスから解放されたからこそ、オーナーの皆さんも笑顔で過ごせたのではないかと思う。
次回のGIROは2022年夏の開催を予定しているという。どこかのテレビ番組ではないが、次はあなたの街にランボルギーニの大集団が現れるかもしれません。
(文=藤沢 勝/写真=ランボルギーニ・ジャパン/編集=藤沢 勝)

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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