第791回:【Movie】さよなら「フォード・フィエスタ」 販売最前線の人が語る“驚くべき普及率”
2023.01.19 マッキナ あらモーダ!静かなるリベンジ
「フォード・フィエスタ」が2023年6月で生産終了することになった。1976年以来、47年にわたってブランドを代表してきた小型車の歴史が幕を閉じることになる。
フォードはすでに2022年10月、計画を発表するとともに「#farewell Fiesta」と題したキャンペーンを開始している。年が変わってヨーロッパでは、再びニュースとして取り上げるメディアが目立つようになってきた。
生産終了の背景には、従来のBセグメント顧客による、同じセグメントのSUVへの移行が顕著になったことがある。例えば業界団体UNRAEが発表したイタリアにおける2022年の新車登録台数で、BセグメントSUVの「フォード・プーマ」は7位(2万9479台)を記録したいっぽうで、フィエスタは40位(9500台)にまで後退した。
メーカーとしても、電動化への投資を最優先する際、従来型内燃機関車のラインナップを整理する必要があったのは明らかである。
そうしたなか筆者は、イタリア・シエナのフォードディーラーであるアニョレッリに赴き、販売最前線に立つ2人からフィエスタについて聞いた。
同社は、初代フィエスタ発売の翌年である1977年にフォードの取り扱いを開始。以来46年間にわたり、販売を手がけてきた。今日では県内外に4つのショールームを展開する。
協力してくれたのは、セールス歴40年を誇るセルジョ・リベラトーリ氏と、南部のフィアット販売店の家に生まれ、大学卒業後に銀行勤務を経て6年前からフォードに携わるマルコ・ボネッリ氏である。
世界各地のフォード工場におけるフィエスタの累計生産台数は、約2200万台に達した。いっぽう動画の最後では、マルコ氏がイタリア市場における興味深いデータを披露してくれる。
振り返れば、フォードとイタリアの関係は複雑だ。1960年代中盤、ヘンリー・フォードII世と、のちにフィエスタ生みの親となるリー・アイアコッカは、フェラーリの買収を企てた。しかし、交渉は成立直前で決裂。フェラーリは1969年にフィアットのものとなった。さらに1980年代、フォードがイタリア産業復興公社傘下にあったアルファ・ロメオを買収しようとしたときも、最終段階でフィアットに奪われてしまった。そうした経緯を考えると、“フィアット王国”におけるフィエスタの成功は、時間をかけた静かなるリベンジといえまいか。
【さよならフォード・フィエスタ】
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA、フォード/動画=Akio Lorenzo OYA/編集=藤沢 勝)
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大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、25年間にわたってリポーターを務めあげる。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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