フォルクスワーゲン・パサートeTSIエレガンス(後編)
2025.03.20 あの多田哲哉の自動車放談 車両開発のプロである多田哲哉さんが、フルモデルチェンジした「フォルクスワーゲン・パサート」に試乗。プロダクトの特徴のみならず、それを手がけるメーカーの置かれた現状についても熱く語る。プロダクトは優れているのに……
新型パサートの走りを高く評価する多田さんは、その新型パサートを「まっとうなクルマ屋さんがまっとうにつくった、まっとうにいいクルマ」と表現した。新型パサートには技術的に奇をてらったものはなにもない。
「結局、プラットフォームが優秀なのでしょう。将来的な電動化を見据えて、重い車重でも成立するように、各部の剛性などをぜいたくに確保しているのもあると思います。なので、今回のような1.5リッターのマイルドハイブリッド車(MHEV)程度だと、メディアの皆さんが好きな“シャシーが勝っているか、エンジンが勝っているか”という視点では、シャシーが勝ちすぎているくらいに勝っています」
多田さんは、こうして新型パサートという一台のフォルクスワーゲン車を高く評価する一方で、「こんないいクルマをつくっているのに、フォルクスワーゲン自体は人員削減など、経営に苦しんでいるわけです」とも語る。
最近のフォルクスワーゲンの苦境は、中国市場での不振や、莫大(ばくだい)な投資をした電気自動車の普及が踊り場を迎えているのが原因……というのが多くのメディアの見立てだ。
しかし、多田さんは『あの多田哲哉のクルマQ&A』でも語っておられたように、SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)と呼ばれる「ソフトウエアで性能を高めていけるようなクルマ」を管理する基本ソフトウエア(いわゆるオペレーティングシステム=OS)を、フォルクスワーゲンがいまだにつくれないでいることも大きいと指摘する(関連記事)。
「同様の悩みは、トヨタを含めた伝統的な自動車メーカーのすべてが抱えています。そうした自動車メーカーのソフトウエアは、それこそエンジンが初めて電子制御された時代から、延々と改良と増築を繰り返して、不必要に巨大化・複雑化してしまっています」
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