スバル・フォレスター プレミアムS:HEV EX プロトタイプ(4WD/CVT)/フォレスターX-BREAK S:HEV EX プロトタイプ(4WD/CVT)/フォレスター スポーツEX プロトタイプ(4WD/CVT)
追い風が吹いている 2025.04.03 試乗記 スバルのミドルサイズSUV「フォレスター」がフルモデルチェンジ。ストロングハイブリッド「S:HEV」にフルインナーフレーム構造などなど、新たな武器を手に入れた新型の仕上がりやいかに? 6代目となるスバルの基幹車種の実力をリポートする。待望のストロングハイブリッド
新型スバル・フォレスターの購入を検討している方に、大朗報と悲報!? いいニュースは、本格量産前のプロトタイプにもかかわらず、すでに素晴らしいクルマに仕上がっていたこと。スバル車ファンのコンプレックスだった燃費も、大幅な改善が見込まれる。いっぽう少々残念なのは、商品力の向上にともなって価格も相応に上昇していること。時節柄しかたないとも言えますが……。
千葉県にあるサーキット「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」で、六連星の本格派SUV、フォレスター(プロトタイプ)のプレス向け試乗会が開催された。同車販売の約7割を占めるメインマーケットたる北米では、2023年11月に新型のお披露目を済ませ、すでに販売が始まっているが(参照)、かの地のそれは2.5リッター自然吸気エンジンのみだった。およそ1年遅れとなった本邦には、スバル自慢の1.8リッターターボに加え、満を持して2.5リッターエンジンと電気モーターを組み合わせたストロングタイプのハイブリッドモデルが投入される。そのため、従来の2リッター+モーターのマイルドハイブリッド版「e-BOXER」はカタログから落ちる。ちなみに、ここまで排気量で表してきたエンジンは、いずれも水平対向4気筒です。念のため。
気になる2.5リッターハイブリッドフォレスターの燃費は、あくまで暫定的な数字(メーカー目標値。以下同じ)だけれど、18.4~18.8km/リッター(WLTCモード)とされる。「トヨタRAV4」の20.3~20.6km/リッターには及ばないが、これまでの2リッター「e-BOXER」車のカタログ値が14.0km/リッターだったことを考えると、「ようやく世間並みになった」と胸をなでおろすスバリストも多いことだろう。ハイブリッドといった“飛び道具”を持たない1.8リッターターボの燃費は、13.6km/リッターのままだ。
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いつの間にやら400万円台のクルマに
新しいフォレスターのグレードは、当面3種類。2.5リッターハイブリッドのアウトドア寄りバージョン「X-BREAK」、上質感を強調した「プレミアム」、そして1.8リッターターボの「スポーツ」である。
気になる価格は、これまたあくまで“イメージ”ではあるが、X-BREAKは現行から約88万円アップの418万円。スポーツは、同じく約55万円アップの401万5000円あたり。初代フォレスターがおよそ200万円台のクルマだったことを思い返すと、「フォレスターもついに400万円台のクルマになったか!」と、同車の成長を喜びつつ、個人的には複雑な気持ちだ。
とはいえ新型の装備内容には、ナビゲーション機能付きの11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステム、デジタルマルチビューモニター、ETC2.0車載器キットほか、新採用のサイクリスト対応歩行者保護エアバッグ(ボンネット後端からAピラーに沿って展開される大型エアバッグ)、機能向上版アイサイトなどが含まれるので、実際の購入時の金額上昇は「見かけほどではない」との説明もなされた。
注目のハイブリッドシステムは、状況に応じてエンジンとモーターを効率よく使い分けるシリーズ・パラレル方式。ご存じのとおりトヨタ由来の「THS」がベースで、内燃機関にプラスして、発電用と駆動用、2つの電気モーターを備える。エンジンからのアウトプットで、またはエンジンとモーターで協調して走るのはもちろん、電気モーター単体での走行も可能だ。
エンジン、モーター類のスペックは、先行して同システムを搭載したクロスオーバーモデル「クロストレック」と同じ(参照)。16バルブの2.5リッターフラット4は、160PS/5600rpmの最高出力と、209N・m/4000-4400rpmの最大トルクを発生。走行用モーターのそれらは、119.6PSと270N・mである。
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こだわりの機械式4WDも変更&改良
THSをスバル車に移植するにあたり、言うまでもなく横置きエンジンから縦置きフラット4に対応する手直しが施されたが、作動原理に変更はない。エンジンからの出力がプラネタリーギア式の動力分割機構を介して駆動輪と発電機に振り分けられるため、トランスミッションは、いわゆる電気式CVTとなる。
RAV4の2.5リッターハイブリッド車は、前輪用と後輪用のモーターを別個に用意してAWDを実現しているが、フォレスターはこれまでどおりプロペラシャフトを介して後輪に駆動力を送る。前後輪をつなぐシャフトには電子制御される多板クラッチが組み込まれるが、クラッチの物理的な圧着方法は、油圧式から応答性に優れる電磁式に変更された(ハイブリッドモデルのみ)。
当然、ソフトウエアを使ってAWDの設定を能動的に変更する「X-MODE」にも手が入れられた。エンジン出力、駆動力配分、各輪のブレーキ、そして介入のタイミングをきめ細かくコントロールすることで、より路面状況に応じた走りの実現を狙っている。
たとえばスタックした状態からの脱出時に、通常の雪道や未舗装路なら、X-MODEで「スノー/ダート」を選ぶと、運転者を驚かせないよう、早めに穏やかにグリップを取り戻すよう作動する。深い雪や泥濘(でいねい)地では、「ディープスノー/マッド」モードで、ある程度の車輪の空転を許容して、積極的に路面をかきながら前へ進んでいく。
世の大半のドライバーはラフな道に不慣れだから、ワンタッチでオフロード巧者の技を反映できるX-MODEの進化は心強い。「スバルならではのAWD技術とHEVの組み合わせで走破性をさらに高めた」というのがスバルの主張だ。
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より上質に、プレミアムに進化
さて、国内では6代目にあたる新型フォレスターの車体寸法は、全長×全幅×全高=4655×1830×1730mm。旧型からの拡大幅はいずれも15mmと最小限に抑えられた。2670mmのホイールベースは変わらない。
外観デザインは「やや北米に寄せたか」と感じさせるが、わかりやすくSUVらしいプロポーションはそのままだ。インテリアの質感はグッと上がり、なにより機能的で広いキャビン、スバルが「0次安全」とうたう広いグラスエリアは継承された。運転席に座ってみると、たしかに視界のよさは特筆物で、シートバックの形状を見直すことで、後方視界もこれまで以上の改善を果たした。
少し観点が異なるが、大きなサンルーフ装着車の場合、リアシート乗員の開放感も格別だから、ファミリーカーとしてSUVを考えている方は一考の価値があると思う。もとより、十分に確保されたリアスペースも、実用&実力派SUVとしてポイントが高い。
今回のプロトタイプ試乗会では、舗装のよいレースコースでの抑制された走りに限られたが、新型「フォレスター リミテッドS:HEV EX」=ストロングハイブリッドの2.5リッター車は、頼りがいのある厚いトルクとスムーズな走りが印象に残った。タイヤは、このモデルから採用された19インチのマッド&スノー「ブリヂストン・トランザ EL450」。
トランスミッションに動力分割装置を採用したクルマは、ときに動力系と実際の加減速に乖離(かいり)がみられることがあって、新型フォレスターのステアリングホイールを握る前は若干の懸念を抱いていたが、杞憂(きゆう)でした。ニューフォレスターは、過不足なく運転者の操作に反応してくれる。
ご存じのように、スバルは国内でいち早くCVTを採用したメーカーだ。ベルト式のCVTとプラネタリーギアを用いた動力分割装置はハード面ではまるで異なるトランスミッションだが、ソフトウエアによる味つけに、現リニアトロニックの経験が生かされたのかもしれない。在席したエンジニア氏も、「自然なフィールにこだわりました」とおっしゃっていた。
しっとりとしたステアフィールも新型の美点で、これはステアリングの操作軸とモーターがアシストする軸を分けた「2ピニオン電動パワーステアリング」の恩恵が大きい。「レヴォーグ」「WRX S4」「クロストレック」と搭載モデルが増えるに従ってブラッシュアップが進んだこともあろう。ステアリングホイールを握って走っていると、頭の中でしきりに「高級」の2文字がまたたいた。
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車体の革新がもたらした軽快感と静粛性
2.5リッターモデルと比較すると技術的なトピックに乏しい1.8リッターフォレスターだが、すっきり爽快なドライブフィールは相変わらず。ターボユニットの、最高出力177PS/5200-5600rpm、最大トルク300N・m/1600-3600rpmのアウトプットも変わらない。重厚とさえ感じさせる2.5リッターモデルと比較して、なにごとにも軽快な所作は、なるほどスポーツというグレード名にふさわしい。車重がハイブリッドの1730~1780kgより100kg前後軽い1640~1660kgなのが効いている。
「でも、旧型ターボは1570kgだったじゃん」と、不満に感じるスバルファンの人もいらっしゃいましょう。そのぶん、動的な質感が向上していますから! ……と、これは苦しい言い訳(!?)ではなく、先に述べた新しい電動パワーステアリング機構のほか、ボディーそのものの進化がグレードを問わず好影響を与えている。
6代目フォレスターのプラットフォームは基本的に先代からのキャリーオーバーだが、ボディーのつくりがフルインナーフレーム構造となった。具体的には、ボディー各部を先に完成させて最終的に全体を組み立てる“プレハブ”工法から、まずは堅牢(けんろう)な骨格を組んで、そのうえでボディーパネルを取り付けるようになった。骨組み各部をより堅固につなげてフレームの連続性を増し、プラスして構造用接着剤の使用を8mから27mに延長、結果的にボディーのねじり剛性は8%アップしたという。
吸音・防振にも意が払われている。たとえばボンネットを開けると、その裏には一般的なフェルト系ではなく厚いグラスウール素材が用いられ、騒音源(エンジン)とキャビンを分かつバルクヘッドには、裏表に吸音・遮音材が貼られる。フロントガラスを通常より厚くして、ルーフ内張りには弾性ある接着剤を塗ってノイズ低減を図った。新型フォレスターを運転していて、「ずいぶんと上質になったなァ」と感心させられた理由は、メカニカルな要素だけではなかったのだ。
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フォレスターの未来は明るい
車内の静粛性が上がればオーディオに凝りたくなるのは道理で、新型ではHarman Kardon(ハーマンカードン)のセットを選択できる。わざわざ会場に用意されたデモカーに乗ってサウンドを拝聴しても、素養のない自分には「うーむ、素晴らしい!」としか言いようがないのだが、ひとたび車外に出ると、それまで爆音で鳴っていたYOASOBI(担当者が用意した)がピタリと聞こえなくなった。新しいフォレスターの吸音・遮音性が高い傍証である。
いまやスバル屋台骨モデルの一台となったフォレスター。6世代目は、先代までの「お値段以上の機能を提供する」手堅い実用車から、一歩踏み出した感がある。同時に、価格のハードルも上がっているけれど。
最後に、フォレスター最大のマーケットたる北米市場でも追い風が吹きそうだ。BEV(電気自動車)旋風が一段落したいま、太平洋の向こうでもハイブリッドモデルへの関心が高まっていて、当然、2.5リッターのストロングタイプもリリースされる。燃費改善だけでなく、同車の太いトルク、質の高いドライブフィールが歓迎されるのは間違いない。
加えて、ドナルド・トランプ大統領によって、自動車のアメリカ本土での生産を重視する政策がとられたが、フォレスターはインディアナ工場で生産されるため影響は少ない。ニューフォレスターの未来は明るい。
(文=青木禎之/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
テスト車のデータ
スバル・フォレスター プレミアムS:HEV EX プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4655×1830×1730mm
ホイールベース:2670mm
車重:1750~1780kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:160PS(118kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:209N・m(21.3kgf・m)/4000-4400rpm
モーター最高出力:119.6PS(88kW)
モーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
タイヤ:(前)235/50R19 99V M+S/(後)235/50R19 99V M+S(ブリヂストン・トランザEL450)
燃費:18.4km/リッター(WLTCモード)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:1476km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
スバル・フォレスターX-BREAK S:HEV EX プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4655×1830×1730mm
ホイールベース:2670mm
車重:1730~1770kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:160PS(118kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:209N・m(21.3kgf・m)/4000-4400rpm
モーター最高出力:119.6PS(88kW)
モーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
タイヤ:(前)225/55R18 98V M+S/(後)225/55R18 98V M+S(ファルケン・ジークスZE001A A/S)
燃費:18.8km/リッター(WLTCモード)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:934km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
スバル・フォレスター スポーツEX プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4655×1830×1730mm
ホイールベース:2670mm
車重:1730~1770kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.8リッター水平対向4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:177PS(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1600-3600rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98V M+S/(後)225/55R18 98V M+S(ファルケン・ジークスZE001A A/S)
燃費:13.6km/リッター(WLTCモード)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:1803km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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◆【ニュース】スバルが新型「フォレスター」を発表 待望のハイブリッドモデルが登場
◆【画像・写真】スバル・フォレスター プレミアムS:HEV EX/フォレスターX-BREAK S:HEV EX
◆【画像・写真】スバル・フォレスター スポーツEX/フォレスター スポーツEX 用品装着車

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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