ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)

圧倒的シャシーファスター 2025.09.04 試乗記 佐野 弘宗 24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。
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ホンダ社内のテンションは高い

やっと国内正式発売となる新型プレリュードの車両本体価格は617万9800円。その価格は、同じく2025年9月4日に受注再開した「シビック タイプRレーシングブラックパッケージ」のそれと、くしくも(というか、ホンダの明確な意思表示として)ピタリ同額。この2台が、最新ホンダスポーツの(どっちが上でも下でもない)双璧という位置づけなのだろう。

以前の開発者インタビューでも少し書かせていただいたが、このクルマが着想されたキッカケは「ハイブリッドのスポーツカーをつくりたい」という自然発生的な機運だったらしい。というのも、近年のホンダにはスポーツカーがなかったからだ。また、ホンダは最近まで2040年までの完全な電気自動車/燃料電池車化を公言していたこともあり、「エンジン搭載のスポーツカーがつくれるのは今が最後のチャンス」との危機感もあったようだ。

「いやいや、シビック タイプRがあるだろ!」というツッコミは、まったく正しい。しかし、ホンダのなかの人たちの話を聞いていると、1997年の初代以来(あるわずかな期間を除けば)ほぼ途切れることなく続いているシビック タイプRは、通常の商品企画とは別枠の“部活動”というか、不可侵の聖域っぽいのだ。

そうやって考えてみると、ホンダにはタイプRとは別のスポーツカー/スポーツクーペの歴史が連綿とあった。たとえば2000年代以降でも、5代目プレリュードに「S2000」、4代目「インテグラ」、「CR-Z」など、ホンダには常に1~3種類のクーペが用意されてきた。なのに、2022年に「S660」と2代目「NSX」が相次いで生産終了(同時期に北米向け「シビック クーペ」も終了)してからは、ホンダからスポーツカー/スポーツクーペがなくなってしまっていたわけだ。

そんなわけで、新型プレリュードに対しては、われわれ外野が想像する以上に、ホンダ社内のテンションが高い。すでに購入を公言している役員も少なくないとか。

2025年9月4日に発表され、同年9月5日に発売となる新型「ホンダ・プレリュード」。プレリュードはホンダの2ドアスペシャリティークーペとして1978年に初代モデルがデビューし、今回のモデルは24年ぶりに復活した6代目にあたる。
2025年9月4日に発表され、同年9月5日に発売となる新型「ホンダ・プレリュード」。プレリュードはホンダの2ドアスペシャリティークーペとして1978年に初代モデルがデビューし、今回のモデルは24年ぶりに復活した6代目にあたる。拡大
新型「プレリュード」のグランドコンセプトは「UNLIMITED GLIDE」。大空を自由にどこまでも飛べるグライダーを発想の起点として優雅に滑空するような高揚感と非日常のときめきを感じさせるクルマを目指したという。
新型「プレリュード」のグランドコンセプトは「UNLIMITED GLIDE」。大空を自由にどこまでも飛べるグライダーを発想の起点として優雅に滑空するような高揚感と非日常のときめきを感じさせるクルマを目指したという。拡大
アンテナなどの突起物のないルーフラインやフラッシュアウターハンドル、前後バンパーの下部に備わるブルーのアクセントがエクステリアにおけるこだわりのディテールだ。
アンテナなどの突起物のないルーフラインやフラッシュアウターハンドル、前後バンパーの下部に備わるブルーのアクセントがエクステリアにおけるこだわりのディテールだ。拡大
新型「プレリュード」の通常モデルに用意される外板色は全4色。左から「クリスタルブラック・パール」「メテオロイドグレー・メタリック」「ムーンリットホワイト・パール」「フレームレッド」。これらとは別に、オンライン販売専用となる初年度のみの限定車に「ムーンリットホワイト・パール&ブラック」の2トーンカラーをラインナップする。
新型「プレリュード」の通常モデルに用意される外板色は全4色。左から「クリスタルブラック・パール」「メテオロイドグレー・メタリック」「ムーンリットホワイト・パール」「フレームレッド」。これらとは別に、オンライン販売専用となる初年度のみの限定車に「ムーンリットホワイト・パール&ブラック」の2トーンカラーをラインナップする。拡大