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第328回:二極化の真実

2026.02.02 カーマニア人間国宝への道 清水 草一
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ロシアの大富豪の名前ではありません

担当サクライ君から、高級ホテルのコンシェルジュのようなメールが届いた。

「今度、『アルファ・ロメオ・ジュリア クアドリフォリオ』の限定車、『エストレマ』をご用意できますが、いかがでしょう」

そうかね。じゃ、一台もらっておこうか。そんな返事をしたくなったが、高そうなので「乗る乗る~」とだけ書いて送った。

それにしてもエストレマとは何? スマホで検索したところ、「究極のパフォーマンスを実現するために、厳選された特別装備を多数搭載した限定車」のようだ。

なかでも注目は、アクラポビッチ製エキゾーストシステムらしい。聞いたことのない名前ゆえに、心をくすぐられる。それはつまり、フェラーリにおけるキダスペシャル(愛機「スッポン丸」のエキゾーストシステム)のような、マニア泣かせな存在だろうか?

当日夜。腹に響くステキなサウンドとともに、サクライ君がやってきた。

オレ:これがアブラモビッチマフラー付きのジュリアだね?
サクライ:えーと、アクラポビッチです。なんでも、バイクの世界では超有名らしいです。
オレ:へえー、そうなんだ!

ちなみにアブラモビッチというのはロシアの大富豪の名前で、イギリスの名門サッカーチームを買収したとかの件で、私の記憶に残っていただけである。

2025年11月6日に発売された「アルファ・ロメオ・ジュリア」の限定車「クアドリフォリオ エストレマ」に夜の首都高で試乗した。このモデルには、アクラポビッチ製エキゾーストシステムをはじめとするさまざまな特別装備が採用されている。果たしてその走りやいかに。
2025年11月6日に発売された「アルファ・ロメオ・ジュリア」の限定車「クアドリフォリオ エストレマ」に夜の首都高で試乗した。このモデルには、アクラポビッチ製エキゾーストシステムをはじめとするさまざまな特別装備が採用されている。果たしてその走りやいかに。拡大
「エストレマ」とは、イタリア語で「究極」や「最上級」を意味するもの。後輪駆動の「ジュリア クアドリフォリオ」をベースとし、走行性能と装備の両面でさらなる高みをかなえたと紹介される。
「エストレマ」とは、イタリア語で「究極」や「最上級」を意味するもの。後輪駆動の「ジュリア クアドリフォリオ」をベースとし、走行性能と装備の両面でさらなる高みをかなえたと紹介される。拡大
わが愛車“黒まむしスッポン丸”こと「フェラーリ328GTS」に装着した「キダスペシャル」。この世のもとは思えない快音を奏でるマフラーである。
わが愛車“黒まむしスッポン丸”こと「フェラーリ328GTS」に装着した「キダスペシャル」。この世のもとは思えない快音を奏でるマフラーである。拡大
「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」に採用されたアクラポビッチ製エキゾーストシステム。純チタン製のリアマフラーには、カーボン製のテールパイプフィニッシャーを組み合わせている。
「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」に採用されたアクラポビッチ製エキゾーストシステム。純チタン製のリアマフラーには、カーボン製のテールパイプフィニッシャーを組み合わせている。拡大
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レースモードはさらに戦闘的なサウンド

オレ:ビッチって付くってことは、東欧のほうかな。
サクライ:(スマホで検索して)スロベニアのメーカーだそうです。
オレ:スロベニア! あ、オレ、行ったことあるよ!
サクライ:何しに行ったんですか。
オレ:マリオ(高野)とヨーロッパレンタカーの旅に出て、イタリアから近かったら行ってみたの。地味だけどとってもキレイな国だった。
サクライ:そうですか。

地味でキレイな国、スロベニアでつくられたマフラーが、アルファ・ロメオで最上級を名乗るジュリア クアドリフォリオ エストレマに採用された。思えば遠くに来たもんだ。あ、イタリアからは近いのか(というか隣)。とにかく発進だ。

アクラポビッチマフラーは、いきなりステキなサウンドを奏でつつ走りだした。「ほう。いいじゃないか。一台包んでくれたまえ」と言いたくなる。

そのまま首都高に乗り入れると、アクラポビッチはますます好調。代々木PAで小休止し「RACE」モードにブチ込むと(大変複雑な操作が必要なため、切り替えはサクライ君が実施)、さらに戦闘的なサウンドになった。

オレ:サウンドも素晴らしいけど、そもそもこのジュリア クアドリフォリオがすごくいいよね。
サクライ:メチャメチャいいと思います。
オレ:乗り心地がこんなにいいのに、相変わらずステアリングは強烈にクイックだし、エンジンはパワフルで気持ちいいし、すべてがオレ好みだよ!
サクライ:こんなにいいのに、なんで売れないんでしょう。

19インチの軽量アルミホイールやブラックのブレーキキャリパー、ダーク系のカラーでコーディネートされた「GIULIA」バッジなどでスポーティーに仕上げられた「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」。
19インチの軽量アルミホイールやブラックのブレーキキャリパー、ダーク系のカラーでコーディネートされた「GIULIA」バッジなどでスポーティーに仕上げられた「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」。拡大
アクラポビッチのマフラーは、ステキなサウンドを奏でながら首都高を快走。「RACE」モードではさらに戦闘的なサウンドになる。
アクラポビッチのマフラーは、ステキなサウンドを奏でながら首都高を快走。「RACE」モードではさらに戦闘的なサウンドになる。拡大
「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」のコックピット。今回試乗した外板色が「ヴェズヴィオグレー」の左ハンドル仕様車は、わずか4台の導入となる。
「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」のコックピット。今回試乗した外板色が「ヴェズヴィオグレー」の左ハンドル仕様車は、わずか4台の導入となる。拡大
「RACE」モード選択時にはメーターの表示デザインも変更される。センターに配置されたタコメーターとその横に備わるGメーターが、アグレッシブな走りと、卓越したポテンシャルを想起させる。
「RACE」モード選択時にはメーターの表示デザインも変更される。センターに配置されたタコメーターとその横に備わるGメーターが、アグレッシブな走りと、卓越したポテンシャルを想起させる。拡大

パフォーマンス的にお買い得

オレ:そりゃお高いから。だってこれ、1500万円くらいするでしょ。フツーのクアドリフォリオだって、1400万円くらいするじゃない。
サクライ:フェラーリとかよりも、ぜんぜん安いじゃないですか。
オレ:そうだけど、アルファ・ロメオで1400万円はキツイんだと思うよ。首都高走るには速すぎるし。首都高なら「ルークス」とか「クロスビー」のほうが楽しいじゃない。
サクライ:ま、そうですけど。
オレ:これの本領を発揮させるには、マガリガワ(コーンズ様が建設したドライビングクラブ)に行かないと。マガリガワ、走ったことある?
サクライ:行ったこともないです。
オレ:マガリガワは素晴らしいよ。ホントに最高だよ。
サクライ:なにが最高なんですか。
オレ:コースもホスピタリティーもすべてだよ! あんなコース、たぶん世界中にないな。
サクライ:へぇー。
オレ:でも会員権が3600万円だったかな(現在は不明)。このクルマより、マガリガワの会員権のほうがぜんぜん高い。つまり、マガリガワの会員さまには安すぎるし、首都高走るには高すぎるんだよ!

ジュリア クアドリフォリオ エストレマは最高だった。でも結局、走る場所がない気がした。だから、パフォーマンス的にお買い得な割に、意外と買う人が少ないのだろう。

いや、エストレマは限定46台なので売り切れると思うけど、フェラーリやランボルギーニがバカバカ売れてるのに比較すると、フツーのクアドリフォリオは思ったほど売れない。マガリガワの会員権が買えない私には、クロスビーがちょうどいい。それが二極化の真実なのだ。

(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一/車両協力=ステランティス ジャパン)

乗り心地がこんなにいいのに相変わらずステアリングは強烈にクイックだし、エンジンはパワフルで気持ちいい。そのすべてが自分好み! さすがアルファ・ロメオである。
乗り心地がこんなにいいのに相変わらずステアリングは強烈にクイックだし、エンジンはパワフルで気持ちいい。そのすべてが自分好み! さすがアルファ・ロメオである。拡大
ベースとなった「ジュリア クアドリフォリオ」に積まれる総アルミニウム製2.9リッターV6ツインターボエンジンの最高出力は510PSであるが、「エストレマ」では10PSアップの520PSに最高出力が向上している。トランスミッションはいずれも8段ATで後輪を駆動する。
ベースとなった「ジュリア クアドリフォリオ」に積まれる総アルミニウム製2.9リッターV6ツインターボエンジンの最高出力は510PSであるが、「エストレマ」では10PSアップの520PSに最高出力が向上している。トランスミッションはいずれも8段ATで後輪を駆動する。拡大
「ヴェズヴィオグレー」の外板色をまとった「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」のリアビュー。外板色は全6色から選択できる。日本への導入は計46台のみ。車両本体価格は1447万円である。
「ヴェズヴィオグレー」の外板色をまとった「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」のリアビュー。外板色は全6色から選択できる。日本への導入は計46台のみ。車両本体価格は1447万円である。拡大
マガリガワのコースに並んだわが愛車“黒まむしスッポン丸”こと「フェラーリ328GTS」と、コーンズ様が所有する「フェラーリ488ピスタ」(写真奥左)、そして「フェラーリ308GTB」(同奥右)。
マガリガワのコースに並んだわが愛車“黒まむしスッポン丸”こと「フェラーリ328GTS」と、コーンズ様が所有する「フェラーリ488ピスタ」(写真奥左)、そして「フェラーリ308GTB」(同奥右)。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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