「タイプR」とはここが違う! 「インテグラ タイプS」の詳細を開発者に聞いた
2026.04.06 デイリーコラム北米では“アキュラのスポーツカー”という位置づけ
米国で生産・販売されているスポーツセダン「アキュラ・インテグラ タイプS」が、大型SUVの「パスポート」ともども、日本に導入されることが正式に決定した(参照)。このクルマは、2026年の東京オートサロンにも出展されていたので、ご覧になった方も多いことだろう。今回は、このクルマの開発メンバーである藤田浩史さんより聞いた話をまとめたいと思う。
現行のインテグラは、ホンダのプレミアムブランドであるアキュラの擁するスポーツコンパクトで、2023年の北米カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いている。なかでも6段マニュアルトランスミッションと2リッターターボエンジンを搭載した高性能モデルがタイプSだ。その主要コンポーネントが「シビック タイプR」(以下、タイプR)ゆずりのものであることは、読者諸氏もすでにご存じだろう。
藤田さんはインテグラ タイプSについて、「北米市場において、個性を追求したいというお客さまへ向けた製品で、このクルマで自己表現してもらおうというのがコンセプト。ストリートで高い性能を発揮するクルマを目指しており、アキュラの迫力あるデザインとともに、タイプRゆずりのパワートレインやエンジンユニット、そしてさまざまな技術を投入している。性能と見た目の両方を兼ね備えた“アキュラのスポーツカー”という位置づけ」と説明する。
「シビック タイプR」との明確な違い
特に注意が払われたのは、北米にもタイプRが導入されていることから、そこと競合しないようにすることだ。留意されたのが活躍するステージで、タイプRがサーキット志向であるのに対し、インテグラ タイプSはストリート志向のクルマであることを重視。「乗り味を少しマイルドにし、エンジンのマッピングも変えるなど、サーキット以外でも楽しめることをコンセプトにチューニング/セッティングしています」と藤田さんは語る。
具体的には、「トルクを低・中回転域から出せるようにして、ストリートでより楽しめるようにし、また低速からトルクで走る迫力もより引き出しています。サスペンションには減衰力の調整機能が付いていますが、モード切り替えで一番ハードな『スポーツ』モードを選んでも、タイプRほど固くはなりません。タイプRも現行ではだいぶ乗り心地がよくなっていますが、それより乗りやすい仕上がりです」とのことだ。
加えて機能面では、電動シートなども採用して使い勝手を改善。シート自体もタイプRがバケットタイプであるのに対し、インテグラ タイプSのものは、ホールド性は高いものの、よりリラックスして乗れるシートとしている。こうした点にもクルマの性格が表れているといえるだろう。米国でのメインの購入層は、タイプRより少し上の世代で、より収入が高い層とのことだ。
ただの「シビックのアキュラ版」にあらず
またインテグラについては、シビックよりリアのオーバーハングをやや伸ばすことで、トランク容量の増大が図られている。この点からもわかるとおり、インテグラはプラットフォームこそシビックと共通ながら、ボディーは別物で、このクルマのために新規につくられたものなのだ。藤田さんはヘッドライト下を指さし、「『INTEGRA』と彫り込んでいます。GC2時代にリアバンパーにあったものを再現したもので、こういうところにも開発陣のこだわりを込めました」とコメントしつつ、上述した専用ボディーについて「スタイリングと性能が両立していることを、日本の皆さんにも知っていただきたい」と語った。
2026年後半に日本に導入されるというインテグラ タイプS。トランスミッションは6段MTのみで、かつ左ハンドルということもあり、台数自体は見込めそうもない。しかし、電気自動車の「Honda 0サルーン/SUV」や、ソニーとの共同開発車「アフィーラ」の計画中止などで、「大丈夫かホンダ」と心配されている今だからこそ、こうしたクルマで元気をアピールしてほしい。なにより古くからのファンとしては、インテグラの名前が復活するのはうれしいではないか。導入の事情はなんでもいい。まずは魅力的なラインナップをそろえ、あらためて足場を固め直し、そしてもう一度、「これぞホンダ!」というクルマをつくっていってほしい。
(文=内田俊一/写真=内田俊一、内田千鶴子、本田技研工業/編集=堀田剛資)

内田 俊一
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