ルノー・メガーヌツーリングワゴン1.6(4AT)【短評(後編)】
メガーヌワゴンの第一印象(後編) 2004.06.12 試乗記 ルノー・メガーヌツーリングワゴン1.6(4AT) ……246万7500円 フロアパネルをストレッチして後席の居住性を上げ、リアオーバーハングを伸ばしてクラス最大級の荷室を確保した「ルノー・メガーヌツーリングワゴン」。試乗した『webCG』コンテンツエディターのアオキは、しかし……。  拡大 | 
		
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いまひとつのドライブフィール
日本への正式輸入が始まった「ルノー・メガーヌツーリングワゴン」。文句ないパッケージングと比較して、運転してみた第一印象は、いまひとつパッとせなんだ。まずは、ハッチバックを試乗したときにも感じたどこか曖昧なステアリングフィールが、個人的にはどうもなじめない。
1.6リッター直4DOHC16バルブは可変バルブタイミング機構を備え、113ps/6000rpmの最高出力と15.5kgm/4200rpmの最大トルクを発生。しかも2000rpmで最大トルクの90%を得るという立派なスペックを誇るのだが、試乗会が開催された横浜の丘をドライブしていると、ときに「必要十分」と言い切れない痛痒感があった。この日は、カメラマンとの2名乗車だったが、520リッターのラゲッジスペースをフル活用したら「どうなっちゃうのか」と、ちょっぴり心配。
原因のひとつは、いま一歩シフトプログラムに洗練が足りない4段ATにある、と思う。シフターを前後することでギアを変えるマニュアルモードを備えた「プロアクティブ4AT」はしかし、ごく一般的なドライバーがそうであるように「D」レンジに入れたまま走ると、停車前のシフトダウンでのショックが大きく、また上り坂での加速時などにポジションを“迷う”ことがある。
ドライバーの意図を読むかのようにシフトダウンし、ギアを上げる“オートマニッポン!”のクルマに慣れ親しんでいると、すこしずつ小さな不満が蓄積する。本場ヨーロッパと比較すると、2ケタも販売台数がすくない日本市場のために、「右ハンドル+オートマ」モデルを用意してくれただけで“恩の字”とも言えますが……。
もっとも、5ドアハッチに続いてメガーヌワゴンをわが国でリリースするにあたり、シフト関係のソフトウェアに若干の変更が加えられた、とルノージャポンのスタッフは語っていたから、今後に期待できるかもしれない。同郷のライバル「プジョー」のATが、どんどんスムーズになっていったように。
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カングーとメガーヌ
日本におけるルノー車の販売は、昨2003年1-4月が754台。今年04年の同月間が1210台と、輸入車市場全体が厳しいなか善戦している。メガーヌツーリングワゴン1.6の試乗に先立ち、ルノージャポンのアラン・レーマン社長とお話することができた。
−−日本では、「カングー」とメガーヌが販売の牽引役というのがおもしろいですね。
レーマン:そう。カングーは日本にない類のクルマです。キャラクターが強くてわかりやすい。
−−メガーヌとの顧客層の違いは?
レーマン:カングーは、「コレ!」と決めていらっしゃるお客さまが多いですが、メガーヌは、ほかの輸入車と比較するようです。「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に乗っていた方が見に来たりします。
−−日本仕様のメガーヌツーリングワゴンは、ずいぶんスポーティな内装を選びましたね。
レーマン:はい。どちらかというと若者向けに、ダイナミックなイメージを押し出したかったからです。
−−このあと、マニュアルモデルも導入されるとか?
レーマン:そうです。もちろん、もっとルノー車を売りたい、という理由があります。選択肢を広げたい、と。いまでも、マニュアルモデルを選ぶお客さまは、2割もいらっしゃるのですよ。
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彼我の差
「2割も!」と驚いたあと、リポーターが僭越にも、「ルノーはヨーロッパでは大衆的な大メーカーですが、日本では、まず個性的なニッチモデルで認知度を上げるのが大事だと思います」と、カングーやMTモデルの正式輸入に賛意を示すと、「そうです!、そうです!!」と、ルノージャポンの社長は笑うのであった。
昨2003年に60万台弱を売った欧州Cセグメントにおけるベストセラー、メガーヌシリーズをしてニッチなモデルとして、また、本国ではデフォルト扱いのマニュアルモデルをあたかもスペシャルなスポーティバージョンのようにとらえるのは何だか妙なものだが、彼我の自動車事情の違いとして興味深くはある。まぁ、そのギャップが、輸入車に乗る醍醐味ともいえますが。
今年2004年の10月には、メガーヌのルノースポールバージョン(2リッターターボ225ps+6MT)と、ノーマル2リッターのやはり6MTモデル、12月には1.6+5MT、そして来2005年初頭にはオープンモデルが入る予定だという。楽しみである。
(文=webCGアオキ/写真=ルノージャポン/2004年6月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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