第34回:ディーゼルLOVE(後編)
2017.03.21 カーマニア人間国宝への道ボルボV40 D4という賢すぎる選択
(前編)からのつづき
「ランチア・デルタ1.6マルチジェット」を愛車とする清水草一、「ボルボV40 D4」を昨年購入した塩見 智、この2人による「ディーゼルLOVE」対談の後編をお届けする。
塩見 智(以下 塩):デキがよすぎるV40 D4からデルタに乗り換えて、セミATの変速のガックンが来た瞬間、実は逆に「これだろう!」とも思ったんですよ、マニア的には。
清水草一(以下 清):あ、デキが悪い! って思った瞬間に愛(いと)しくなる(笑)。
塩:俺が補ってやるっていう思いが湧きますね。MTよりスムーズに走らせるのが難しいし。
清:そうそう! MTのディーゼルこそ本場欧州の王道で、それに対する憧れはあるけど、MTをうまく転がすのはもう飽きた、みたいなところもあるんだよ!
塩:過去3台のセミAT車で、そこは満喫しました。逆にトルコン+ディーゼルなら継ぎ目のない大加速が味わえる。V40は8段ですし。
清:マニアが8段トルコンなんて乗ってていいのかって感じだね、堕落だ!
塩:一番実用一辺倒っていう部分はありますね。賢すぎる。
清:でも実際乗ると、賢すぎるのって、やっぱりイイね(笑)。
塩:デキが悪いのは嫌いじゃないんですけど、あまり続けて乗るとさすがに疲れてくる。疲れてクルマが嫌いになったら元も子もないので、ここらで休憩です。
清:ただ、レアさってのはマニア的に捨て難いよ。カーマニアが「コレなんだろう?」って凝視して、「デルタですか?」って聞いてくれる。ボルボV40じゃ絶対ありえない。というか、V40 D4に乗って登場しても、誰もマニアだとは思わない。
塩:典型的な賢い消費者ですから!
近所のちょこ乗りではもったいない!
清:ただ、ディーゼルに乗ってると、合わないシーンもあるなぁって痛感するよ。
塩:ありますね。
清:なによりも近所のちょこ乗り! 別にできるけど、合わない。特に冬。ディーゼルってエンジンが温まるまで時間がかかるでしょ、ガソリンより。デルタにはシートヒーターもないから、走り始めて10分は寒い。これが意外とツライ。
塩:V40も、特にECOモードだとずっと微風で冷風です。でもECOモードだとコースティング機能があるし、軽自動車みたいに車両停止前にエンジンが止まる攻めたアイドリングストップが使えるので、あるものは使いたい僕としてはECOモードを多用したいんですよ。体感的パワーダウンはわずかなので。だからずっと寒い!
清:ディーゼルってこんなに水温上がるのに時間かかるんだ! って実感するね。効率がいい分捨てる熱は少ないし、エンジンブロックが厚いから? そんなこと意識したことなかったんだけど。極低温だと軽油が凍るから、寒いところに行く時は現地で低温対応軽油を入れないとダメとか、そういう点もガソリン車より寒さに弱い印象あるなー。
塩:タフそうに見えて、意外と寒さには弱いんですよね。
清:それと、ちょこ乗りばっかりしてると、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)にススがたまってトラブルになるみたいだね。
塩:マツダがリコールしましたね。
清:ちょこ乗りオンリーだとDPF再生が働くタイミングがない。リコールの直接的な原因ではないらしいけど、マツダのディーラーでは数回に一度は30分以上の走行を勧めているようだね。ちょこ乗り用なら絶対ガソリン車がいい! ヒーターからもすぐあったかい風が出てくるし。
塩:ディーゼルは元来、ヨーロッパみたいな長い距離を走るのに合ったエンジンですから。
ディーゼルに乗らなきゃソン
清:先代「CX-5」は、ディーゼル比率が8割くらいだったけど、新型は半々にしたいってマツダが言ってるね。先代はスカイアクティブD第1弾だったから、営業的にもついディーゼル推しになって、ユーザー側も新しいものに惹(ひ)かれて、ちょこ乗り中心ユーザーまでディーゼルを買ってしまったと。
塩:日本の使用状況を考えると、ディーゼル向きじゃないユーザーは確実にいますよね。平均速度が低くて走行距離が短い人には宝の持ち腐れですから。でも逆に、ロングドライブが多めの人には、こんないいエンジンはない。日本ではガソリンより軽油がずっと安いし。こんな国も他にないですから。
清:そうなんだよね~。
塩:社会状況を考えても、軽油税だけが値上げされることはないでしょう。
清:運送業界はメッチャ苦しいからね。ちょっと前までは不況で運賃低下で苦しんで、今は人手不足で苦しんでて。軽油の値上げなんかできないよな。本来、ガソリンより軽油が安い理由は特にないんだけど。
塩:つまり、合ってる人はディーゼルに乗らなきゃソンですよ。
清:そうだよね!
塩:5リッターV8みたいな加速をするんですから。それで燃費が抜群にいい。貧者のV8ですよ!
清:あ、オレガソリンV8も持ってるんだ。
塩:イヤミだな~(笑)。
清:だからディーゼルは1.6。さすがにV8の加速はしないよ。せいぜい3リッターV6。
塩:バランス取ってますね。
(語り=清水草一、塩見 智/文=清水草一/写真=清水草一、塩見 智、池之平昌信、webCG/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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