第495回:“長持ち”だけが売りじゃない!
ダンロップの新製品「エナセーブEC204」の実力を試す
2018.04.12
エディターから一言
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ダンロップから新しいベーシックタイヤ「エナセーブEC204」が登場。「トータルライフの向上」をコンセプトに、さまざまな工夫が取り入れられた新製品の実力を、従来品との比較を通して確かめた。
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注力したのはロングライフ性能の向上
ダンロップの低燃費タイヤブランドである「エナセーブ」のベーシックタイヤが、「EC203」から「EC204」へとモデルチェンジを果たした。
その性格上、エナセーブに求められる条件は、ずばりロングライフ。消費者にとってはそれが最大の節約に直結するし、企業の側としても環境イメージにつながることになる。ということで、ここでは「より最後まで使える長持ちタイヤ」というキャッチフレーズを掲げたEC204が、どのようにその性能を上げてきたのかを技術的な側面で説明しながら、それがもたらした乗り味の変化についてもインプレッションしてみよう。
ダンロップがロングライフ性能で着目したのは、「偏摩耗」を防ぐことである。ご存じの通りタイヤは走れば減っていくものだが、その減り方をコントロールすることで、ライフを向上させようという考えだ。
具体的にはタイヤ全体を上級タイヤである「LE MANS V(ルマン ファイブ)」譲りのプロファイルで作り直し、トレッド面においては左右非対称パターンを採って、さらにランド比を上げた。ランド比とはトレッド面においてブロックやリブが占める割合であり、対して溝はシー(sea:海の意味)に見立てられ、これらの比率を「シーランド比」と言うことがある。
新プロファイルの採用によって、EC204は地面とタイヤが接地したときの接地面の形が、従来よりも丸くなった。これまでは直進時でも接地面はややスクエアな形をしており、特にその両端部分に圧力が集中していたのだが、接地圧が偏らなくなったことでタイヤが均一に減るようになったのだという。またコーナリング時には、アウト側ブロックへの圧力集中を減らすことで片減りを防いでいる。
耐摩耗性の向上が乗り心地の改善にも寄与
左右非対称パターンを採ったのは、アウト側ブロックの剛性を高めるためだ。これによってタイヤがよれにくくなり、すなわち接地面の形状が保たれて、ショルダー部分が片減りしにくくなる。タイヤは地面にこすれて減っていくものだが、よれることで密着度が低くなると、ゴムが削れるように減ってしまうのだ。
ちなみにこれを数値的に見ると、ゴム面積は従来のイン側:アウト側=50:50(左右対称)から、48:52へと僅かに変更されたという。また接地面積は従来のEC203から4%向上している。
こうした進化によって、EC204はEC203比で耐偏摩耗性能が16%、耐摩耗性能が4%向上したという。
興味深かったのはこのロングライフ性能が、乗り心地の良さに大きく貢献していたことだった。
当日は「日産リーフ」でEC204の試走をしたのだが(サイズは205/55R16)、特にこのタイヤは電気自動車(EV)との親和性が高かった。主に一般道を50km/hというごくごく当たり前な速度で走らせた印象ではあるが、室内がとても静かだったのである。EVはご存じの通りエンジンによる騒音が発生しないため、ロードノイズが余計に目立つもの。しかし、走行風が作り出すパターンノイズが速度域の関係で発生しにくい状況だったとはいえ、リーフはとても快適に市街地走行をこなしてくれたのであった。
進化のプロセスはどんなタイヤでも変わらない
リーフでの試走の後には、「トヨタ・プリウス」でEC203とEC204の比較、さらに格上タイヤとなるルマン ファイブとも乗り比べることができた(サイズはいずれも195/65R15)。
感心したのは直接乗り比べたことで、EC203のデキの良さをも確認できたことだった。確かにEC204に比べてその感触はぐにゃりとしており、ロードノイズは“ゴーッ”とうなる低周波がやや多い(音量自体は小さめ)。しかし、段差を越えても乗り心地は良く、穏やかな操舵フィーリングにはベーシックタイヤとしての素朴な良さを感じた。
対してEC204は低周波がカットされ、かつハンドリングも若干シャープになった。にも関わらずリーフより操舵時における接地感がきちんと出ているのは、プリウスのタイヤ径が細く、またフロントにエンジンとモーターを積む車両特性の違いによるものだと思う。
そして静粛性に関しては、なんとルマン ファイブを履いたプリウスよりもEC204を履いたリーフの方が高かったことをお伝えしておきたい。これはルマン ファイブの性能というよりも、リーフとプリウスの遮音性の違いによるものだと思うが。
当日はウエット性能や高速巡航性能を見ることができなかったが、こと一般的な市街地走行に対しては、特にコンベンショナルなFWD車においてEC204の高い快適性を確認することができた。そしてこの性能は、前述したロングライフ性能を満たすための技術がもたらしたものなのだと考えると、EC204はダンロップの狙い通りに進化を果たしたと言えると思う。
タイヤというのは面白いもので、突き詰めるとレーシングタイヤでもエコタイヤでも、同じプロセスで進化をしていく。接地面積を適正に保ち、偏摩耗を防ぐことで一方は速さを、一方はロングライフを実現しているのだが、ムダを省くという点でやっていることは同じなのである。
(文=山田弘樹/写真=住友ゴム工業/編集=堀田剛資)

山田 弘樹
ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。
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