第109回:駆けぬけるプチ故障
2018.10.30 カーマニア人間国宝への道ETC車載器に異常アリ!
激安中古車店で修復歴アリBMWを超激安でゲットし、問題なく走ればカーマニアの大勝利! という貴重なリポートをお送りした当連載ですが、“エリート特急”こと私の激安「BMW 320d」では、初めての故障が発生しました。
場所は、ETC車載器です。
ガク~~~~~~! となった方もいらっしゃるでしょう。あるいは「えっ、ETC車載器って故障するの?」と思われた方もおられることかと想像します。私もまったく想定しておりませんでした。
つーか、「そもそもETC車載器なんて、BMWじゃないじゃん」というのが、正常な反応でしょう。
が、BMWの場合、ソレは明らかにBMWの一部です。なぜならBMWのETC車載器は、カード挿入部がルームミラーにある、純正内蔵型だからです。
ある日、フツーにETC入り口ゲートに進入したところ、バーが開かずに急停車。係員のお世話になってしまいました。
「おかしーな、カードは入れっぱなしなのに」
思い返せば、エンジンスタートした時にいつも聞こえる、車載器の「ピッ」という音が聞こえなかったかも。
ルームミラーのETC表示部を見ると、「あっ、小さいランプが消えている!」
そこで初めて気づきました。ETCの電源が来てないと。つまり故障というより、断線とかそういうこと?
考えてみれば今年の頭、跳ね石を食らってフロントガラスを交換したんだった。つまり、ルームミラーなどフロントガラスにひっついていた部品は、すべて一度外して再装着したわけで、その際接点にテンションがかかり、10カ月後に断線。そういうこともあり得るだろう。わかんないけど。
久々の一般ゲート
ETC車載器の断線なんて、ものすご~くどうでもいい故障ですが、しかしETCが動かないと結構困るものです。ETC割引は全部効かないし、入り口では一般ゲートで通行券を取って、出口ではまた一般ゲートで支払いをしなきゃなんないんで。
私儀、本当に久しぶりにNEXCOの一般ゲートに入りましたが、あの懐かしい通行券を手で取らせていただき、目頭が熱くなりました。通行券の形態は不変でした! おかあさ~~~ん!
出口の一般ゲートでは、係のおじさんがあまりにも丁寧でビビりました。いつのまにかものすごい接客マニュアルみたいのができてるようで、「毎度ありがとうございます! ETCカードをお預かり致しました!」うんぬん、最敬礼の勢いでした。あ~もう日本の社会はサービス過剰だヨ! そこまでやんなくていーじゃんか! なんか狂ってるよ! なんてことまで思ったりして。
それにしても、ETC車載器の故障は結構困る。その日はNEXCOの高速道路だったからまだよかったが、首都高だったら悲惨だ。一般利用の場合、どんなに短距離でも上限の1300円払わなきゃなんないんだから。首都高研究家を名乗る私としては死活問題! 早く直さなきゃ!
そこでハタと気づきました。
これって、直すの意外と大変かも。
だって、車載器がルームミラー内蔵型なんだもん。しかも原因は電源が来ないこと。配線のどっかに問題があると推測されるが、それがどこかを突き止めるのって、結構大変そうな予感がする。
しかも、「やっぱ本体の故障でした」ってことになったら、ルームミラーごと交換つー羽目になる可能性がデカい。それって、そこらのオートバックスとかじゃムリっぽい。ディーラーに持ち込んだら、工賃含め容赦なく10万円とか取られそう!
どうしよう……。
まさかの自然治癒
その瞬間、私の頭に浮かんだ解決策。それは、「じゃ、新しいフツーの車載器付けちゃお!」でした。冴(さ)えてる~~~~!
そーすりゃ2万円くらいでできるから、修理するよりゼッタイ安い! ダブルETC車載器攻撃だ! 1個は死んでるけど、1個死んだからもう1個装備なんて、爆弾の補充みたいでカッコイイ! 激安BMWにふさわしいゼ! よっしゃ、そこらのオートバックスに出撃だ!
私はさっそうとエリート特急に乗り込み、エリート感あふれる我がマシーンを発進させた。
約1分後。
「ピッ」
聞き覚えのある電子音が耳に入った。反射的にルームミラーを見ると、“ETC OK”という文字が!
直った……。生き返った! エリートなBMW純正ルームミラー内蔵型ETC車載器が、息を吹き返しやがったぁ! 原因は不明!
私は長年ラテン車を乗り継いでおります関係上、「ラテン車の警告灯はほとんどが誤作動なので無視すべし」を戦訓としております。実際、しばらくほっとくと消灯します。これまですべてそうでした。
それを私は、ラテン車の自然治癒と呼んで慈しんでおりましたが、「そういった現象はドイツ車では絶対起きない! ドイツ車の警告灯は絶対なり!」とも聞いておりました。
実際、以前乗っていた「BMW 335iカブリオレ」で、メーターパネルに「トランスミッション異常」という日本語表示(さすがドイツ車)が出た時は、本当に見事にブチ壊れておりました。保証期間内でよかった~~~。
今回の故障では、警告灯の点灯はありませんでしたが、ETC車載器の電源が入らなくなり、3日後に自然治癒したことは事実。ドイツ車でもそういうことってあるんだネ!
しかしホントに直ったんだろうか。
以来私は、高速道路に乗るたびにビクビクしております。料金所手前では必ず、小さな表示灯の点灯を指さし確認! いつ切れるかわかんないから。
なお、今度死んだ時は、迷わずダブルETC車載器作戦を発動する予定です。敬礼!
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第333回:毛が生えようが、ハゲようが 2026.4.13 清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。
-
第332回:クルマ地味自慢 2026.3.30 清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は?
-
第331回:デカいぞ「ルークス」 2026.3.16 清水草一の話題の連載。首都高で新型「日産ルークス」の自然吸気モデルに試乗した。今、新車で購入される軽ハイトワゴンの8割はターボじゃないほうだと聞く。同じターボなしの愛車「ダイハツ・タント」と比較しつつ、カーマニア目線でチェックした。
-
第330回:「マカン」のことは忘れましょう 2026.3.2 清水草一の話題の連載。JAIA(日本自動車輸入組合)主催の報道関係者向け試乗会に参加し、「T-ハイブリッド」システムを搭載する「911タルガ4 GTS」とBEV「マカン ターボ」のステアリングを握った。電動化が進む最新ポルシェの走りやいかに。
-
第329回:没落貴族再建計画 2026.2.16 清水草一の話題の連載。JAIA(日本自動車輸入組合)が主催する報道関係者向け試乗会に参加し、最新の「マセラティ・グレカーレ」に試乗した。大貴族号こと18年落ち「クアトロポルテ」のオーナーとして、気になるマセラティの今を報告する。
-
NEW
「洗車でボディーにキズがつく」って本当ですか?
2026.4.21あの多田哲哉のクルマQ&Aマイカーは常にきれいな状態で維持したいものの、クルマ好きの間では「洗車することでボディーにキズがつく」「洗いすぎは害になる」という意見もある。実際のところ、どうなのか? 元トヨタの多田哲哉さんに聞いてみた。 -
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。






































