第624回:「メルセデス・ベンツSクラス」がいよいよ新型に! 革新の「ユーザーインターフェイス」を解説する
2020.07.29 エディターから一言 拡大 |
新型「メルセデス・ベンツSクラス」の発表に先駆け、独ダイムラーは同車に搭載する先進技術のデジタルカンファレンスをスタートした。全3回が予定されるカンファレンスのうち、今回は1回目で発表された先進的なユーザーインターフェイスについて解説する。
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Lセグメントのベンチマークがいよいよ世代交代
さる2020年7月8日、ダイムラーはコロナ禍の影響で延期されていた年次株主総会をリモートで開催。その席上、新型Sクラスを同年9月に初公開することをアナウンスした。
社内コードW223型になると目される新型Sクラスについては、公道テストが始まった2年近く前からカムフラージュが施された姿が幾度となくスクープされてきた。W222型でビジネスフォーマルリムジンとして好評を得たメルセデス・マイバッハモデルの継続も、既に公然化している。
こうした背景を受けてか、今秋の発表に先駆けてダイムラーはこの5月に新型Sクラスのフロントまわりを部分的に公開するというティーザーに打って出た。フラッグシップのフルモデルチェンジとあらば徹底的な秘匿で引っ張った末のワールドプレミア……というのが常套(じょうとう)だが、携帯端末やSNSがここまで普及したご時世では隠すより見せるという盛り上げ方もあると、ダイムラーとしてもそういう判断があったのだと察せられる。
そんな中、株主総会とあわせるように行われたのが、新型Sクラスに搭載予定の新技術にまつわるメディア向けのデジタルカンファレンスだ。この7〜8月にかけて3度にわたって行われるその最初のテーマとなったのは、ユーザーインターフェイス(以下、UI)だった。
5面のディスプレイと多彩な操作システム
新型Sクラスの車内には、メータークラスターを含め前席まわりで2面、アームレストのコントロールパネルを含め、後席まわりで3面と、最大5面のディスプレイが配置される。その中軸となるのがセンターコンソールに据えられた12.8型のLG製OLEDディスプレイだ。
応答レスポンスの素早い4K水準の高精細表示を可能としながら、一方で30%の消費電力削減を両立したというそこには、ネットコンテンツも充実させたエンターテインメントやナビゲーション、多様な車両情報とその設定画面などを表示。さらに後席2面のディスプレイでは、おのおのに独立したコンテンツの利用が可能となっている。これらのオペレーションのために搭載される心臓部は、先代に対して50%処理能力を高めたプロセッサー、691ギガフロップのGPU、16GBのRAMに320GBのSSDと、さながら高性能PCのようだ。
各機能のコントロールは、画面を直接タッチするほかに、一新されたステアリングのサムスイッチ、さらには進化したAI対話型ボイスコントロールシステム「MBUX」とも連携する。画面部にはハプティックフィードバックが採用されており、ユーザーは触感でも機能の作動確認が可能。これらの連携によって、新型Sクラスでは27の物理的なコントロールスイッチを廃するに至ったという。一方で、空調関係は階層を設けず縦長のOLEDディスプレイの下部に常時表示するなど、ユーザビリティーにも配慮がなされている。
ARが実現するインターフェイスの進化
ほかにも、マイクの指向性からコマンドを発している席を判定し、おのおののパッセンジャーが求める機能を的確に提供するMBUXの新ロジックや、ジェスチャーによるサンシェードやサンルーフのコントロール、必要情報のみを最低限表示する「アンダーステートメントモード」を含めた、多彩なメーターグラフィックやアンビエント機能など、新型Sクラスの新たなUIはここでは触れきれないほど多岐にわたる。が、とりわけ注目されるのはAR(拡張現実)技術を用いて先進運転支援システム(ADAS)の作動表示やナビの道案内などを前面の風景と連携させるHUD(ヘッドアップディスプレイ)システムだ。その3次元的な表現方法は、UIの新たな技術的指標を予感させる。
新型Sクラスのデジタルカンファレンスでは、この後に安全性、続いて快適性にまつわる新たな技術が紹介される予定だ。それらの詳報は追ってお伝えしたい。(つづく)
(文=渡辺敏史/写真=ダイムラー/編集=堀田剛資)
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渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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