レクサスNX450h+“バージョンL”(4WD/CVT)
ここからが楽しみだ 2022.02.23 試乗記 レクサス自らが「新世代の幕開け」「体幹から鍛え直した」とうたう新型「NX」。乗ってみるとその言葉に偽りはなく、既存のモデルと比べてプレミアム感が飛躍的に向上していることが分かる。プラグインハイブリッドモデル(PHEV)「450h+」の印象を報告する。これまでなかったんだっけ?
2代目に生まれ変わったレクサスNXの注目は、レクサスとして初めてのPHEVが加わったこと。これまでラインナップされていなかったのが不思議なぐらいで、トヨタは電動化で遅れていると主張する人たちはほら見たことか、と勢いづくかもしれないが、レクサスの主戦場はどこかということを考えれば別に不思議でも何でもない。レクサスブランドの主要市場は今も北米、そして中国である。先ごろ発表された昨2021年の世界販売台数は約76万台(コロナウイルス感染症の影響があった2020年はおよそ72万台、2019年は76.5万台で過去最高)だったが、地域別で見ると相変わらず北米(33.2万台)と中国市場(22.7万台)でその7割強を占めている(それに対して欧州は7.2万台、国内販売は5.1万台)。一番売れているマーケットに適したモデルを優先するのはビジネスとして当然である。
とはいえ、手薄だったミドルクラス以下を放置しておくわけにもいかず、そこを埋めるために2014年に発売されたのがNXであり、今ではSUVの「RX」とセダンの「ES」に続くレクサスの3本柱のひとつである。従来型は、2リッター直噴ターボの「300」(当初は「200t」)と2.5リッター自然吸気エンジン+モーターのハイブリッド「300h」の2本立てだったが、レクサス自身がグローバルコアモデルと位置づける新型は、さまざまな市場向けに4種類のパワートレインに倍増した。
すなわちA25A系2.5リッター4気筒自然吸気エンジンを積む「NX250」、さらに新開発の2.4リッター4気筒直噴ターボエンジン搭載の「350」、2.5リッターエンジンに従来よりもパワフルなモーターを組み合わせた「350h」と、それに加えて充電機能とより大きな駆動用バッテリーを搭載したPHEVの450h+というラインナップだ。250と350hにはそれぞれFWDとAWDが用意され、350と450h+はAWDのみ。350が電子制御油圧カップリングを用いるAWDに対し、ハイブリッド系はリアアクスルをモーターで駆動するいわゆる「E-Four」である。
重いがパワフル
新型NXのエンジンと駆動方式の組み合わせは上述のように6種類もあるが、そのなかのフラッグシップが新登場のPHEVである450h+で、“Fスポーツ”と“バージョンL”の2種が用意される。試乗車はラグジュアリー志向の後者である。450h+は最高出力185PS/6000rpmと最大トルク228N・m/3600-3700rpmを生み出すガソリン2.5リッター4気筒に加えて、フロントモーター(182PS/270N・m)とリアアクスルを駆動するリアモーター(54PS/121N・m)を搭載する電気式4WDである。エンジン出力は「RAV4 PHV」よりもわずかに強力だが、モーター出力や容量18.1kWhのリチウムイオン電池は同じでEV走行距離は88km(RAV4 PHVは95km)とされている。外部充電はヨーロッパ車のように普通充電のみ可能で(100V・6Aで満充電まで約33時間、200V・16Aで5時間半という)、CHAdeMO等の急速充電システムには対応していない。
「EVモード」「オートEV/HVモード」「チャージモード」などを選べるものの、バッテリー残量が十分な場合は基本的にEV走行がメインだから、滑らかに静かに走りだすことは言うまでもなく、そこからかなり踏み込んでもEV走行のまま楽々と、しかもたくましく加速する。いざ必要な時は2t超の重いボディーにもかかわらず、ちょっとびっくりするほどの駿足を見せるのは、さすがシステム最高出力309PSである。0-100km/h加速も6.0秒というから、その辺のホットハッチが青くなるほどのダッシュ力を持つ。
それでもRAV4 PHVのような荒々しさを感じないのは、やはり強靱(きょうじん)でいかにも建て付けのいいボディーのおかげだろう。ラフなバイブレーションやノイズを伝えず、スッキリ滑らかな身のこなしは新型NX各車に共通する美点である。一新されたインフォテインメントシステムや電磁式ドアハンドル「eラッチ」などの新機軸に目が向きがちだが、実は土台となるボディーが徹底的に強化されているのだ。
見えるところも見えない場所も
新型NXは「GA-K」プラットフォーム、すなわちRAV4や「ハリアー」と共通の車台に一新されているが、もちろんそのままというわけではなく、ボディー骨格全体に手が加えられている。フロント部やフロア下に補強が加えられているうえに、リアゲートの開口部まわりには最近常識となりつつある環状構造が組み込まれ、さらにレーザースクリューウエルディングやレーザーピーニングなどの新しい溶接方法、構造用接着剤を活用して接合部を強化している。
また先の「IS」と同じくボルトによるハブ締結や、ツインフードロック機構(ボンネットのロッカー左右2点支持)など、細かい点だが剛性向上に貢献する手法も取り入れられている。このような細部へのこだわりの積み重ねがプレミアムなクオリティーにつながることは分かってはいても、それまではさまざまな理由から(結局はすべてコストだが)採用できなかった手法を今回は数多く取り入れることができたようだ。
新型NXはレクサス変革の第1弾と位置づけられており、今後は他の車種にも同様の手法が展開されていくはずである。そうこなくちゃ、というものだ。ちなみに、荒れた路面では時折20インチのランフラットタイヤのバタつきを抑え切れないようだった“Fスポーツ”(ボディー前後のパフォーマンスダンパーと可変ダンパーを標準装備)よりも、この“バージョンL”のほうがより滑らかでまろやかな足さばきを見せた。
デジタル関係も追いついた
従来型ではドイツのプレミアム勢に対して明らかに見劣りしていたインフォテインメントシステムなどが一新されたことも新世代レクサスを印象づけている。インストゥルメントパネルは左右非対称デザインに改められ、中央のタッチディスプレイはグレードによって2サイズあるが(14インチまたは9.8インチ)、オーディオスイッチと空調コントロールダイヤルは物理スイッチとして独立しており、また従来のリモートタッチが廃された代わりに「ヘイ、レクサス」で起動する音声エージェント(NXが初めてという)やステアリングホイール上の新形状スイッチが採用されており、以前よりは明らかに使い勝手が向上している。
欲を言えば、メーター内のグラフィックやヘッドアップディスプレイの表示をもっと簡潔に見やすく整理してもらいたいところだが、視力のいい若い世代は気にならないのかもしれない。もうひとつ、回すとやはり耳障りなエンジン音をもっと健康的な音質にしてもらえば言うことなしである。
ようやく、という気がしないでもないが、これからのレクサスは期待できるのではないか、と感じさせられた新型NXである。
(文=高平高輝/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
レクサスNX450h+“バージョンL”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4660×1865×1660mm
ホイールベース:2690mm
車重:2030kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:185PS(136kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:228N・m(23.2kgf・m)/3600-3700rpm
フロントモーター最高出力:182PS(134kW)
フロントモーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:309PS(227kW)
タイヤ:(前)235/50R20 100V/(後)235/50R20 100V(ブリヂストン・アレンザ001 RFT)
燃費:19.8km/リッター(WLTCモード)
価格:714万円/テスト車=781万7600円
オプション装備:パノラミックビューモニター<床下表示機能付き>+パーキングサポートブレーキ<後方歩行者>+緊急時操舵支援<アクティブ操舵機能付き>+フロントクロストラフィックアシスト+レーンチェンジアシスト(9万5700円)/レクサスチームメイト アドバンストパーク<リモート機能付き>+パーキングサポートブレーキ<周囲静止物>(13万9700円)/別体型ディスクプレーヤー(18万1500円)/ルーフレール(3万3000円)/デジタルキー(3万3000円)/ムーンルーフ<チルト&スライド式>(11万円)/おくだけ充電(1万3200円)/充電ケーブル<AC200V用・15m>(8800円)/デジタルインナーミラー(4万4000円)/寒冷地仕様<LEDリアフォグランプ+ウインドシールドデアイサー>(1万8700円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:2627km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:358.5km
使用燃料:26.6リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:13.5km/リッター(満タン法)/13.4km/リッター(車載燃費計計測値)

高平 高輝
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