新車も中古も高すぎる!! クルマ好きはどうすりゃいいの?
2022.08.08 デイリーコラム3年で100万円超の値上げって……!?
いま、クルマは完全な売り手市場。新車は半導体不足などにより納期が異常に長くなり、値引きどころか手に入ればめっけもんだ。中古車は一部が暴騰、平均しても2~3割相場が上昇。登録済み未使用車も激減し、クルマを買う側にとっては暗黒時代になってしまった。
新車価格の値上げも続いている。特に目立つのが輸入車だ。原材料高に加えてこの円安なので仕方ないが、ますます暗黒時代だ。
ステランティス ジャパンは、2022年7月27日、プジョー全モデルの車両本体価格を2.0~5.0%値上げすると発表した。例えば「プジョー508 GT BlueHDi」は11万9000円値上げされ、8月22日から608万1000円になる。ヒエ~!
実は私儀、つい先般、中古の508を契約したのでございますよ!
買ったのは、2019年式の508 GT BlueHDi。当時の新車価格を調べてみたら、たったの(?)492万円だった。今より100万円以上安かったのかぁ。いったい、いつの間にこんなに値上がりしたんだろう。
調べてみると、細かく細かく価格改定が繰り返され、約3年で約116万円も高くなっていたのですね。100万円以上の値上がりって、フルモデルチェンジでもそうそうない。いまわれわれは時代の嵐の真っただ中にいるのを実感する。
プジョー508は、2019年の登場当時、「コスパの高い上質なセダン/SW(ステーションワゴン)」といわれた。なにしろガソリンエンジンのスタンダードモデル「アリュール」は417万円だったんだから。現在アリュールは消滅し、最安がガソリン車「GT」の570万4000円。ぼうぜん。ほぼドイツ御三家の価格帯に移行してしまった。3年前を知る者は、ちょっと手が出ない。手が出ないけど、手を出さないと永遠に買えないかもしれない。いったいどうすればいいんでしょう!?
![]() |
![]() |
![]() |
ねらうは「掘り出し物」と「人気車種」
そこで私は、取りあえず中古車を検索したのです。結果、コスパ抜群だった頃の508の中古車は、いまでもかなりコスパが高かったわけですね。
私が買ったのは、508 GT BlueHDiのなかでは日本で2番目に安い個体(検索当時)で、車両本体価格299万円。前述のように元値は492万円なので、中古車としては「まあまあかな~」くらいのレベルだけど、いま新車を買ったら608万円すると思えば、「うおおおお、激安だぜ!」となる。
実は、「ホンダ・シビックe:HEV」(新車)が欲しいなぁと思ったりしていたのですが、2022年6月の段階で納車待ち7カ月。今どきこの納期は長いほうじゃないけれど、それでもやっぱりかなり長い。そこで、何の気なしに中古車サイトを検索したら、299万円の508にブチ当たり、ビビビときてしまいました。
プジョー508は超絶スカしたイケてるセダンだけれど、世間のセダン離れもあって、決して人気モデルではない。だからこそこういう“宝物”が残っていたわけですね。カーマニアがいま狙うべき第1候補は、このテの掘り出し物ではないでしょうか。
じゃなかったら、値上がりが確定的な人気モデルの新車にアタックするのが王道だろう。例えば、新型「シビック タイプR」のような。
シビック タイプRの場合、ディーラーによって先着順だったり抽選だったりしたようですが、とにもかくにも買えればもうけもんと考えて、速攻で申し込む! 知り合いのフェラーリオーナーさまは、速攻で申し込んだ結果、抽選で当たったそうです。やるなぁ。迷ってる時間はない、とにかく出足が勝負! タイプRはすでに売り切れ(?)状態らしいけれど、次なる獲物が出たら、必ず速攻をかけよう! ダメだったら次! 数打ちゃ当たるで攻め続けよう!
……と口で言うのは簡単だけど、私にはできないなぁ。高価なスポーツモデルを迷わず申し込めるのは、懐にも車庫にも余裕のある人が多いわけで、結局お金持ちはますますお金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になるんですね。涙が出ます。
(文=清水草一/写真=清水草一、日産自動車、本田技研工業、ステランティス ジャパン/編集=関 顕也)
![]() |
![]() |
![]() |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
商用車という名の国民車! 「トヨタ・ハイエース」はなぜ大人気なのか?NEW 2025.9.8 メジャーな商用車でありながら、夏のアウトドアや車中泊シーンでも多く見られる「ハイエース」。もはや“社会的インフラ車”ともいえる、同車の商品力の高さとは? 海外での反応も含め、事情に詳しい工藤貴宏がリポートする。
-
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性 2025.9.5 あのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。
-
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代 2025.9.4 24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。
-
マツダの将来を担う次世代バイオディーゼル燃料 需給拡大に向けた最新の取り組みを知る 2025.9.3 ディーゼルエンジンを主力とするマツダにとって、カーボンニュートラルを実現した次世代バイオディーゼル燃料は生命線ともいえる存在だ。関係各社を巻き込んで需給拡大を図るマツダの取り組みと、次世代燃料の最新事情を紹介する。
-
意外とクルマは苦手かも!? 自動車メディアの領域で、今のAIにできること、できないこと 2025.9.1 AIは今や、文章のみならず画像や動画もすぐに生成できるレベルへと発展している。では、それらを扱うメディア、なかでもわれわれ自動車メディアはどう活用できるのか? このテクノロジーの現在地について考える。
-
NEW
MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル(FF/7AT)【試乗記】
2025.9.8試乗記「MINIコンバーチブル」に「ジョンクーパーワークス」が登場。4人が乗れる小さなボディーにハイパワーエンジンを搭載。おまけ(ではないが)に屋根まで開く、まさに全部入りの豪華モデルだ。頭上に夏の終わりの空気を感じつつ、その仕上がりを試した。 -
NEW
第318回:種の多様性
2025.9.8カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。ステランティスが激推しするマイルドハイブリッドパワートレインが、フレンチクーペSUV「プジョー408」にも搭載された。夜の首都高で筋金入りのカーマニアは、イタフラ系MHEVの増殖に何を感じたのか。 -
NEW
商用車という名の国民車! 「トヨタ・ハイエース」はなぜ大人気なのか?
2025.9.8デイリーコラムメジャーな商用車でありながら、夏のアウトドアや車中泊シーンでも多く見られる「ハイエース」。もはや“社会的インフラ車”ともいえる、同車の商品力の高さとは? 海外での反応も含め、事情に詳しい工藤貴宏がリポートする。 -
フォルクスワーゲン・ゴルフRアドバンス(前編)
2025.9.7ミスター・スバル 辰己英治の目利き「フォルクスワーゲン・ゴルフ」のなかでも、走りのパフォーマンスを突き詰めたモデルとなるのが「ゴルフR」だ。かつて自身が鍛えた「スバルWRX」と同じく、高出力の4気筒ターボエンジンと4WDを組み合わせたこのマシンを、辰己英治氏はどう見るか? -
ロイヤルエンフィールド・クラシック650(6MT)【レビュー】
2025.9.6試乗記空冷2気筒エンジンを搭載した、名門ロイヤルエンフィールドの古くて新しいモーターサイクル「クラシック650」。ブランドのDNAを最も純粋に表現したという一台は、ゆっくり、ゆったり走って楽しい、余裕を持った大人のバイクに仕上がっていた。 -
BMWの今後を占う重要プロダクト 「ノイエクラッセX」改め新型「iX3」がデビュー
2025.9.5エディターから一言かねてクルマ好きを騒がせてきたBMWの「ノイエクラッセX」がついにベールを脱いだ。新型「iX3」は、デザインはもちろん、駆動系やインフォテインメントシステムなどがすべて刷新された新時代の電気自動車だ。その中身を解説する。