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第719回:ドライ/ウエット路面での走りは? グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズGEN-3」を真夏に試す

2022.08.26 エディターから一言 生方 聡
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2022年8月に発売されたグッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズGEN-3」。今回はドライ路面とウエット路面でその実力を確かめた。
2022年8月に発売されたグッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズGEN-3」。今回はドライ路面とウエット路面でその実力を確かめた。拡大

欧州で開発・製造されたグッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズ」の第3世代モデル「GEN-3」が上陸した。オールシーズンタイヤの利便性を印象づけた立役者は、いかなる進化を遂げたのか。ウエット路面とドライ路面で走りを確かめた。

「グッドイヤー・ベクター4シーズンズGEN-3」(写真中央)と、SUV向けの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」(同右)、1980年代に販売された初代「ベクター」(同左)。
「グッドイヤー・ベクター4シーズンズGEN-3」(写真中央)と、SUV向けの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」(同右)、1980年代に販売された初代「ベクター」(同左)。拡大
「ベクター4シーズンズGEN-3」のサイドウォール。「Vector 4Seasons」のロゴの下に「Gen-3」の文字が入る。サイドウォールは、グッドイヤーの最新CIを用いてデザインされている。
「ベクター4シーズンズGEN-3」のサイドウォール。「Vector 4Seasons」のロゴの下に「Gen-3」の文字が入る。サイドウォールは、グッドイヤーの最新CIを用いてデザインされている。拡大
前輪駆動の「アウディA4」に装着された225/50R17サイズの「ベクター4シーズンズGEN-3」。GEN-3はルクセンブルクで設計・開発が行われ、ドイツ、フランス、ポーランド、スロベニアの4拠点で製造される。
前輪駆動の「アウディA4」に装着された225/50R17サイズの「ベクター4シーズンズGEN-3」。GEN-3はルクセンブルクで設計・開発が行われ、ドイツ、フランス、ポーランド、スロベニアの4拠点で製造される。拡大

オールシーズンタイヤの上位モデル

サマータイヤと同等のドライ/ウエット性能を持ちながら、雪道も走れるオールラウンドなタイヤとして人気が高まっているのがオールシーズンタイヤだ。ここ数年だけでも、本数ベースにおける販売指数の年平均成長率は10%程度といわれ、今後もオールシーズンタイヤの市場は拡大すると予想されている。

こうしたブームの立役者が、2009年に発売されたグッドイヤーのベクター4シーズンズである。2022年8月にはその最新版となるベクター4シーズンズGEN-3が日本でも発売になった。GEN-3は“Generation 3”、つまり、3代目という意味で、2016年に日本で発売された「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」が第2世代にあたる。

グッドイヤーは、ベクター4シーズンズGEN-3をベクター4シーズンズ ハイブリッドの上位モデルと位置づけ、スノー性能やドライ/ウエット性能の向上を図るとともに、静粛性や乗り心地の改善に力を入れたという。SUV向けの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」もラインナップされている。

突然の雪道でも不安なし

ベクター4シーズンズ ハイブリッド同様、ベクター4シーズンズGEN-3もまた、方向性のある特徴的なV字型パターンを採用。主にセンター部分がスノー性能に寄与し、中央に向かって溝が細くなる「新Vシェイプドトレッド」やトレッドのセンター部分に設けられた大型のサイプが、雪上のグリップを向上させている。

実はベクター4シーズンズGEN-3の発売に先立ち、その雪上性能を試す機会があった。詳しくは『第709回:四季を通じて“安心安全”を提供 「グッドイヤー・ベクター4シーズンズGEN-3」を試す』をご一読いただくとして、ベクター4シーズンズ ハイブリッドをさらに上回るスノー性能により、少なくとも雪上であれば安心して走る・曲がる・止まることができる性能を有しているのが確認できた。

一方、オールシーズンタイヤを使ううえで特に気になるのが、雪上以外での性能である。仮に東京で年に3日間、雪道を走るとして、それは全体の1%に満たない。10日と見積もっても、年間の97%はドライまたはウエットでの走行である。それだけに、スノー以外の性能の善しあしは、オールシーズンタイヤを選ぶうえでは重要なポイントになってくるのだ。

「ベクター」シリーズに共通する特徴的なV字型のトレッドパターン。「ベクター4シーズンズGEN-3」では、センター部に向かって溝の幅を細くするなどしてノイズの低減を図っている。
「ベクター」シリーズに共通する特徴的なV字型のトレッドパターン。「ベクター4シーズンズGEN-3」では、センター部に向かって溝の幅を細くするなどしてノイズの低減を図っている。拡大
後輪駆動の「メルセデス・ベンツC200」に装着された「ベクター4シーズンズGEN-3」のサイズは225/50R17。従来品の「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」と比べ、パターンノイズを36%、ロードノイズを31%低減させたという。
後輪駆動の「メルセデス・ベンツC200」に装着された「ベクター4シーズンズGEN-3」のサイズは225/50R17。従来品の「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」と比べ、パターンノイズを36%、ロードノイズを31%低減させたという。拡大
ドライ路面でのハンドリング性能を向上させつつ、「新オールウェザーシリカコンパウンド」の配合により、ウエット性能が長く維持できるように進化したという。
ドライ路面でのハンドリング性能を向上させつつ、「新オールウェザーシリカコンパウンド」の配合により、ウエット性能が長く維持できるように進化したという。拡大

ワンランク上のドライ/ウエットグリップ

そんな疑問に答えるべく、今回の試乗イベントでは、ベクター4シーズンズGEN-3を雪上以外のシーンで試すことができた。

ベクター4シーズンズGEN-3では、トレッド下部のゴム層とショルダーブロックを強化することでタイヤの変形を抑え、ドライ路面でのハンドリング性能を向上。一方、摩耗が進むと溝が広がるデザインにより、ウエット性能が長く維持できるようにしたという。

実際にベクター4シーズンズ ハイブリッドとベクター4シーズンズGEN-3を乗り比べてみると、その進化は明らか。「日産リーフ」を使ったスラロームコースでは、発進からグリップ性能の高さが実感でき、コーナーでもより安定した動きを見せてくれる。少しスピードを上げると、ベクター4シーズンズ ハイブリッドではリアが不安定になったが、ベクター4シーズンズGEN-3ではしっかりとグリップしていたのも大きな違いである。

ウエット路では70km/hからのフルブレーキングを行ったが、ベクター4シーズンズGEN-3はより確実に路面を捉える感触がある。制動距離もベクター4シーズンズ ハイブリッドが約19mだったのに対して、ベクター4シーズンズGEN-3は約18mと1mの差がついた。

225/50R17サイズの「ベクター4シーズンズGEN-3」が装着された「アウディA4」で、一般道を試走。従来モデルの「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」よりもしっかりとロードノイズが抑えられていた。
225/50R17サイズの「ベクター4シーズンズGEN-3」が装着された「アウディA4」で、一般道を試走。従来モデルの「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」よりもしっかりとロードノイズが抑えられていた。拡大
「ベクター4シーズンズ」の「ハイブリッド」と最新の「GEN-3」を装着した「日産リーフ」を乗り比べ、走りの違いをチェック。スピードを上げてもGEN-3はリアが安定しており、ドライ路面での性能向上が確認できた。
「ベクター4シーズンズ」の「ハイブリッド」と最新の「GEN-3」を装着した「日産リーフ」を乗り比べ、走りの違いをチェック。スピードを上げてもGEN-3はリアが安定しており、ドライ路面での性能向上が確認できた。拡大
「トヨタ・カムリ」を用いてウエット路面でのブレーキングテストを行った。制動距離は「ベクター4シーズンズ」の「ハイブリッド」が約19mだったのに対して、「GEN-3」は約18mと1mの差がついた。
「トヨタ・カムリ」を用いてウエット路面でのブレーキングテストを行った。制動距離は「ベクター4シーズンズ」の「ハイブリッド」が約19mだったのに対して、「GEN-3」は約18mと1mの差がついた。拡大

うれしい快適性の向上

個人的に一番興味があったのが、ベクター4シーズンズGEN-3の静粛性と乗り心地。実はかつて愛車にベクター4シーズンズ ハイブリッドを装着していたことがあり、スノー性能に加えて、ドライ/ウエット性能については十分満足していたのだが、コンフォート系のサマータイヤと比べると、ロードノイズやパターンノイズがやや目立ち、また、乗り心地にも粗さがあるのが気になっていたのだ。

試乗では一般道でベクター4シーズンズ ハイブリッドとベクター4シーズンズGEN-3を比較できたが、ベクター4シーズンズ ハイブリッドでは路面とのコンタクトがややザラついていて、舗装によってはタイヤがバタつくような場面があった。

これに対してベクター4シーズンズGEN-3は、乗り心地がマイルドになり、タイヤのしっかりした感触のなかにもしなやかさが認められ、快適さは明確に向上。ロードノイズもよく抑えられており、ベクター4シーズンズGEN-3の進化には驚くばかりだった。

これまでいろいろなオールシーズンタイヤを試してきて、現在は愛車に別ブランドの製品を装着している。今回の好印象を考えれば、次に履き替えるときにはこのベクター4シーズンズGEN-3が最有力候補になりそうだ。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」を装着した「トヨタ・ハリアー」で、ウエット路面を試走。GEN-3 SUVはオーバーレイヤーの多層構造が採用され、乗用車用よりもタイヤ内部の剛性が高められている。
「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」を装着した「トヨタ・ハリアー」で、ウエット路面を試走。GEN-3 SUVはオーバーレイヤーの多層構造が採用され、乗用車用よりもタイヤ内部の剛性が高められている。拡大
今回、ウエット路面でのブレーキテストを行う際に、ドリフトボックスを用いて速度と制動距離を比較計測することができた。
今回、ウエット路面でのブレーキテストを行う際に、ドリフトボックスを用いて速度と制動距離を比較計測することができた。拡大
「ベクター4シーズンズGEN-3」は185/60R15から255/40R19までの21種類、「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」は225/60R17から255/50R20までの5種類がラインナップされ、いずれもオープン価格での販売となる。
「ベクター4シーズンズGEN-3」は185/60R15から255/40R19までの21種類、「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」は225/60R17から255/50R20までの5種類がラインナップされ、いずれもオープン価格での販売となる。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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