新型車「クラウン スポーツ」正式デビュー トヨタの既存SUVとの“食い合い”は……?
2023.10.16 デイリーコラムトヨタのSUVは10車種以上
トヨタから新型車「クラウン スポーツ」が発表された。発売時期はハイブリッド版が2023年11月ごろ、プラグインハイブリッド版が同12月ごろになるという。ちなみに、「クラウン セダン」も11月ごろに発売され、「クラウン エステート」が2023年度内に発売されることも予告された。これで、2022年秋に始まった新世代の「クラウン」シリーズが勢ぞろいすることになる。
ここで、ひとつ気になることがある。それは“食い合い”だ。トヨタは、このクラウンシリーズ以外にも数多くのSUVを販売している。あまりにも数が多いために顧客がかぶってしまって、食い合いになるのではないだろうか? そんな疑問だ。
では、実際にトヨタが販売するSUVはいくつあるだろうか。クロスオーバーも加えてカウントしてみよう。名前を挙げれば、「ライズ」「ヤリス クロス」「カローラ クロス」「RAV4」「ハリアー」「bZ4X」「クラウン クロスオーバー」「ランドクルーザープラド」「ランドクルーザー(300系)」がある。先だって発表された新しい「センチュリー」もSUVの範疇(はんちゅう)に入れていいだろう。ここまでで10モデル。
このうちランドクルーザープラドはフルモデルチェンジが予定されており、後継と目される「ランドクルーザー“250”」になる。同時に「ランドクルーザー“70”」の復活もある。これにクラウン スポーツ、そしてクラウン エステートが加わる。つまり、2024年の春になれば、トヨタのクロスオーバー/SUV系ラインナップは13モデルにまで増えてしまうのだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
極めて戦略的な新型車
そこで、価格が判明しているSUVを、全長と価格(グレード内最低価格)の2軸でもって散布図のグラフにしてみた(2500万円とケタ違いのセンチュリーは含めず)。すると面白いことがわかった。見事なまでに、サイズと価格がバラバラになっていたのだ。


唯一、全長と価格がかぶっていたのがクラウン スポーツとbZ4X。ただし、bZ4Xは電気自動車という特殊な存在である。補助金の対象にもなるため、実際には、もっと安い価格帯に位置する。例外と考えていいだろう。
実はかなりの個性派
そんな例外を除けば、10を超えるSUVが、見事にサイズと価格がかぶらないようになっている。それだけトヨタは、しっかりと車種ごとのポジショニングに配慮しているというわけだ。
ちなみに、クラウン スポーツに最もボディーサイズが近いのはハリアーだ。クラウン スポーツの全長4720×全幅1880×全高1565mmという寸法に対して、ハリアーは全長4740×全幅1855×全高1660mm。全長は20mmしか違わない。しかしクラウン スポーツは、よりワイドで構えが低い。ロー&ワイドなだけでなく、同じ2.5リッターのハイブリッドながら、クラウン スポーツの出力はより高く設定されている。ハリアーがシステム最高出力222PS(163kW)なのに対して、クラウン スポーツは同234PS(172kW)。低重心にパワフルなパワートレインを与えられたクラウン スポーツは、“スポーツ”という名前のとおり軽快な走りが期待できるのだ。またこの2台は、現時点でのスタート価格に200万円以上の差がある。ユーザー層がまったく違うため、そもそも比較の対象になることはないだろう。
このクラウン スポーツの“背が高すぎず軽快に走れる”というキャラクターは、トヨタのSUV群のなかでは異色の存在だ。似たキャラクターといえば、すでに国内では廃番となっている「C-HR」くらいのものだろう。もちろん価格帯もサイズも上のクラウン スポーツはC-HRの兄貴分になるが、そんなC-HRも今はもうない。つまりクラウン スポーツは、10を超えるトヨタSUV群のなかでも個性際立つ一台といえる存在なのだ。
サイズ&価格でかぶるものなく、しかもほかにない個性を持つのがクラウン スポーツ。となれば、クラウン スポーツが他のトヨタSUVと食い合いになるなど杞憂(きゆう)というものだ。また海外市場では、背が低めのスポーティーなクロスオーバーは、トレンドの最先端でもある。クラウン スポーツは案外、海外のユーザーのほうが先に価値を見いだすかもしれない。そんなとがった存在といえるだろう。
(文と図表=鈴木ケンイチ/写真=トヨタ自動車、webCG/編集=関 顕也)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
-
あのクルマはなぜ売れている? 自販連のデータから“日本車の今”を読む 2026.9.25 ここ数年の自販連のデータからは、国内市場におけるトヨタのゆるぎない強さが見てとれる。ではその実績から、人々にどんなクルマが求められているといえるのか? 統計や数字の裏にある消費者マインドを探ってみよう。
-
トヨタもスバルもマツダも いまなぜ2.5リッターエンジンなのか? 2026.9.24 トヨタもスバル、マツダも最新のパワートレインに2.5リッター直4エンジンを採用している。ユーザー感覚では「2リッターを超えると自動車税が高くなるのに」と、疑問に思えるが、そこにはメーカーもユーザーも納得の理由がある?
-
新型「パジェロ」はこれから生産するのに!? 国産自動車メーカーのタイ離れが進んでいる深刻な理由 2026.9.23 国内にも多くのモデルが導入されている国内ブランドのタイ生産車だが、近い将来は事情が大きく変わっている可能性がある。というのも、各社がタイに注力していたのは少し前の話で、実はその生産規模は少しずつ縮小傾向にあるのだ。その背景を解説する。
-
新型「三菱パジェロ」の走りを支えるテクノロジー 「スーパーセレクト4WD-II」って何だ? 2026.9.21 2026年10月末の国内正式発表が待たれる新型「三菱パジェロ」。その価値の多くを占める「悪路走破性」は、どんな技術に支えられているのか? 「SS4-II」「S-AWC」といったキーテクノロジーについて深堀りしてみよう。
-
「レースの技術を生かしています」は本当か? スバルのモータースポーツ関係者に問う 2026.9.18 スポーツカーの広告などで目にする「レースで鍛えられた~」という文句。あれはいったい、どこまでホントなの? スーパー耐久や全日本ラリーに参戦するスバルの関係者に、市販モデルの開発とモータースポーツの関係について語ってもらった。
-
NEW
シトロエンC3エアクロス マックス ハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.9.26試乗記同じシトロエンの「C3」がクロスオーバーSUVに生まれ変わったこともあり、新型「C3エアクロス」はサイズを拡大し、3列シートSUVへと商売を替えた。果たしてそのリアセクションには、小さいながらも2つのシートが確かに備わっている。使い勝手やいかに。 -
フェラーリ・ルーチェ
2026.9.25画像・写真2026年5月に発表されるや世界の自動車ファンを騒然とさせた、フェラーリ初の電気自動車「ルーチェ」。国内におけるプレス向け内覧会で披露された、その姿を写真で紹介する。 -
フェラーリのスペシャルイベント「Ferrari Festival Tokyo 2026」展示車両
2026.9.25画像・写真フェラーリが2026年9月26日から10月4日までの9日間、東京・六本木の東京ミッドタウンにおいて、特別イベント「Ferrari Festival Tokyo 2026」を開催。会場に並んだ、フェラーリの歴史を彩る17台の“跳ね馬”を写真で紹介する。 -
あのクルマはなぜ売れている? 自販連のデータから“日本車の今”を読む
2026.9.25デイリーコラムここ数年の自販連のデータからは、国内市場におけるトヨタのゆるぎない強さが見てとれる。ではその実績から、人々にどんなクルマが求められているといえるのか? 統計や数字の裏にある消費者マインドを探ってみよう。 -
第293回: スイフトが主役の映画? いや、監督がスイフトなんです! 『藁にもすがる獣たち』
2026.9.24読んでますカー、観てますカー曽根圭介の小説を原作にした2度目の映画化。韓国版では「ヒョンデ・ソナタ」が殺人カーだったが、今回は「トヨタ86」に。もっと活躍するのはチャンピオンイエローがまぶしい“スイスポ”。スズキファン必見のアクションエンターテインメント! -
マツダCX-5 L(前編)
2026.9.24あの多田哲哉の自動車放談マツダの基幹モデル「CX-5」がフルモデルチェンジ。世の注目を集める新型は、期待に応えられる出来なのか? 元トヨタの車両開発者である多田哲哉さんが、ワインディングロードで試乗して確かめた。







































