第791回:8万8000円でフォーミュラカーに乗れる! 「トムスフォーミュラカレッジ」に参加した
2024.06.22 エディターから一言フォーミュラマシンをドライブできる
自由になるお金が8万8000円あったらどう使うか。今の私なら迷わず「トムスフォーミュラカレッジ」への参加費に充てるだろう。半年先なら分からないが。
モータースポーツ界の巨人・トムスが2021年に始めたこのカリキュラムでは、なんとフォーミュラカーをドライブできる。操作方法はもちろん、乗り込み方から指導してもらえるので、乗ったことがないという人でももちろん大丈夫(普通はない)。参加資格があるのは身長150~185cm、体重85kg以下、靴のサイズ28.5cm以下で、普通自動車運転免許(AT限定可)を所持している人。運転に支障がない健康状態という条件もつくが、まあほとんどの人にとって問題はないはずだ。
マシンは童夢が開発したFIA-F4車両の「童夢F110」で、ボディーサイズは全長×全幅×全高=4340×1738×950mm。エンジンはトムスが手がける2リッター4気筒自然吸気の「TZR42」で、最高出力160PS/5800rpmを発生する。車体に「36.5」と書かれているのは、トムスがモータースポーツで使うゼッケンの36と37にちなんでいるという(つまり真ん中)。変速機は6段のパドルシフトで、ペダルは3つあるがクラッチは発進時にしか使わない。
カレッジの舞台は富士スピードウェイで、これで本コースを爆走……できたらいいのだが、どんなに運転が上手な人でもまずは入門編の「エクスペリエンスコース」から始めることになる。先に書いたように乗り込み方から学び、駐車場に特設したパイロンコースを走行。タイムや内容に応じてブロンズかシルバー、ゴールドのバッジが与えられ、それに応じて先のステージに進めるようになる。私が今回体験したのはこれであり、8万8000円はこのコースへの参加費用だ。
何度も繰り返しチャレンジできる
モノコックをまたいだら、その足で自分のお尻を下ろすところ、つまり座面を踏みつける。しかる後にもう一方の足も座面の上に持ってきて腰を下ろし、足を前に投げ出す。これが正しい乗り込み方だ。脱着式のステアリングホイールを装着し、レース無線を耳に詰めたら準備はOK。自分が動くのは座るところまでで、その後はシートやペダルの調整、6点式シートベルトの装着等も含めて、すべてやってもらえるから心配ない。
重いクラッチをなんとかつないでパイロンコースに出てみると、当たり前だがすべてがダイレクト。ステアリングもアクセルも操作感は重いが、舵を切った瞬間にグルリと向きが変わるし、アクセルは踏めば即応。間髪入れずとはまさにこのことだ。ブレーキはストロークが5cmほどしかなく、少し踏み込めばガツンと利く。
1人乗りなので講師が助手席に乗り込んでのレクチャーなどはできないし(無線で指導してくれる)、操作が難しいデバイスなども付いていない。なので2周の先導走行でコースに慣れたら、あとは時間いっぱいまでずっと自由に走行できる。このコースがまたよくできていて、ストレートの後にはきちんとヘアピンカーブがあり、大きめのカーブは終わりのほうが巻き込むように曲率が変わっていて、その後はすぐに小さなS字カーブが続いている。簡単なように見えて、ずっと同じラインで走るのがなかなか難しい。ただし、ゆっくり走っても40秒前後で1ラップできるので、うまくいったところもいかなかったところもすぐに繰り返してトライできる。だから自分が上達していることが手に取るように分かる。
タイムも計測されており、慎重に入った最初のラップは50秒ちょうど。2ラップ目が40秒ほどで、5~10ラップが37秒くらい。その後はずっと35秒台で最速は34秒50だった。「初めてにしては割と上手ですよ」と褒めてもらい、この日はブロンズバッジをもらった。あと2、3回参加すればシルバーが狙えるという。
プロレーサーへの道筋
長々と書いてきたが、実は乗車からここまではわずか30分間の出来事だ。8万8000円で30分……と現実に引き戻されてしまうが、得難い体験であるのは間違いないところである。「乗用車で飛ばすのがバカバカしくなった」と表現すれば、どれくらい楽しめたかが伝わるだろうか。翌日から背中と両腕が激しい筋肉痛に見舞われたが、それもまたよしである。
シルバーバッジがもらえたら「アドバンスコース」にステップアップできる。こちらは27万5000円と参加費がはね上がるが、時間も3時間へと大幅に拡大。タイム計測だけでなくデータロガーも使い、走っては指導、走っては指導の繰り返しによってスキルアップを目指すらしい。ゴールドバッジがもらえたら、いよいよ本コース等を使った「プラクティスコース」へ。その先には将来はプロレーサーになりたいなどの声に応える「エキスパートコース」も待っている。
2024年のトムスフォーミュラカレッジは7月24日、8月20日、9月6日にも予定されている。気軽に参加できる料金とはいえないが、フォーミュラカーを運転できるという貴重な体験、そしてスタッフの献身的な指導とサポート等を考えると、極めて妥当な金額ではないかと思う。
(文と写真と編集=藤沢 勝)

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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