第840回:北の大地を「レヴォーグ レイバック」で疾駆! 霧多布岬でスバルの未来を思う
2025.07.23 エディターから一言 拡大 |
スバルのクロスオーバーSUV「レヴォーグ レイバック」で、目指すは霧多布岬! 爽快な北海道ドライブを通してリポーターが感じた、スバルの魅力と課題とは? チキンを頬張り、ラッコを探し、六連星のブランド改革に思いをはせる。
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マーケティングは変更です!
2025年7月某日、記者は北海道のたんちょう釧路空港にいた。スバルによるレヴォーグ レイバックの試乗会にお呼ばれしたためだ。同月18日に始まったレイバックの新CMの舞台となったのがこの道東。ロケ地をめぐる旅を通して、そのグランドツーリング性能に触れてほしいというのが趣旨だった。道程や目的地は比較的自由だったので、記者は釧路市内をちょろっとしてから、ラッコを探しに霧多布岬を目指すことにした。
先に出立する他メディアをしり目に、空港の駐車場でカーナビをピッポッパ。最初の行き先はジョイパックチキン釧路昭和店で、そちらで旅のお供を調達してから、かねて興味のあった釧路湿原展望台へと舳先(へさき)を向けた。特段、改良が加わったわけではないレヴォーグ レイバックだが、その快適性や動力性能は、最新のモデルになんらそん色ない。路面からの入力を大きくいなす優しい乗り味なのに、高速コーナーも安心して踏んでいけるのは、低重心なワゴンボディーのなせる業か。ワイドオープン時の出足のスムーズさは、より新しい「フォレスター スポーツ」に軍配かなと思ったが、パワーやレスポンスはこちらも上々。釧路湿原展望台前の長い上り坂も、根釧国道でたびたび必要に迫られた「下道での追い越しダッシュ」も、涼しい顔でこなしてくれた。
それにしても不思議なのが、「なぜにレイバックのCMが北海道?」ということだ。レイバックといえば自称・都市型クロスオーバー。それがこの“試される大地”でグランドツーリングとは合点がいかぬ。これについて担当のマーケティング氏が語ったところでは、スバルは今後、従来の都会的なイメージに加え、SUV的な“自在感”や「レヴォーグ」ゆずりのスポーツイメージも合わせ、より広範なターゲットに訴求していくとのことだった。
記者は非常に納得がいった。いやむしろ、都市型~という既存の看板より、それこそがレイバックの本来の姿ではあるまいか。
グランドツーリングがよく似合う
浅学ながら申し上げますと、記者は都会的なイメージでレイバックを推していた以前のCMが、ちょっと引っかかっていた(参照)。そりゃあ確かに、レイバックはスポーツワゴンがベースのクロスオーバーで、出自を思えば「SUVのど真ん中!」とはいえないかもしれない。しかしそのスペックを見れば、最低地上高は他社のミドル級SUVに比肩する200mmで、純正タイヤはファルケンのオールシーズン。駆動システムは全車フルタイム四駆で、軟弱なFWDの設定はナシときた。そんなクルマで「都会派です」って自己紹介されても、そりゃムリがあるでしょうよ。
実際、レイバックは都会の道をせこせこ這(は)うより、長い距離をズドーンとゆくツーリングでこそ輝くクルマである。走りはスポーツカーみたいにスリリングってわけではないが、まことに上質で中庸。高速走行も盤石のフルタイム四駆で安心感が抜群だ。路面状況や天候といった外乱にも強く、タフなシチュエーションでもドライバーの意図に沿う動きを保とうとする。ボディーも大変しっかりしており、距離を稼ぐほどに「ああ、いいクルマですわ」とキモチよくなっていくのだ。
加えて、「アイサイト」に代表されるスバル自慢の予防安全・運転支援システム(ADAS)の出来栄えよ。今回は渋滞にはハマらなかったので「渋滞時ハンズオフアシスト」は試せなかったが、アダプティブクルーズコントロールもレーンキープアシストもレーンチェンジアシストも、どの機能も作動は自然。ADASをフル作動させてハーマンカードンのサウンドシステムに耳を浸していると、クルマを返却するのがちょっと惜しくなった(笑)。
この感じ、この充足感。こと遠乗りでのいいクルマっぷりに関しては、レヴォーグ レイバックのコスパは群を抜いていると思う。
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いいクルマ、なんだけど
霧多布岬に到着すると、灯台が望める一等地の駐車枠が空いていたので、迷わず拝借。テールゲートに腰を下ろし、ジョイパックチキンの袋を開けた。
釧路のソウルフードたる「カレーチキン」は、ジャンキーの心にブッスリ刺さるいいお味で、冷めていても最高に美味だった。のり塩味の「ジョイチキ」もナイスだったが、こちらは移動中、ガマンできずに3個中2個を食ってしまった。写真の絵面がいささか寂しくなってしまったが、ご容赦いただきたい。
さて、直近のレヴォーグ/レヴォーグ レイバックの販売台数を見ると、おおむね月販1000台とちょっと。「インプレッサ/クロストレック」やフォレスターの半分くらいの数字で、スバルとしては、もう少し頑張ってほしいところだろう。ただ昨今のスバルを見ると、廉価グレードの投入によるテコ入れには消極的で、レイバックでも「中身の充実度で勝負!」という姿勢は崩さない様子。恐らくはライバル同様、多少高くても買ってもらえるブランドへのステップアップを期しているのだろう。
正直なところ、ガシガシ履けるウオーキングシューズのようなスバル車に慣れ親しんだ身からすると、このスタンスはちょっと寂しい。が、それは私情であって商いの正否&成否とは別だ。大事なのはスバルがもくろむ上級移行に、製品が追いついているか、それを求める人がいるかである。
クルマの基本性能については、せんえつながら申し分ない。過日フォレスターにもじっくり乗ったが(その1、その2)、いやはや、しみじみいいクルマでした。正直、スバル車より高額で出来が〇〇なクルマなぞ、いくらでもある! 心配なのは、むしろそのデキがよすぎること。スバルのクルマづくりは自動車としての本分に拘泥しすぎじゃないか? ということなのだ。
もうひと声な内外装の洗練度や、もうひと……ふた声(笑)な燃費性能などに対し、操縦安定性やADASの出来栄えが突出して感じられるのは、今日のスバル車に共通する印象だと思う。今まではそれを“技術者の良心”とポジティブに受け止める人が相手だったからよかったが、これからスバルが開拓していく顧客層、日々のアシに400万、500万の札束をポンとだすようなお大尽は、それでは納得しないだろう。
「クルマづくり」を考えるときがきている
均整のとれたエクステリアに、上質な車内空間、お高いオーディオシステム。インターフェイスだって使いやすけりゃいいってだけではなく、センスよく見えるものでなければ許してもらえない。高付加価値のクルマになると、どんどん“自動車としての本分”以外に目を配らなければならないものが増えていく。
今までは、実利があれば、技術オリエンテッドであれば、ファンが認めてくれたスバルでも、今後はデザインのために設計を妥協したり、マーケティングの要望が技術的理念を曲げたりする場面が出てくるだろう。……なんて書いたら、古参のスバルファンは眉をひそめるでしょうが、ブランドの革新とは甘い話ではないのです。賛否両論を巻き起こすBMWのあまたの施策や、昨今のマツダの苦闘をご覧あれ。スバルだけが既存のクルマづくりの延長線上でやっていけるなんて、そんなのはあまりに都合のいい話だ。
「このペンを1万円で売ってください」という就活大喜利を例に出すのは、いささか不適切だけど、スバルも自社製品を400万、500万で売ることについて、そろそろ真剣に考える時期にきているのかも。……と、ジョイパックチキンの730円セットを頰張りながら思う、夏の霧多布でした。
(文=webCG堀田剛資<webCG”Happy”Hotta>/写真=スバル、webCG/編集=堀田剛資)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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