スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)
3年分の革新 2025.10.15 試乗記 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車(BEV)「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。最初のつまずきを取り戻すべく
2025年4月のニューヨーク国際オートショーで世界初公開されていた、スバル・ソルテラの大幅改良モデル。その日本仕様が2025年10月下旬に正式発表される。
ソルテラといえば、それまで以上にトヨタと一体化した協業体制のもとで開発されたBEVだ。ソルテラとDNAを共有するトヨタ版は、いうまでもなくbZ4Xである。ご承知の向きも多いように、そのbZ4Xも、改良モデルを2025年3月に欧州で初公開。国内発表もひと足早く10月9日に済ませている(参照)。
今回のソルテラの新しいところは、内外装デザインの変更、航続距離や充電時間、電費といったBEV性能の向上、そして静粛性に操縦安定性などのダイナミクス性能のアップである。こうしたメニューは(ブランドごとの細かい差別化はあるものの)基本的にはソルテラもbZ4Xも同じ。いずれにしても、デビュー3年でのマイナーチェンジとは思えないほど、全面的に手が入っている。
ソルテラ/bZ4Xはスバル/トヨタとしては初の本格量産BEVである。ただ、デビュー直後にホイールハブボルトにまつわるリコールでつまずいたばかりでなく、当初は「急速充電は1日2回まで」とした(マージン取りすぎの?)バッテリーマネジメントなど、2022年に新開発BEVとして華々しく発売されたわりには、進化のスピードがすさまじいBEV群のなかに埋もれてしまった感は否めなかった。というわけで、今回は内外装デザインやクルマとしてのアップデートとともに、やはりBEV性能の方面でも最新技術を可能なかぎり導入したというわけだ。
大きく手が入ったエクステリアとインテリア
新しいソルテラでまずに目につくのは、やはりエクステリアだ。おなじみのヘキサゴングリルとC型ライトをモチーフとしていたフロントエンドは、シームレスフェイスと3連ポジションランプによる新しいデザインに宗旨替えとなった。このフェイスデザインは、スバルのまったく新しいBEV「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」にも通じるものがある。今後は改良型のソルテラを含めたこのトリオが、スバルのグローバルBEV戦略を担うことになるようだ。
従来のソルテラでは、大胆なホイールアーチ周辺のクラッディングもエクステリアデザインのキモのひとつだった。対する新しいソルテラでは、パネル分割こそ変わりないものの、クラッディング部分は新たにグロスブラック塗装となった。しかも、その特徴的なホイールアーチが同色となるメーカーオプション「ボディー同色ホイールモール」も、新たに用意された。同オプションは基本外板色が「プラチナホワイトパールマイカ」か「プレシャスメタル」の場合にかぎられるが、これを選べば、よくも悪くもSUV感はだいぶ薄れる。
……と、このように、最初に気になるのはどうしてもエクステリアになるのだが、実際の変わり幅はインテリアのほうがずっと大きい。
特徴的なステアリングホイールやロータリー式シフトセレクター、そしてシートといった、運転の基本となるインターフェイス部品こそ従来どおりのようだが、逆にいうと、変わっていないのはそういうところだけ。ダッシュボードとセンターコンソールは、これまでとはまったく別物のデザインとなった。センターディスプレイは12.3インチから14インチへと大型化。さらにセンターコンソールには、スマホ2台分のワイヤレス充電器が配された。
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BEVとしての性能を全方位的に向上
BEVといえば、できるだけ航続距離を確保するのが、まだまだ最重要視されている。今回はその最大のキモとなるリチウムイオン電池のセル数を増やすことで、総電力量を従来の71.4kWhから74.69kWhへ増大させた。
と同時に、モーター、インバーター、ギアボックスを一体化した“eアクスル”のロスを、低損失SiC素子や低インダクタンス構造の採用、インバーター制御の最適化、高効率モーター、そしてギアの小モジュール化や歯面超仕上げ、ギアボックスの機械式オイルポンプの廃止と、多方面にわたる徹底した対策で低減。そうしたもろもろの改良により、航続距離は約20%の拡大に成功。上述のバッテリー増量などもあわせ、カタログにみる一充電航続距離は、FWDが従来型の567kmから746km、4WDが同じく542kmから687kmとなった(WLTCモード)。
トヨタのbZ4Xでは今回の改良に合わせて、電池の総電力量をあえて57.7kWhと小さくした廉価モデルも用意したが、ソルテラの日本仕様に、その用意はひとまずない。
また新しい電池に合わせて、今回はBEVの最新トレンドであるバッテリープレコンディショニング機能も追加。ナビによる急速充電器までのルート案内時のほか、タイマーや手動設定でも、充電前にバッテリー温度を最適化して、充電速度を上げることができるようになった。
さらにシステム出力も向上しており、FFのそれは204PS(150kW)から227PS(165kW)に、4WDでは218PS(160kW)から343PS(252kW)に、それぞれ増強された。
今回の取材では、その最新のソルテラをプチ試乗することもできた。舞台は群馬サイクルスポーツセンターのサーキットコース。ご承知の向きも多いように、路面にはヒビ割れや凹凸が多いうえに、アップダウンとブラインドコーナーが連続する難コースである。
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乗り心地もドライバビリティーも進化
走りについては、タイヤはそのままに、バネ類やダンパー減衰、パワーステアリング、駆動制御など、味つけの部分はすべてリチューンされた。また静粛対策として、フロントガラスとサイドガラスを遮音タイプに変更している。というわけで、走りだして最初に気づくのはあからさまに静かになったロードノイズだ。
さらに今回はアクセル制御を熟成させたほか、「Sペダルドライブ」のスイッチを廃止。かわりに、従来は減速セレクターでしかなかったステアリングパドルで、減速特性と加速特性の両方を制御できるようになった。アクセル特性もより熟成を深めたというが、今回は特殊なシーンでの試乗にかぎられたので、そこを深く掘り下げることはできなかった。ただ、新しいステアリングパドルは、つまりはエンジン車のシフトパドルに近い使用感となったので、直感的に使いやすくなった。
シャシーの熟成ははっきりしている。操舵は特別に重くなってはいないのに、ステアリングの正確性、そこから伝わる接地感や剛性感が上がっている。また走行中の目線の上下動もはっきりと減った。
4WD車に関しては、前記のようにシステム出力が大幅に上がったが、その大半はフロントモーターの出力アップによるところなのも興味深い。これまでGセンサーを主としてきた4WD制御も、アクセルセンサーと舵角センサーをメインとした「走行軌跡予測制御」になったとか。今回のプチ試乗では細かい制御のちがいまでは感じ取れなかったが、フロントモーターの出力アップの恩恵か、従来ほど喜々として旋回する雰囲気は後退したかわりに、フロントがどっしり構える安心感が醸成された。少なくとも、筆者みたいなアマチュアドライバーが、荒れた路面を公道では許されないペースで走る……という今回のシチュエーションでの信頼感は、明らかに高まっている。
そういえば、今回はあの新井敏弘選手が、歴代スバル市販車でもっとも過激ともいえる最後の「WRX STI」と新型ソルテラでタイムアタックする余興おこなわれた。別項にもあるようにWRX STIに迫るタイムを叩いた新しいソルテラは、プロドライバーにとっても速く走りやすいのだろう。
(文=佐野弘宗/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
スバル・ソルテラET-HS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1860×1650mm
ホイールベース:2850mm
車重:2000kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:227PS(167kW)
フロントモーター最大トルク:268N・m(27kgf・m)
リアモーター最高出力:120PS(88kW)
リアモーター最大トルク:169N・m(17kgf・m)
システム最高出力:343PS(252kW)
タイヤ:(前)235/50R20 104V XL/(後)235/50R20 104V XL(ダンロップSPスポーツマックス060)
一充電走行距離:622km(WLTCモード)
交流電力量消費率:135Wh/km(WLTCモード)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
スバル・ソルテラET-SS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1860×1650mm
ホイールベース:2850mm
車重:1880kg
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:227PS(167kW)
最大トルク:268N・m(27kgf・m)
タイヤ:(前)235/60R18 103H/(後)235/60R18 103H(ブリヂストン・アレンザ001)
一充電走行距離:746km(WLTCモード)
交流電力量消費率:113Wh/km(WLTCモード)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh

佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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