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1/24過去のモデルからのイメージチェンジに、巨大化するキドニーグリルと、多方面で物議を醸しているBMWのカーデザイン。この変革の背景には、なにがあるのだろうか?
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2/242018年登場の現行型「X4」。なだらかなルーフラインを持つクーペスタイルのミドルクラスSUVだ。
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3/24サイドの縁(へり)が跳ね上がった、バンパーの黒い加飾部分に注目。全体のイメージに対して、こうした部分が妙に強く主張してくる。
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4/242023年のジャパンモビリティショーで世界初公開された、現行型「X2」。顔のインパクトが強烈で、逆にどんなスタイリングのクルマだったかが思い出しづらい……。
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5/242018年1月に発表された初代「X2」。顔立ちは現行型ほどコワモテではなく、むしろ個性的な2BOXのスタイルやプロポーションが記憶に残るクルマだった。
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6/24清水「『X2』のコテコテしたディテールは間違ってない! むしろこの改造車みたいな部分のおかげで、全体のおかしなフォルムがごまかせているんだ」
ほった「そんなことより、X2の後ろ姿ってこんなだったって、久々に思い出しましたよ。なんせ顔しか印象に残らないクルマですからね……」 -
7/24“アル/ヴェル”も裸足(はだし)で逃げ出すキング・オブ・オラオラカーこと「XM」。webCGほったいわく、「このクルマも顔の印象ばかり強くて、サイドビューとか後ろ姿が思い出せない車種のひとつ」とのこと。
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8/24昔ながらのBMWの特徴を色濃く受け継ぐ、現行型「2シリーズ クーペ」。手ごろなサイズのFRクーペという意味でも、今や貴重な存在だ。
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9/241977年登場の初代「6シリーズ」(写真向かって左)と、クリス・バングルが手がけた2代目6シリーズ(同右)。後者はコンセプトモデル「Z9」のイメージを色濃く受け継いだ、挑戦的なデザインのモデルだった。
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10/24ここからはクリス・バングルが手がけたコンセプトモデルを紹介。まずは「Xクーペ」(2001年)。
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11/24「CS1」(2002年)
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12/242008年に発表された「ジーナ」は、金属の骨組みに布を張ったコンセプトモデルだ。ヘッドランプはまばたきをし、ドアを開けると皮膚のようにシワがよるなど、生物のような質感を持った一台だった。
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13/242008年に発表されたコンセプトモデル「ジーナ」。ボディー各所のキャラクターラインや、その付近に浮かび上がる陰影に注目。
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14/24渕野氏がタブレットでサラサラっと描いたスケッチ。
渕野「……とまぁ、フォトショップの出現で、こういった表情が描きやすくなったんですよね」
ほった「うーむ。デザイナーさんが使う画材(?)の変化が、カーデザインにも影響を及ぼすとは」 -
15/242002年に発表された初代「Z4」。FRベースならではの端正なプロポーションと前衛的な表現の組み合わせが、クリス・バングル以降のBMW車の特徴となっていった。
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16/241992年から2009年まで、BMWのチーフデザイナーとして活躍したクリストファー・エドワード・バングル。後任にはエイドリアン・ファン・ホーイドンクが就いた。
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17/242020年に登場した現行型「4シリーズ クーペ」。ワラジのような縦型の「キドニーグリル」が衝撃的だった。
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18/242013年登場の初代(上)と、2020年登場の現行型(下)のサイドビュー。両車の“横顔”部分にご注目。同じ距離やパースで撮った写真ではないだろうから、参考程度に見てほしいのだが、わずかながら、現行型のほうが鼻先が前方まで、低く伸びているのがわかるだろう。
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19/24初代(写真向かって左)と現行型(右)の顔まわりの比較。ボンネットフード前端の切り欠きの位置や、丸いエンブレムの高さと向きにご注目。ナンバープレートの形の違いで距離/パースが合っていないのがバレバレだが(笑)、言わんとしていることはわかってもらえると思う。
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20/24渕野「みんなの苦手な縦型のキドニーグリルは、低く伸びやかなボンネット形状と存在感のあるグリルの両立を図って考案されたものだと思いますよ」
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21/24イタリアで開催されたヒストリックカーの祭典「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2024」において発表された、BMWのコンセプトモデル「スカイトップ」。
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22/24気になるキドニーグリルや、フロントまわりの意匠はこんな感じ。ドヤ顔なSUV商品群や「4シリーズ」などとは趣を異にするものだ。このモチーフが、新しいBMWの市販モデルにも取り入れられるかもしれない。
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23/24渕野「カッコよかった“あの頃のBMW”の再来って感じで、久々にしっくりくるモデルですね。造形的に新しい試みはあまりないのですが(特徴的なフロントバンパーくらい?)、やはり今のBMWは、トヨタ並みにデザインの引き出しがあるということだと思います」
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24/24なんだかんだ言っても、世界的に好調な販売を記録しているBMW。物議を醸すそのデザインも、ターゲットカスタマーにはしっかり受け入れられているということだろう。
ほった「ワタシら好みのデザインのクルマも、BMWはつくり続けてくれますかねえ?」
清水「そのためには、まずこちらが財布のヒモを緩めて、BMWに『あそこにターゲットがいるぞ!』って認識してもらわないとね」

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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