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1/20ジムニー初の5ドア・ロングボディーを持つ「スズキ・ジムニー ノマド」。
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2/20世の趨勢(すうせい)やクルマの使われ方を思うと、とうの昔に5ドアがあってもよかった気がするのだが……。やはり倹約家のスズキのこと、「ボディーバリエーションはひとつに抑えたい(日本の軽規格を考慮すると、必然的に3ドアのみになる)。設計の細分化によるコスト増を抑えたい」という意図があったのかもしれない。
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3/20“ノマド”(NOMADO、仏語で遊牧民の意)というステキなサブネームは、1990年登場の「エスクード」の5ドア・ロングモデル「エスクード ノマド」に由来する。古参のスズキファンの皆さん、覚えてましたか?
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4/20「ジムニー ノマド」についていろいろ教えてくれた、商品企画本部 四輪B・C商品統括部 チーフエンジニアの佐々木貴光氏(写真右)と、四輪車体設計部 アッパーボディー設計課の髙市皓太氏(同左)。
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5/20ロングボディー化に際し、フレームと足まわりに独自の変更が加えられた「ジムニー ノマド」。キモはジムニーの命であるオフロード性能の担保と、より快適性、安定性を重視した走行特性の実現だ。
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6/20「ジムニー ノマド」(左)と「シエラ」(右)のラダーフレーム。ボディーの伸長に合わせて前後に延ばされているだけでなく、ねじり剛性の悪化を抑制すべく、ガッツリ補強が入れられている。
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7/20パワーユニットは「ジムニー シエラ」と同じ1.5リッター自然吸気ガソリンエンジン。欧州等の事情を思うと、48Vマイルドハイブリッドなどを付けるべきだったのだろうが、ジムニーといえば悪路で八艘(はっそう)飛びできそうな身軽さも魅力なわけで、これ以上重くはできなかったのだろう。
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8/20細かいところでは、フロントブレーキにベンチレーテッドディスクが使われている点も特徴。「つくり分けるのも面倒でしょうし、いずれ3ドアの前ブレーキもベンチレーテッドに?」と尋ねたところ、「『ノマド』とほかの『ジムニー』は、生産工場が違いますけど」と冷静にツッコまれた(恥)。
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9/20ランプブレークオーバーアングルは25°を確保。アプローチアングルやデパーチャーアングル、最低地上高などは、いずれも「ジムニー シエラ」と共通だ。
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10/20外観における特徴といえば、やはりこのフロントグリル。そのキラキラぶりに、先代「ジムニー」の特別仕様車「ワイルドウィンド」「ランドベンチャー」を、ふと思い出してしまった。
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11/20「セレスティアルブルーパールメタリック」は「フロンクス」にも設定のあるボディーカラーで、ジムニー一族では「ノマド」のみに用意される。
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12/20同じく「ジムニー ノマド」専用色の「シズニングレッドメタリック/ブラックルーフ」。一部のファンには待望の赤い車体色だが、よくも悪くも(?)、郵便ジムニーのそれより落ち着いたカラーとなっている。
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13/20フロントウィンドウに備わるステレオカメラ。「ジムニー ノマド」には、「ハスラー」や「ワゴンR」などにも採用される、ステレオカメラ方式の予防安全・運転支援システムが搭載される。
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14/20AT仕様に備わるアダプティブクルーズコントロールの操作スイッチ。いずれは「ジムニー/ジムニー シエラ」にも採用されるのだろうか?
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15/20細かいところでは、間欠ワイパーに作動間隔の調整機能が追加されたのもトピックとのこと。車両の撮影前に教えてほしかった(笑)。
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16/20「ジムニー ノマド」の生産を担うのは、インドのグルガオン工場だ。2021年1月から「ジムニー」の生産を行っており、実は2016~2020年に日本に輸出されていた、初代「バレーノ」の生産もここが担っていた。ちなみに、現在日本に輸出されている「フロンクス」は、同じインドでもグジャラート工場製である。
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17/20「ジムニー5ドア」と同じく2023年1月の「AUTO EXPO」で発表された「フロンクス」。こちらもインド発売から日本導入までに1年半を要している。仕向け地ごとにクルマをつくり分け、輸出を開始するには、相応に時間がかかるのだ。
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18/20最後に佐々木氏、髙市氏が「一番苦労した!」と語ったポイントを紹介すると、それはやっぱり後席の実用性。特に乗降性については、フロア高が高いうえにドアの大きさに制約がある等、厳しい条件がそろっていたので、ほかのSUVとも比較して、モックアップの段階から各所の設計を吟味したという。
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19/20具体的には、フロントドアを10cm短くするなどして十分な大きさのリアドアを確保。シートの横に張り出してくるサイドボディーを削ったり、“足抜き”がしやすいよう座面の角を斜めに切ったり……と、さまざまな工夫がなされている。販売店で「ノマド」を見かけたら、ぜひリアシートの乗降性を確かめてみよう。
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20/20「ジムニー ノマド」の実車に触れ、ふと気になったのが「シエラ」の未来。ほかの3ドア車のご多分に漏れず、いつの間にかフェードアウト……なんてことにはならないでほしい。

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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