第93回:フェラーリ458スペチアーレ(前編)
2015.03.27 水野和敏的視点458シリーズの究極形
V8エンジンを搭載するフェラーリといえば、先週閉幕したジュネーブショーで458シリーズの後継となる「488GTB」が発表されましたね。このモデルで注目すべき点は、V8フェラーリもとうとうターボ時代に入ったということでしょう。3.9リッターV8ターボユニットは670psを発生し、0-100km/h加速は3.0秒と、今回試乗する「458スペチアーレ」とまったく同じ数値がうたわれています。
この488GTBの登場によって、自然吸気(NA)エンジンを搭載するミドシップフェラーリが過去のものとなってしまうのかどうか、それは「神のみぞ知る」、いや「フェラーリのみぞ知る」ところです。それはともかく、NAエンジンのフェラーリの、ひとつの到達点として「458スペチアーレ」を記憶しておくのは意義あることと考え、今回テストすることにしました。
458スペチアーレとは、その名の通り、458のスペシャルバージョンです。ノーマル458の4.5リッターV8は、最高出力570ps/9000rpm、最大トルク55.1kgm/6000rpmを発生しますが、458スペチアーレのそれは、最高出力605ps/9000rpm、最大トルク55.1kgm/6000rpmを絞り出します。ピストン、クランクシャフト、そしてカム形状を変更し、吸排気系をファインチューニング。圧縮比も引き上げることで、リッター当たり134ps(!)を実現しています。加えて、エンジン全体で8kgの軽量化を果たしています。
また、458スペチアーレは空力的にもおもしろいチャレンジをしています。フロントバンパーのセンター下部に「水平」「垂直」、2種類のフラップを設け、速度に応じて開閉させます。速度が170km/hを超えると、垂直フラップがラジエーターへの気流を必要最小限に絞り、さらに220km/h以上になると、水平フラップが下がってリアのダウンフォースとのバランスを取ります。
一方、リアのディフューザーにも17度の範囲で開閉可能なフラップが備わります。特別なアルゴリズムに従い、ダウンフォースが必要なときは上がり、抵抗を減らしたい場合には下がります。
できるだけ空気抵抗を減らしたい高速直進走行時と、大きなダウンフォースが求められるコーナリング時の両立を図ったシステムといえます。
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