第18回:ブランドを象徴する一台の乗り味とは?
輸入車チョイ乗りリポート~1000万円から2000万円編~
2015.04.03
JAIA輸入車試乗会2015
試乗車の価格帯もいよいよ4ケタ万円台に突入。各ブランドを象徴するスポーツカーやプレミアムセダンは、いったいどんな走りを披露してくれるのか?
支持されて当然
テスラ・モデルS P85……1018万円
なにかと話題のEVだけれど、カタチは割とフツーな感じ。ドアを開け、インテリアをパッと見て、特に風変わりな点はないかな……と安心しかけたところで、センターコンソールの特大画面にギョッとする。サイズはなんと17インチ。実測、36×22センチ。シックなデザインの室内で、存在感がありすぎる!
恐る恐る触れてみれば、役割の大きさが理解できる。カーナビやエアコンのみならず、走りに関わる車両設定、ライトのオン/オフ、サンルーフの開閉などなど……通常はボタン/スイッチで行うあらゆることが、タッチパネル経由なのだ。だから、車内にボタンが無いのか。やっぱ、そうこなくっちゃ! 未来派EVの面目躍如である。
純粋に4ドアセダンとして見ても、感心することはたくさんある。大柄だからキャビンが広いのは当然だとしても、エンジンを持たないおかげで、前:150リッター、後ろ:745リッターと、荷物のスペースもたっぷり。運転席と助手席の間にはバッグを置くスペースまであって、女性にもウケそうだ。
踏めば、0-100km/hは4.4秒。ポルシェ並みの俊足である。しかし、こちらは電気自動車。風切り音が気になるほどの静粛性は、多くの高級サルーンが嫉妬する長所だと思う。
航続距離が弱点とされるEVとあって、メーカーは「満充電で500km“も”走れる」ことを強調する。でも、それ以上にインパクトがあるのは、その500kmにかかる電気代が1000~1200円程度という点だろう。
いまや、テスラの累計販売台数は5万台以上。その95%以上をこのモデルSが占めている。1000万円もするEVなのに……。後々、1号機の「テスラ・ロードスター」以上に記憶されるクルマなのかもしれない。見た目はフツーっぽいけど。
(文=webCG 関/写真=田村 弥)
ドヤ顔で曲がり、ドヤ顔で加速する
シボレー・コルベット クーペZ51……1105万円
第一印象はパフォーマンス命の、ゴリッゴリのスポーツカーという感じでした。
見るからにワイドでベタンコなボディーに、前が245mm、後ろが285mmなんてぶっといタイヤを履いているもんだから、コーナーではろくにロールもせず、えぐり込むように曲がっていく。しかも微低速域でハンドルを切ったらゴキゴキと不穏な音が。「ノンスリでもついてんの!?」と思ってGMジャパンのHさんに聞いたところ、「いや、それタイヤのせい」とのこと。ちなみに銘柄は「ミシュラン・パイロットスーパースポーツ」なり。そのくらい硬派で武闘派なスポーツカーなのだ。「コルベット」の「Z51」は。
とはいえ2015年モデルの注目ポイントはATが8段になったこと。そこをリポートせねばと思って長いノーズを有料道路に向ける。「さすがトルコンAT、低速時のマナーは上々。70km/h時のエンジン回転数は1100rpmね」とか言いながらおもむろにガスペダルを踏んで冷や汗が出た。回転数が2500~3000rpmを超えるとエンジンの音が変わり、2次曲線的な加速を開始する。……なんて冷静に書いているけれど、踏んだ2秒後にビビってペダルを緩めたことをここに白状します。
それとこのクルマ、加速もスゴいけど音もスゴい。多少湿った感じの「ズロロロロッ!」という音には、脈動感といいますか、独特のスゴみがある。なんだかボンネットの下に生き物を飼っている感じだ。肺活量6.2リッターの。嫌いな人は嫌いかもしれないけど、私は大好きです。排気音がハーレーみたいに不均等で不穏だったら、なおよかった。
そんなエンジンを散々楽しんで、返却の段になって気が付いた。「あ、ATのこと調べていないわ」。やっぱりコルベットは、ちっちゃいことを気にして乗るもんじゃないですね。
(文=webCG 堀田/写真=田村 弥)
いい波に乗っている
ジャガーFタイプ R クーペ……1372万円
ジャガーは今、いつになくラインナップが充実しつつあるように見える。国内では待望のミドルクラスサルーン「XE」の納車を控え、一方でニューヨークショーでは新型「XF」を披露した。もう、XFがモデルチェンジ? という気がしないでもないが、デビューは2007年9月だから、7年半が経過したことになる。早いものだ。
「Fタイプ」も昨秋に発表された“2016年モデル”で、ラインナップが一段と充実した。「S クーペ」に6段MT仕様が登場し、「R クーペ」にAWD(四輪駆動)モデルが加わったことで全7バリエーションになった。コンバーチブルも用意される全方位的展開は、ポルシェの戦略にどこか似ている。
さて、そんな感じでいい波に乗っているジャガーの中から、Fタイプのフラッグシップである「R」グレードのクーペに乗った。試乗コースの法定速度(70km/h)だと5リッターV8スーパーチャージャー付きエンジンは8段ATを介して1500rpmでユルユルと回っているにすぎず、室内は思いのほか静か。走行モード切り替えスイッチをノーマルにすれば、ハードなスポーツカーらしからぬ、しなやかな足どりで路面の不整をやりすごす。ジャガーにとっては不本意な表現かもしれないが、思いのほかラグジュアリーだ。
しかしドライバーがその気になりさえすれば、Fタイプはいとも簡単に“走りの血統”をあらわにする。スロットル操作に対して素早いレスポンスと大トルクで応えるエンジンに、トルコンATとは思えぬほどのシフトスピードを誇るトランスミッション、そしてちょっと恥ずかしくなるくらい猛々(たけだけ)しい排気音……。中でもアルミの骨格がもたらすボディー剛性の高さは、特に印象的である。
ラグジュアリーからスポーティーまでを自在に行き来する柔軟性の高さ。絶対性能の高さもさることながら、もしかするとそれこそが、Fタイプの真骨頂といえるかもしれない。
(文=webCG 竹下/写真=峰 昌宏)
未来への架け橋
メルセデス・ベンツS550プラグインハイブリッド ロング……1622万円
「未来を創造する、唯一の自動車。」
「Sクラス」のカタログの冒頭には、そう書かれている。なんとまあ……。
このクルマは、その名の通りプラグインハイブリッド車(PHV)だ。パワーユニットは333psの3リッターV6直噴ツインターボと115psのモーターで構成されている。システム全体での最高出力、最大トルクは442psと66.3kgm。音もなく発進し、新幹線のように加速する。
駆動用にはリチウムイオン電池を搭載している。AC200V電源を使って、約4時間で満充電が可能だ。EV走行で約33km走れ、最高速は(新幹線並みとはいかないが)140km/hに達するという。
PHVとはいうけれど、ただのエコカーではなく、スーパーサルーンである。
実際に街中で試すと、ほぼモーターだけで走れてしまう。EV走行を優先する「E-MODE」を選べば、エンジンがかかる寸前にアクセル自体が重くなってその限界を知らせてくれる。クルマの言うことに従っていれば、エンジンはかからない。エコ上手なクルマなのだ。
乗り心地やその走りは、誰もが想像するSクラスそのものである。
つまり、上質で、重々しく威厳があり、驚くほど滑らかに走る。機能装備も満載だ。
「快適」を形にすると「S550プラグインハイブリッド ロング」になる。……ちょっと言い過ぎたかもしれない。
未来を創造する、唯一の自動車。
唯一かどうかはともかく、Sクラスが自動車の未来を創っている一台であることは間違いない。
(文=webCG 近藤/写真=田村 弥)

近藤 俊
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