まるで70年代初頭のスーパーカーのようだ!
まるで1960年代後半から70年代初頭にタイムスリップしたかのような、クラシカルなエクステリアとインテリアが特徴的な4Cですが、その中身には現在の技術がしっかりと詰め込まれており、まさに「21世紀のイタリアンミドシップ・コンパクトスポーツカー」を体現しています。エンジンは1750cc(正確には1742cc)の直4ダウンサイジングターボ(240ps、35.7kgm)で、これにデュアルクラッチ式の6段ATを組み合わせています。
ドアを開けて、一見すると職人が仕上げた感のあるカーボンファイバーが露出したサイドシルを跨(また)いで運転席へ。いざステアリングホイールを握って走りだすと、やはり一瞬にして70年代初頭にタイムスリップします! パワーアシストのないステアリングの操作感は古典的で重く、操舵(そうだ)時のクルマの動きや各ユニットの作動も、まるで当時のスポーツカーのようです。
そして加速を始めると、にわかにフロントが軽くなります。その軽さはもうフラフラと表現していいくらいです。続いてブレーキを踏み、車両がノーズダイブする(フロントが沈む)と、今度は途端にグッとステアリングが重くなります。加速時にはスクワットし(フロントが上がる)、制動時にはノーズダイブしているのがステアリングの操舵力の変化や車両の反応だけではっきりとわかるのです。外観に違(たが)わず、加減速時の挙動もとてもわかりやすく、古典的なのです。
コーナリングも同様です。現代のクルマは、スタビリティーを上げて限界付近のコントロール性をよくするために、ロールした時に外輪の踏ん張りだけでなく、内輪の接地によるグリップ力を確保すべく、ストロークをたっぷり取ったサスペンションセットを用います。
しかし、4Cはこれとは全く逆。サスペンションのストロークは少なく、外輪だけで踏ん張っていて、少し攻めるとあたかも内輪が浮いてしまっているかのような感じが拭えません。まるで本当に1970年代初頭のスーパーカーに乗っているようです。
こういった、じゃじゃ馬と格闘しているかのような4Cの挙動は、楽しいといえば楽しいし、疲れるかと聞かれればそのとおりです。この操縦感覚をどう受け止めるかは、もうオーナーであるドライバー次第でしょう。4Cのようなスポーツカーは、日常的に使うクルマを別に持っている人が購入するケースが多いでしょうから……。
スタイルと走りがここまでクラシカルに統一されると、もう「これはこれでいいでしょう……」と言うしかないと思います。
アルファ・ロメオ4C
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3990×1870×1185mm/ホイールベース:2380mm/車重:1100kg/駆動方式:MR/エンジン:1.7リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:6段AT/最高出力:240ps/6000rpm/最大トルク:35.7kgm/2100-4000rpm/タイヤ:(前)205/45R17 (後)235/40R18/価格:806万7600円 (取材協力=ガレーヂ伊太利屋)
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