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第354回:ニッポンのコンパクトをおもしろく!
新型「トゥインゴ」に見るルノーの日本戦略

2016.07.15 エディターから一言 内田 俊一
東京モーターショーでの日本初披露から8カ月。ついに新型「ルノー・トゥインゴ」が日本に導入された。
東京モーターショーでの日本初披露から8カ月。ついに新型「ルノー・トゥインゴ」が日本に導入された。 拡大

ルノー・ジャポンが、待望の新型コンパクトカー「トゥインゴ」の日本導入を発表した。その価格は189万円(インテンス)から。さらに50台の限定車として、5段MTの「サンクS」を169万円で導入するなど、意欲的な価格設定だ。同車にかけるルノー・ジャポンの意気込みを聞いた。

2016年7月13日に行われた「トゥインゴ」の発表会において、日本導入への意気込みを語るルノー・ジャポン代表取締役社長の大極 司氏
2016年7月13日に行われた「トゥインゴ」の発表会において、日本導入への意気込みを語るルノー・ジャポン代表取締役社長の大極 司氏 拡大
MT仕様の限定車「サンクS」のインテリア。7月13日の発表会では、同車の展示は行われなかった。(写真は欧州仕様)
MT仕様の限定車「サンクS」のインテリア。7月13日の発表会では、同車の展示は行われなかった。(写真は欧州仕様) 拡大

4本目の大きな柱

ルノー・ジャポン代表取締役社長の大極 司氏は、新型トゥインゴの導入について「輸入車のAセグメントは現在、それほど大きな市場ではない。そこにこのトゥインゴを投入することで拡大させたい」と述べる。さらに、「日本車にはコンパクトカーで走りも良く、かわいいクルマがあまりない。そこで、ぜひフランス車のルノーにこんなにステキなクルマがあることを知ってもらいたい」と期待を語った。つまり、先述の価格設定は、日本のコンパクトカーとの競合、日本車からのユーザーの流入も大きく視野に入れてのことなのだ。

台数面でも期待は大きい。昨2015年ルノー・ジャポンは設立以降初めて年間の販売台数が5000台を突破した。「ルーテシア」「キャプチャー」「カングー」の3モデルが同社の大きなビジネスピラーとして貢献。大極氏は、「それぞれ1500台ほどの販売台数だ。そこにもうひとつ、トゥインゴという柱を作り、ほかと同じぐらいの太い柱として売っていきたいと考えている。従って、全車合計で6000台にはアプローチしたい」と述べた。

ルノー トゥインゴ の中古車

200万円を大きく下回ることがポイント

同社マーケティング部マネジャーのフレデリック・ブレン氏はこの価格設定について、「199万円などと、ぎりぎり200万円を切った価格ではなく、189万円と大きく200万円を下回る価格にした」と本気で価格面をアピールする。しかもグレードはルノー車の上級グレードを意味する「インテンス」なので、15インチのアロイホイールやオートエアコン、レザーステアリング、クルーズコントロール、フォグランプなどが装備される。

しかも、それ以上のインパクトを求めて169万円の限定車、「サンクS」も導入。ブレン氏は、「輸入車のエントリーモデルであると同時に、ルノーのエントリーモデルとしても位置付けられる。諸費用込々でも 200万円を切る金額になるので、これで、より日本車ユーザーからも注目してもらえるだろう」と期待大だ。

この1リッター自然吸気エンジンに5段マニュアルトランスミッションを組み合わせたユニークなモデルについて、ブレン氏は「今回は50台だけしか入れられなかった。しかし、値段はキープできるかどうかわからないが、この『1リッターNA+5MT』というのはルノー・ジャポンとしては欠かせない仕様なので、近い将来の再導入は検討している」と明かす。これは同社の戦略でもあり、「スポーツ仕様のMTはよくある。しかし、われわれは手ごろな価格のエントリーモデルとしてのMTも考えている」とのこと。実際、ルーテシアやカングーにもベーシックなMTモデルが設定されており、しかもそれが10~20%の販売割合を保っているという。この戦略が成功していることの裏付けといえるだろう。

ちなみに大極氏は新型トゥインゴの戦略について、「パリの石畳を元気よく走るかわいいクルマというイメージでコミュニケーションを図っていく。トゥインゴとパリ、元気のいいクルマというイメージを持ってもらいたい」という。7月29日より募集が始まる、フランスはパリでの試乗キャンペーンもその一環。「限定車も年に何回かの導入を考えている。皆さまに楽しんでいただけるような、そういう企画をどんどん出していきたい」と述べた。

ルノー・ジャポンのフレデリック・ブレン氏。シンプルでユニークなデザインの「トゥインゴ」を「パリの人の審美眼に応えるクルマ」と紹介。
ルノー・ジャポンのフレデリック・ブレン氏。シンプルでユニークなデザインの「トゥインゴ」を「パリの人の審美眼に応えるクルマ」と紹介。 拡大
タレントでモデルのIVANさんと、新型「トゥインゴ」のカタログモデルである「インテンス キャンバストップ」(手前)と「インテンス」(奥)。
タレントでモデルのIVANさんと、新型「トゥインゴ」のカタログモデルである「インテンス キャンバストップ」(手前)と「インテンス」(奥)。 拡大
「ルノー・ルーテシア」(左下)と「カングー」(右上)。ルノーでは高額なスポーツグレードだけでなく、手の届きやすいエントリーグレードにもMT仕様を設定している。
「ルノー・ルーテシア」(左下)と「カングー」(右上)。ルノーでは高額なスポーツグレードだけでなく、手の届きやすいエントリーグレードにもMT仕様を設定している。 拡大
「TWINGO PARIS」と書かれたプレートを手に撮影に応じるルノー・ジャポンの大極 司社長(写真向かって右から3番目)と、発表会でモデルを務めたIVANさん(同2番目)。
「TWINGO PARIS」と書かれたプレートを手に撮影に応じるルノー・ジャポンの大極 司社長(写真向かって右から3番目)と、発表会でモデルを務めたIVANさん(同2番目)。 拡大

あのクルマは“敵”ではない!?

最後に、“あの姉妹車との関係を聞いてみよう。大極氏は「敵ではない」と即答。これは同じ土俵にはいないという意味で、「まずユーザーが違う。スマートはメルセデスのお客さまが購入するイメージ。それに対し、トゥインゴのユーザーイメージは、個性的で、自由が好き。そして、クルマが好き。それもまさにカングーのような、自分の個性を生かした使い方を好む方。たぶんスマートのユーザーは見向きもしないだろう」と笑い、「どちらかというと『フィアット500』などに近いのでは」とコメントした。

ブレン氏の意見も同様だ。「これは東京モーターショーをはじめとしたイベントでの展示を通して感じたことだ。どちらを選ぶか。その大きなポイントはデザインの好みだろう。それから、同じスペックで比較をすると値段が全然違ってくるので、そこも魅力につながるだろう」と語った。

先代となる2代目トゥインゴの価格設定が198万円からと、当時としても高めの設定であったことから、3代目ではかなり価格面で本国との調整に時間を費やした様子だ。その結果として、ルノー・ジャポンはカタログモデルが189万円から、さらに限定車として169万円のモデルを用意するなど、見事な手腕を見せた。ニッチの中のメジャーを目指すルノー・ジャポン。このトゥインゴ投入で、さらにその地位を固めていくに違いない。

(文=内田俊一/写真=内田俊一、webCG)

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発表会のステージイベントを飾ったモデルらと談笑する、ルノー・ジャポンの大極 司社長(写真向かって右から2番目)。
発表会のステージイベントを飾ったモデルらと談笑する、ルノー・ジャポンの大極 司社長(写真向かって右から2番目)。 拡大
新型「トゥインゴ」と同じプラットフォームを用いる「スマート・フォーフォー」(奥)と、ユーザーイメージが近い例として大極氏が挙げた「フィアット500」(手前)。
新型「トゥインゴ」と同じプラットフォームを用いる「スマート・フォーフォー」(奥)と、ユーザーイメージが近い例として大極氏が挙げた「フィアット500」(手前)。 拡大
カラフルな新型「ルノー・トゥインゴ」。発売は2016年9月15日の予定。
カラフルな新型「ルノー・トゥインゴ」。発売は2016年9月15日の予定。 拡大
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