第354回:ニッポンのコンパクトをおもしろく!
新型「トゥインゴ」に見るルノーの日本戦略
2016.07.15
エディターから一言
拡大 |
ルノー・ジャポンが、待望の新型コンパクトカー「トゥインゴ」の日本導入を発表した。その価格は189万円(インテンス)から。さらに50台の限定車として、5段MTの「サンクS」を169万円で導入するなど、意欲的な価格設定だ。同車にかけるルノー・ジャポンの意気込みを聞いた。
拡大 |
拡大 |
4本目の大きな柱
ルノー・ジャポン代表取締役社長の大極 司氏は、新型トゥインゴの導入について「輸入車のAセグメントは現在、それほど大きな市場ではない。そこにこのトゥインゴを投入することで拡大させたい」と述べる。さらに、「日本車にはコンパクトカーで走りも良く、かわいいクルマがあまりない。そこで、ぜひフランス車のルノーにこんなにステキなクルマがあることを知ってもらいたい」と期待を語った。つまり、先述の価格設定は、日本のコンパクトカーとの競合、日本車からのユーザーの流入も大きく視野に入れてのことなのだ。
台数面でも期待は大きい。昨2015年ルノー・ジャポンは設立以降初めて年間の販売台数が5000台を突破した。「ルーテシア」「キャプチャー」「カングー」の3モデルが同社の大きなビジネスピラーとして貢献。大極氏は、「それぞれ1500台ほどの販売台数だ。そこにもうひとつ、トゥインゴという柱を作り、ほかと同じぐらいの太い柱として売っていきたいと考えている。従って、全車合計で6000台にはアプローチしたい」と述べた。
200万円を大きく下回ることがポイント
同社マーケティング部マネジャーのフレデリック・ブレン氏はこの価格設定について、「199万円などと、ぎりぎり200万円を切った価格ではなく、189万円と大きく200万円を下回る価格にした」と本気で価格面をアピールする。しかもグレードはルノー車の上級グレードを意味する「インテンス」なので、15インチのアロイホイールやオートエアコン、レザーステアリング、クルーズコントロール、フォグランプなどが装備される。
しかも、それ以上のインパクトを求めて169万円の限定車、「サンクS」も導入。ブレン氏は、「輸入車のエントリーモデルであると同時に、ルノーのエントリーモデルとしても位置付けられる。諸費用込々でも 200万円を切る金額になるので、これで、より日本車ユーザーからも注目してもらえるだろう」と期待大だ。
この1リッター自然吸気エンジンに5段マニュアルトランスミッションを組み合わせたユニークなモデルについて、ブレン氏は「今回は50台だけしか入れられなかった。しかし、値段はキープできるかどうかわからないが、この『1リッターNA+5MT』というのはルノー・ジャポンとしては欠かせない仕様なので、近い将来の再導入は検討している」と明かす。これは同社の戦略でもあり、「スポーツ仕様のMTはよくある。しかし、われわれは手ごろな価格のエントリーモデルとしてのMTも考えている」とのこと。実際、ルーテシアやカングーにもベーシックなMTモデルが設定されており、しかもそれが10~20%の販売割合を保っているという。この戦略が成功していることの裏付けといえるだろう。
ちなみに大極氏は新型トゥインゴの戦略について、「パリの石畳を元気よく走るかわいいクルマというイメージでコミュニケーションを図っていく。トゥインゴとパリ、元気のいいクルマというイメージを持ってもらいたい」という。7月29日より募集が始まる、フランスはパリでの試乗キャンペーンもその一環。「限定車も年に何回かの導入を考えている。皆さまに楽しんでいただけるような、そういう企画をどんどん出していきたい」と述べた。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
あのクルマは“敵”ではない!?
最後に、“あの姉妹車”との関係を聞いてみよう。大極氏は「敵ではない」と即答。これは同じ土俵にはいないという意味で、「まずユーザーが違う。スマートはメルセデスのお客さまが購入するイメージ。それに対し、トゥインゴのユーザーイメージは、個性的で、自由が好き。そして、クルマが好き。それもまさにカングーのような、自分の個性を生かした使い方を好む方。たぶんスマートのユーザーは見向きもしないだろう」と笑い、「どちらかというと『フィアット500』などに近いのでは」とコメントした。
ブレン氏の意見も同様だ。「これは東京モーターショーをはじめとしたイベントでの展示を通して感じたことだ。どちらを選ぶか。その大きなポイントはデザインの好みだろう。それから、同じスペックで比較をすると値段が全然違ってくるので、そこも魅力につながるだろう」と語った。
先代となる2代目トゥインゴの価格設定が198万円からと、当時としても高めの設定であったことから、3代目ではかなり価格面で本国との調整に時間を費やした様子だ。その結果として、ルノー・ジャポンはカタログモデルが189万円から、さらに限定車として169万円のモデルを用意するなど、見事な手腕を見せた。ニッチの中のメジャーを目指すルノー・ジャポン。このトゥインゴ投入で、さらにその地位を固めていくに違いない。
(文=内田俊一/写真=内田俊一、webCG)
→新型「ルノー・トゥインゴ」の実車を写真で紹介
→関連記事「新型『ルノー・トゥインゴ』発表会の会場から」
→関連記事「ルノー、RRとなった新型『トゥインゴ』を日本に導入」
→関連記事「新型『ルノー・トゥインゴ』に2つの限定モデル」
→新型「ルノー・トゥインゴ」のより詳しい画像はこちら

内田 俊一
-
第870回:熱きホンダをとことん楽しむ これが「Honda All Type R World Meeting 2026」だ! 2026.5.15 「シビック タイプR」をはじめ、“タイプR”の車名を持つホンダの高性能車ばかりが集う、激アツのイベントが開催された。気になるその内容は? 会場となったモビリティリゾートもてぎの様子を詳しくリポートする。
-
第869回:思わぬサプライズもいっぱい! クルマ好きのための祭典「シン・モーターファンフェスタ2026」で“最旬ニューモデル”に触れる 2026.4.24 日本最大級の“クルマ好きのための祭典”「シン・モーターファンフェスタ2026」に、発売を間近に控えるさまざまな注目モデルが終結! 会場の様子や、そこで得られた最新情報をお伝えしよう。
-
第868回:ウエット路面での実力は? ブリヂストンの新スタンダードタイヤ「フィネッサ」を試す 2026.4.22 2026年1月に発表されたブリヂストンの「FINESSA(フィネッサ)」は、次世代の商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を搭載する最新のスタンダードタイヤだ。ドライ路面での試走報告に続き、今回は自慢のウエット性能をクローズドコースで確かめた。
-
第867回:ハイエースオーナー必見! スマホで操作できる可変ダンパー「KYBアクトライド」を試す 2026.4.22 KYBからスマートフォンのアプリで操作できる可変ダンパーシステム「ActRide(アクトライド)」が登場。まずは「トヨタ・ハイエース/レジアスエース」用からの展開となるこのシステムの仕上がりを、実際に試乗して確かめた。
-
第866回:買った後にもクルマが進化! 「スバル・レヴォーグ」に用意された2つのアップグレードサービスを試す 2026.4.17 スバルのアップグレードサービスで「レヴォーグ」の走りが変わる? 足まわりを強化する「ダイナミックモーションパッケージ」と、静粛性を高める「コンフォートクワイエットパッケージ」の効能を、試乗を通して確かめた。
-
NEW
車載カメラが普及した今、“デジタルサイドミラー”が主流にならないのはなぜか?
2026.5.26あの多田哲哉のクルマQ&Aサイドミラーの役割をカメラが担う“デジタルサイドミラー”は、レクサスやアウディなどで採用例があったものの、普及するには至っていない。その決定的な理由はなにか? 元トヨタの車両開発者、多田哲哉さんが語る。 -
NEW
マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R(FR/6MT)【試乗記】
2026.5.26試乗記販売台数わずか200台の限定車「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」に試乗。スーパー耐久レース参戦をはじめとするマツダのモータースポーツ活動を担うサブブランドが生み出した初の市販コンプリートカーは、いかなる走りをみせるのか。 -
買った後にもクルマが進化! トヨタ&GAZOO Racingが提供するアップデートサービスのねらいと意義
2026.5.25デイリーコラムGAZOO Racingが「トヨタGRヤリス/GRカローラ」の新しいソフトウエアアップデートを発表! 競技にも使える高度な機能が、スマートフォンのアプリで調整できるようになった。その詳細な中身と、GRがオーナーに提供する“遊びの機会”の意義を解説する。 -
第336回:やっぱり絶交!
2026.5.25カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた? -
アウディQ6スポーツバックe-tronクワトロ アドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.5.25試乗記アウディの電気自動車(BEV)「Q6スポーツバックe-tron」で、東京・渋谷と静岡・裾野を往復。雨のなかでエアコンを効かせ、高速や峠道を遠慮なく走らせるハードユースに、最新のBEVはどう応えてくれたのか? そこで感じた“本音”をリポートする。 -
ホンダ・プレリュード(後編)
2026.5.24ミスター・スバル 辰己英治の目利き軟派なクーペはアリやナシや。ミスター・スバルこと辰己英治さんが新型「ホンダ・プレリュード」に試乗。「シビック タイプR」とは趣を異にするシャシーに触れ、話題の「S+シフト」を試し、これからのスポーツクーペ像に思いをはせた。





























