第80回:スイスポ国民車構想
2018.03.06 カーマニア人間国宝への道国民車なら断然AT
「スイフトスポーツ」の6段MT車に試乗し、「これは国民車になれる!」と叫んだ私だったが、考えてみたらいま日本では、新車販売台数の98.4%がAT車だ(2016年)。
つまり、6段MT車に乗って、「これを国民車に!」と叫ぶのは、「国民全員にフェラーリを!」と叫ぶのと同じで、ウケ狙いにしかならない。
しかしスイスポには6段AT車もある。ソレなら国民の98.4%がカバー可能! 6段MT車と合わせて100%になる。国民車の誕生だ! うおおおおおおおおお!
しかし私はまだスイスポの6段AT車に乗っていなかった。興奮する前に乗ってみなければイカン。ということで、スズキ広報様に試乗をお願いした。
うおおおおお! ひょっとして6段MT車よりいいやんけ!
この「いいやんけ」は、「ラクで楽しいやんけ」という意味で、カーマニア的には言うまでもなくMT一択なのだが、齢(よわい)五十六ともなると、ついラクで楽しい方を選択したくなる。
個人的には、他に「フェラーリ328GTS」というMT車を所有しているので、それを月に一度転がせば、MT車欲は十分満たされる。もう決して「毎日MT車に乗りたい!」とか、「毎日クラッチ踏んでギアをガチャガチャやらなきゃ禁断症状で死ぬ!」みたいなことはない。すでにMT車は死ぬほど乗ったので、MT車の赤い玉が出てるってことですかね。
すごいぞ! スイスポAT
MT車の赤い玉が出ている私でも、スイスポの6段MT車には大感動し、ハイオク仕様のMT車であることを無視して「これを国民車に!」と勝手にコーフンしたわけだが、しかしスイスポの6段AT車には、「これならマジで国民車になれる!」と膝を打った。
「最適なギア比を設定し、鋭い加速が得られる6ATを採用」
スイスポのATについて、プレスリリースに記されているのはその程度で、クロスレシオな6段MTに比べるとあんまり力は入ってない雰囲気もあるが、どうしてどうして、乗ったらこれが実にイイ!
変速感はかなりダイレクトで、軽い変速ショックが来るところなんざDCTみたい。軽い変速ショックが来るクルマを国民車に推していいのか! という声もありましょうが、フォルクスワーゲンのDCT車なんか全部そうなんだからまったく問題ないべ! ドイツの国民車に許されることが、日本の国民車に許されないはずはない!
ステアリング奥にはシフトパドルも付いているから、マニュアル変速も自由自在。1.4リッターターボとの相性は、むしろ6段ATの方がいいかも!? と思うほど痛快に走ってくれる。
具体的には、私の愛車の1台である「DS 3」に、ちょっとだけ似ている。
DS 3は1.2リッター3気筒ターボエンジン(110ps)を搭載しており、中低速トルクが猛烈に痛快、ふだん乗りがメチャメチャ楽しいクルマだ。逆にアクセルを床まで踏んで高回転まで引っ張ると、「あれ、こんなもん?」だが、高回転高出力はフェラーリがやってくれればいいので何の問題もない。
タイヤ選びがキモ
一方スイスポの1.4リッター4気筒ターボは140ps。DS 3に比べれば上までパワーがついてくるが、それでもどちらかというと中低速タイプで、軽く踏んだだけでググッと加速してくれる。DS 3同様、街乗りが実に楽しい上に、本気になってもそれなりに楽しいという両刀使いなのである。
小さな問題点は、国民車としては足がスポーティーすぎることだ。
が、これはおそらくタイヤだけで解決できる。
スイスポは前後195/45R17のコンチネンタル(スイスポ専用タイヤ)を履いている。特性もそこそこスポーツ寄りで、カーマニア的には文句ナシだが、なにせ17インチだ。段差を越える時のショックはそれなりにクル。
17インチタイヤっていったら、私が最初に買ったフェラーリ、「348tb」が17インチですから。スーパーカーサイズですヨ!
これをですね、例えば「アクア」と同じ185/65R15にインチダウンすれば、乗り心地は劇的に改善されるはず! 意外なことに外径はほぼ同じだ。
2インチもダウンしてブレーキキャリパー入るのかとか、見た目が猛烈にショボくなるぜといった問題も浮上するであろうが、じゃ185/55R16くらいでもいいです。んでタイヤの銘柄もフワフワ系にすれば、ソク国民車になれるのではないか!?
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信、webCG/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第336回:やっぱり絶交! 2026.5.25 清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた?
-
第335回:水平尾翼が効いてるのかな 2026.5.11 清水草一の話題の連載。フルモデルチェンジで2代目となった「シトロエンC5エアクロス」で、夜の首都高に出撃した。最新のデザイン言語を用いて進化した内外装とマイルドハイブリッドの走りに、元シトロエンオーナーは何を感じた?
-
第334回:親でもここまではしてくれまい 2026.4.27 清水草一の話題の連載。先日試乗した「トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ」はすごかった。MTと縦引きパーキングブレーキの組み合わせを用意してくれるトヨタは、カーマニアにとってもはや神である。
-
第333回:毛が生えようが、ハゲようが 2026.4.13 清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。
-
第332回:クルマ地味自慢 2026.3.30 清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は?
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。







































