レクサスRC350“Fスポーツ”(FR/8AT)
やせガマンの美学 2019.01.23 試乗記 マイナーチェンジが施された「レクサスRC」に試乗。「LFA」の後を受け、ブランドイメージをけん引していたのは過去の話……。そのポジションを「LC」へと譲ったいま、微妙な立ち位置にある古典的な2ドアクーペを、あえてチョイスする理由はどこにあるのだろうか。パーキングブレーキはどこ?
「レクサスRC350“Fスポーツ”」を受け取って発進しようとしたら、パーキングブレーキのスイッチが見つからない。センターコンソールやダッシュボードのあたりを探しているうちに、左足が硬いものに触れた。まさか、足踏み式のパーキングブレーキだったとは。RCがデビューしたのは2014年である。5年も前なので、いろいろ旧式な部分があるのは仕方がない。
LFAの生産が終了した後でLCはまだなかった時期に、RCはレクサス唯一のクーペとして登場した。華やかな空気をまとい、ブランドのイメージリーダー的な存在を担ったモデルである。2012年に初採用されたスピンドルグリルがエクステリアデザイン全体とうまくマッチして、ようやくこなれてきたと感じたのを思い出す。当時、主査の草間栄一さんにインタビューすると、「とにかくカッコいいクルマを作ろうと考えました!」と自信に満ちた言葉が返ってきた。
真のラグジュアリーブランドになるためには、エレガントなフォルムを持ち強力な動力性能を持つクーペが欠かせない。「見るものを魅了し、誘惑する“Sexy”なデザイン」というキャッチコピーに、開発陣が情熱を込めて取り組んだモデルだったことが見て取れる。
今見ても日本車らしからぬ派手でゴージャスなスタイルだと思う。それは変わらないが、今見るとあの時の印象とは微妙に異なる感想を抱いてしまった。色気があるのはいいのだけれど、少しばかり脂っこさが強すぎる。キャラが濃いのだ。