ロータスが新型車「エミーラ」を発表 新世代製品群の旗手を担う第1弾モデル
2021.07.07 自動車ニュース![]() |
英ロータスは2021年7月6日(現地時間)、まったくの新型モデルとなるスポーツカー「エミーラ」を発表した。同年1月に予告された「タイプ131」ファミリーの一台であり、生産終了がアナウンスされている「エリーゼ」や「エキシージ」「エヴォーラ」の後を継ぎ、ロータスを支える新世代のモデルだ。
ロータス最後のミドシップエンジン車
エミーラ(Emira)という名称は「Eh-meer-ah」と発音され、その由来は古代言語で「司令官」や「リーダー」を意味するという。ロータスはこの車名について、「10年後を予定するロータスの完全EV(電気自動車)化という新時代までの間、内燃エンジン搭載のロータスをリードする新しいスポーツカーという意味が込められている」と説明している。
さらにロータスは、エミーラについて「ロータスがつくり上げた最高で最後のミドシップエンジン車両」と説明。エミーラは電動化されておらず、従来モデルと同様にアルミ製プラットフォームの中央に内燃機関をミドシップ搭載する、2座の新型スポーツカーとなっている。
メルセデスAMG製の2リッター直4エンジンを採用
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4412×1895×1225mm、ホイールベース=2575mmというもので、車両重量は1405kg以下を目標としている。ロータスのディレクターのひとりであるギャヴァン・カーショウ氏は、エミーラについて、「これまでのロータスロードカーよりもトレッドを広くとって安定性を高め、並外れたロードホールディング性と非常に低い重心の感覚を提供する。これはエリーゼ、エキシージ、エヴォーラのDNAに基づいて構築された真のロータススポーツカーである」と説明する。
このボディーを支えるプラットフォームには、ロータスが磨き上げてきたアルミの押し出し材と接着技術が使われている。もちろん設計は従来モデルから一新されており、その製造も新しい施設である「ロータスアドバンスドストラクチャー」にて行われる予定だ。
また、シャシーとサスペンションには「ツアー」と「スポーツ」の2つの仕様を用意。ツアーは日常での使用を重視して調整されたもので、ダイナミックな走行性能と快適な乗り心地を両立するという。一方スポーツは、オプションとなる「ロータスドライバーズパック」との組み合わせで選択できる仕様となっており、より硬いサスペンションがセットアップされる。ホイールはすべて20インチ。タイヤは標準仕様がグッドイヤーの「イーグルF1スーパースポーツ」で、オプションのロータスドライバーズパックでは、ミシュランの「パイロットスポーツ カップ2」も選択できる。
パワートレインは2種のガソリンエンジンで、ひとつはこれまでもエキシージやエヴォーラに搭載されていたトヨタ製の3.5リッターV6にスーパーチャージャーを搭載したもの。もうひとつはメルセデスAMG製の2リッター直列4気筒ターボエンジン「i4」で、ロータスが同社のエンジンを使用するのは、これが初となる。トランスミッションは、3.5リッターV6エンジンではMTとATから選択可能で、2リッター直4にはDCTが組み合わされる。最高出力は365~405PS、最大トルクは430N・mを予定しており、0-100km/h加速は4.5秒未満、最高速度は290km/h、CO2排出量は180g/km以下を標榜(ひょうぼう)している。
ユーティリティーの改善にも腐心
エミーラのデザインは2019年に発表された電動ハイパーカー「エヴァイヤ(タイプ130)」の特徴を引き継いでおり、シャープでエッジの効いたボンネットや、後部に向かって引き締められていくキャビンの形状が目を引く、スポーツカーらしい引き締まったプロポーションを持つ。また縦型のオールLEDヘッドライトには、ウイングにインスパイアされたという“ツインブレードデザイン”が採用されている。
一方インテリアでは、「顧客の求めるスポーツカー」と「日常使いできるスポーツカー」という2つのコンセプトを追求。スポーツカー的な側面を満足させる演出の例として、マニュアル車のセンターコンソールは現行のエリーゼやエキシージなどと同じように、ギアのリンケージの動きが見えるスケルトンタイプとされている。
一方、日常使いできるスポーツカーであるため、室内は従来モデルよりも拡大され、利便性も高められているという。具体的には、センター部にスマートフォンの収納スペースや2つのカップホルダーを置き、ドアにも500mlのペットボトルを収納できるポケットや小物トレイを配置。携帯端末の充電が可能な、USBポートも装備されるという。さらに、シートの後ろには208リッターの積載スペースを、エンジンの後部には151リッターのトランクルームを確保。後者には標準サイズのフライトケースやゴルフクラブセットが収納できるようになっているという。
インフォテインメントシステムなどのインターフェイスは、ダッシュボード中央の10.25インチのタッチスクリーンと12.3インチのTFTドライバーディスプレイから構成され、携帯端末のミラーリング機能であるApple CarPlayやAndroid Autoを使うことも可能。オーディオには英KEFの10チャンネルプレミアムサウンドシステムも用意される。
このほかにも、便利な機能、あるいは安全のための装備として、キーレスゴーや雨滴感知ワイパー、電動格納式ドアミラー、リアパーキングセンサー、カーテンエアバッグ、盗難車両トラッカーなどを用意。アダプティブクルーズコントロール(ACC)や衝突防止システム、疲労感知アラーム、道路標識の表示機能、車速リミッター、車線逸脱警報、後退時安全確認警告機能、レーンチェンジアシストなども設定している。
グローバルブランドへの成長のマイルストーン
エミーラの生産は、英ノーフォークのへセルにあるロータスの本拠地と、その近くにあるノーリッジのロータスアドバンスドストラクチャーにて行われる。ロータスは同車のために1億ポンド(約155億円)以上の投資を行っており、生産効率や生産能力の向上、品質の改善を実現しているという。
デリバリーの開始は2022年春で、日本仕様の生産は同年夏以降に開始される予定となっている。販売は3.5リッターV6エンジンを搭載する限定生産モデル「ファーストエディション」からスタートし、AMGエンジンの2リッター4気筒モデルの登場は2022年夏以降とされている。
ロータスのデザインディレクターであるラッセル・カー氏は「エミーラは、エキゾチックなスーパーカーで、素晴らしいプロポーション、広いフロアスペースがあり、キャビンは力強いリアまわりよりも低い位置にある。さらに毎日使用できる実用的な車両で、最高の品質と手の届きやすい価格であり、既存のスポーツカーと比べても魅力的な選択肢であることは間違いない」と説明。さらにマネージングディレクターのマット・ウィンドル氏も「エミーラはロータスのゲームチェンジャー。(ロータスが)グローバルなパフォーマンスカーブランドになるための非常に重要なマイルストーンである」と述べ、クルマの出来栄えに自信をのぞかせた。
(文=鈴木ケンイチ/写真=ロータスカーズ)