スバル・フォレスター アドバンス(4WD/CVT)
割り切りが肝心 2022.01.29 試乗記 デビューから3年余りを経て大幅な仕様変更が実施された「スバル・フォレスター」。その出来栄えを、2リッターの電動パワートレインを搭載する上級グレードに試乗して確かめた。数字のうえでも大事な一台
スバルの仕向け地別の販売比率を見ると、その約7割は北米だ。偏向は今に始まった話ではなく、国内向けに「レガシィ」を切り離して「レヴォーグ」を仕込むなど、スバル自身も偏りの低減を図ろうとするわけだが、北米での勢いがそれを押し返す状況が続いている。
そんなかの地で「アウトバック」と人気を二分するのがフォレスターだ。コロナ禍や半導体不足などイレギュラー要素の重なる現在の数字はさておき、直前の2019年実績で言えば、スバルの世界販売のざっと6~7台に1台が“北米でのフォレスター”ということになる。しかもインディアナ州で現地生産される北米向けアウトバックと違い、日本からの輸出銘柄であるがゆえ、為替差分においてもスバルのお財布を支えるに重要な位置づけであることは想像できる。
一方でフォレスターは、日本でも2019年の販売実績は「インプレッサ」に次ぐ2位、ライバルと比べれば「マツダCX-5」をしっかり抑えるなど支持層は厚い。とはいえ、双方の仕向け地要求を見定めながら企画する難しさの一端は全幅に表れていて、日本車のライバルより後発でありながらひと回り全幅が狭い。
が、2021年夏のマイナーチェンジでは複数の光源を用いてハイビームの照射範囲を微細にコントロールするアレイ式アダプティブドライビングビームを採用。それに伴いヘッドライトユニットが小型化されたことで、前期型に対してちょっと立派に見えるような気もする。こういったLEDテクノロジーは車体を大きく見せるという点でも役に立っているのだと思う。
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つかの間のEV感
北米市場でのフォレスターのパワートレインは2.5リッター4気筒に一本化されているが、日本においては主軸が2リッター4気筒をベースとするハイブリッドの「e-BOXER」で、スポーティネスを売りにする一部グレードに1.8リッター4気筒ターボが搭載されている。言うまでもなく水平対向ユニットだ。
今回試乗したのは前者のe-BOXERの側で、前期型の2.5リッターの代替的な位置づけで2020年に初搭載されたものだ。主たる動力源は最高出力145PS、最大トルク188N・mを発生するFB20型。そのエンジンとCVTの間に置かれるモーターは同13.6PS、同65N・mを発生する。搭載バッテリーはリチウムイオン型、停止時からモーターのみでの発進も可能ということでは、ストロング系のハイブリッドとも考えられるだろう。
とはいえ、いざ走ってみると「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」のようにモーターの存在感は前面にみてとれない。電池残量が充実している時にそろっとなでるようにアクセルを踏んでいけば、無音のまま走りだしはする。が、EVきたーっと舞い上がるのもほんのつかの間、どぅるんとエンジンが始動。一気に現実に引き戻される。結局のところe-BOXERは、低中速域かつ低回転域でのパーシャルスロットルからじわりと踏み込んでいく際のトルクアシストに最も利得が感じられるのではないだろうか。
納得のいくフィーリング
その低中速域では、フットワークにやや粗さが目立つ。凹凸を受けて大きなバネ下の動きをピタリと封じ込めず、ブルンとバウンドしているようなキレの悪さというのだろうか。それに乗じてフロアにも微震が伝わってくる。が、僕も含めてお客さんがスバルに望むのは、無振動よりも「走ってる」というライブ感だろうから、それはそれでいいとは思う。なにがなんでもボディー剛性命というだけがクルマではない。
中高速域や高負荷域になると、足まわりの動きはにわかに生きてくる。大きなバウンドの収束は若干お釣りがくるも、総じてフラットなライド感は保たれるし、ピッチは柔らかくロールは自然だ。山道でもぐいぐいストレスなく曲げていける一方で、今回は走る機会がなかった悪路でもしっかり足を伸ばして接地性を確保する器用さを持ち合わせていることは、前期型でも確認済みだ。もちろん雪道の性能は文句のつけようがない。
メカニカルグリップの素性がいいのは今に始まった話ではないが、今や北米で一番売れる日本車となった「トヨタRAV4」や「ホンダCR-V」などのライバルと相まみえても、オンロードとオフロードのバランスポイントが高いところにある。それがかの地でのフォレスターの人気の秘密であることは間違いないだろう。
エコ性能はこれでいいのか?
と、それにしてもだ。e-BOXER、「e」の割には燃費がなかなか厳しい。
実は直近で今回の試乗ルートとほぼ同じ行程を新しいアウトバック(レガシィ アウトバック)で走る機会があったのだが、厳密ではないにせよ、同じような乗り方を意識しての燃費は結局ほぼ同じだった。
ひと回りは大きな車格を1.8リッター4気筒ターボで引っ張るアウトバックに肩を並べられては、ハイブリッドも立つ瀬がない。市街地走行では幾ばくかの利ももたらすかもしれないが、e-BOXERのモーターは燃費向上よりもパワーサプライと割り切った方がいい側面があるのも確かだ。
急速に変わる市場環境のなか、さすがに仕向け地も環境性能とお財布の両立にうるさくなってくることは容易に察せられる。そこで「ソルテラ」ですよと唱えられても、さりとて水平対向エンジンは最後まで切り捨てられないスバルとしては、軽量化や空力特性など周辺要素も含めたアーキテクチャーの改善が急務となりつつあるのではないだろうか。
(文=渡辺敏史/写真=田村 弥/編集=関 顕也)
テスト車のデータ
スバル・フォレスター アドバンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4640×1815×1715mm
ホイールベース:2670mm
車重:1660kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:145PS(107kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4000rpm
モーター最高出力:13.6PS(10kW)
モーター最大トルク:65N・m(6.6kgf・m)
タイヤ:(前)225/55R18 98Q/(後)225/55R18 98Q(ヨコハマ・アイスガードG075)
燃費:14.0km/リッター(WLTCモード)/18.6km/リッター(JC08モード)
価格:317万9000円/テスト車=348万7000円
オプション装備:パワーリアゲート+本革シート<ナッパレザー>+大型サンルーフ(30万8000円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:1297km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:337.7km
使用燃料:29.1リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:11.6km/リッター(満タン法)/11.8km/リッター(車載燃費計計測値)

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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