第322回:機関車みたいで最高!
2025.11.03 カーマニア人間国宝への道守旧派カーマニア待望のスバル車に涙
私は心の狭いカーマニア。クルマは走ってナンボなので、基本見るだけのモーターショーにはそれほど興味はないほうですが、東京モーターショーやその後継イベントである現ジャパンモビリティショー(JMS)は、日本のカーマニアとして青年時代から親しんでいる。今回も駆け足で見学させていただきました。
午前8時に入場し、まず向かったのは、駐車場から一番近かったBYDブースだ。お目当てはもちろん軽BEV「ラッコ」である。海外メーカーが軽自動車を一からつくるなんて史上初。カーマニア的な大事件だ。
実物のラッコは、先代「ルークス」の顔をシンプルにしました! みたいなデザインで、パッと見とっても地味で質実剛健。(動物の)ラッコっぽさは皆無だった。勝負は値段と航続距離なので、発表を楽しみに待ちます。
続いてスバルの「Performance-B STIコンセプト」を見る。なにしろスバリスト&守旧派カーマニア待望の水平対向4気筒ターボ+6段MTモデル。見るだけで涙が出る。
しかしこんなにリアウイングがデカいのか。学生街の定食屋のライス特盛りサービスみたいにデカい! あまりのサービスぶりにもう一度涙。
お次はマツダブースだ。次期「マツダ2」ともいわれる「ビジョンXコンパクト」がとってもカッコカワイイ。特にツルンとしたお尻がステキ! AIアイドル的で実現可能性があんまり感じられない「ビジョンXクーペ」より、オレはこっちだな。もうデカくて長いクルマはおなかいっぱいだし。
実際に飛んだロケットそのものを展示
JMS2025のスズキブースでは、軽EV&次期「ワゴンR」ではとうわさの「ビジョンeスカイ」を拝む。次期ワゴンRは、「ダイハツ・ムーヴ」と違ってスライドドアじゃないんだね(わかんないけど)。カーマニア的には、スライドドアに何のメリットも感じないのでOK。シンプルなデザインでとってもイイネ!
いよいよホンダブースだ。目当てはもちろんロケットである。クルマは乗るものだけど、ロケットは見るもの(乗るのは高すぎてムリ)。種子島にH2 Aロケットの打ち上げを4回も見に行ったほどだ。ロケットの打ち上げはウルトラ神々しい。「F40」の全開加速アフターファイアー×1000みたいな感じで超絶最高ですヨ!
「ホンダ・サステナブルロケット」はまだ271mしか上昇してないけど、「スペースX」みたいな垂直着陸をいきなり実現させたのはスゲエ! いま私が一番見たいもの、それはスターシップの垂直着陸!
で、実物のサステナブルロケットの印象は、「こんなにちっちゃいのか~」でした。全長6.3mだったのね。対するスターシップは全長121m。約20分の1か……。体積だと数千分の1。日米の国力の差を痛感セリ。
でもこれは、実際に飛んだロケットそのものだ。実物が見られるなんてすごすぎる! ホンダのロケットにもスターシップみたいな制御翼がついててステキ! 実際にロケット噴射したノズルも見られる! クルマ用のぶっといマフラーくらいでした。フレンドリーでイイネ!
鉄道好きにはたまらない
南館に移動、いよいよJMS2025の真打ちトヨタグループの展示である。
次期「コペン」はFRで開発中(展示されるコンセプトカーの車名は「K-OPEN」)。現行コペンをFR化して、本気でテスト走行中っていうんだから涙が出る。ダイハツの方に聞いたところ、テスト車両は「ハイゼット」(ミドシップ)の技術や部品を流用したんだって! オレも乗ってた軽トラ(水没)の技術が、次期コペンに生かされるかもなんだね! またまた目が涙で水没。
んで、トヨタ&レクサス&センチュリー。展示の圧倒的な質と量は、日本の総力戦と申しましょうか。ものすごかった……。内容が充実しすぎていたのでいちいち触れられませんが、6輪の「LSコンセプト」についてひとこと。
「機関車みたいで最高!」
私、鉄道も好きです。
いやー満足満足。帰って昼寝しようと思ったら、西館を見るの忘れてた。最後に日産ブースで次期「エルグランド」を拝み、「リアが発散しててスゲエ!」と感心。「トヨタ・アルファード」に一矢報いることを期待しよう。
ついでにBMWブースで、ノイエクラッセ顔の新型「iX3」を拝見した。
「うわ! 顔の真ん中がへこんでる!」
クルマの顔って、普通ラウンドしてるでしょ。でもiX3はノーズ中央部がほぼ真っ平の逆スラントで、へこんでるみたいに見えるんだよね。こりゃビックリだ! 書き割りみたい! これはこれで個性的でイイかもネ!
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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