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第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す

2026.06.19 エディターから一言 生方 聡
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2026年1月に導入されたミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。今回はその走りをテストコースで確かめた。
2026年1月に導入されたミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。今回はその走りをテストコースで確かめた。拡大

2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」(参照)と「プライマシー5エナジー」(参照)。従来製品で定評のあったそれぞれの特徴はそのままに、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能の向上をうたう両タイヤの走りを、クローズドコースで確かめた。

「ミシュラン・パイロットスポーツ5エナジー」は、「パイロットスポーツEV」の後継モデルとして開発された。235/45R18 98Y XLから265/45R21 108Y XLまでの計17種類をラインナップ。価格はオープンプライスとなっている。
「ミシュラン・パイロットスポーツ5エナジー」は、「パイロットスポーツEV」の後継モデルとして開発された。235/45R18 98Y XLから265/45R21 108Y XLまでの計17種類をラインナップ。価格はオープンプライスとなっている。拡大
「ミシュラン・プライマシー5エナジー」は、2021年8月に登場した「eプライマシー」の後継となる新タイヤ。205/55R16 91Vから235/45R21 101W XLまでの計21種類をラインナップ。こちらも価格はオープンプライスとなっている。
「ミシュラン・プライマシー5エナジー」は、2021年8月に登場した「eプライマシー」の後継となる新タイヤ。205/55R16 91Vから235/45R21 101W XLまでの計21種類をラインナップ。こちらも価格はオープンプライスとなっている。拡大
今回、栃木のGKNドライブラインジャパン プルービンググラウンドを舞台に開催された報道関係者向けとなる「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」の試走会には、「トヨタ・プリウス」と「トヨタbZ4X」が用意されていた。
今回、栃木のGKNドライブラインジャパン プルービンググラウンドを舞台に開催された報道関係者向けとなる「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」の試走会には、「トヨタ・プリウス」と「トヨタbZ4X」が用意されていた。拡大
「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」の特徴やミシュランの取り組みなどを紹介した日本ミシュランタイヤのマーケティングディレクター、梶 恵子氏。
「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」の特徴やミシュランの取り組みなどを紹介した日本ミシュランタイヤのマーケティングディレクター、梶 恵子氏。拡大

ミシュランの看板タイヤに進化版が登場

電気自動車(BEV)に乗るようになってから、タイヤ選びが以前にも増して悩ましくなった。少しでも航続距離を伸ばしたいから低転がり抵抗は重視したい。しかし、だからといって操縦性や快適性を妥協するのは嫌だ。そんな欲張りな願いに応えてくれそうだと思ったのが、2026年1月に発表されたミシュランのパイロットスポーツ5エナジーとプライマシー5エナジーである。

環境性能と走行性能の両立をうたうこの新しいエナジーシリーズが、いよいよ発売となり、今回、GKNドライブラインジャパン プルービンググラウンドでその実力を確かめる機会を得た。

ミシュランでは、2030年までにタイヤのエネルギー効率を2020年比で10%改善し、2050年には「100%持続可能なタイヤの実現」を目標に掲げている。そのためには、これまでのようにエコタイヤだけで環境性能を追求するのではなく、スポーツタイヤやプレミアムコンフォートタイヤを含めた全セグメントで、低転がり抵抗性能を向上させるとともに、タイヤの高い性能が最後まで続くようにすることが重要と考えている。

そのあらわれが、今回追加設定されたパイロットスポーツ5エナジーとプライマシー5エナジーである。

スポーツドライビングを楽しむユーザーのためのパイロットスポーツ、快適性や静粛性を重視するプレミアムコンフォートタイヤのプライマシーは、どちらもミシュランにとっては看板モデルといえる重要なシリーズである。その名を冠した進化版たるエナジーが、環境性能を向上させながら、それぞれのブランドの特徴をいかに維持しているのか、実際の試走を通して確かめてみた。

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違いがわからないオトコになる

まず試したのはパイロットスポーツ5エナジー。「パイロットスポーツEV」の後継モデルとして開発されたこのタイヤは、スポーツタイヤでありながら転がり抵抗性能「AAA」または「AA」を実現するとともに、ウエット性能や耐摩耗性も向上させたのが特徴だという。

その実現のために、ショルダー部にエネルギー効率の良い「エナジーパッシブコンパウンド」、センター部に高剛性かつハイグリップの「グリップアダプティブコンパウンド」を配置する「バイコンパウンドテクノロジー」を採用。さらに転がり抵抗を抑えるスリムベルトや、接地圧を均一化する「マックスタッチコンストラクション」なども投入されている。

試走には「トヨタbZ4X」を使い、「パイロットスポーツ4 SUV」とも比較したのだが、いい意味で、それほど大きな違いが感じられなかった。たとえば、40km/hでパイロンスラロームをするテストでは、パイロットスポーツ4 SUVと同様に、ステアリング操作に対するパイロットスポーツ5エナジーの応答は良好で、やや硬めの乗り心地で車両を支えてくれる。

ウエットのハンドリング路でも、スポーツタイヤらしく高いグリップ力を発揮しながら、限界域での挙動が穏やかでわかりやすい。厳密にいえば、パイロットスポーツ4 SUVのほうがわずかにスポーティーだが、パイロットスポーツ5エナジー単独で試走したとしたら、おそらく気づかないだろう。

一方、パイロットスポーツ5エナジーのほうがロードノイズは低めで、ミシュランによれば環境性能は上。にもかかわらず、グリップやハンドリング性能を諦めなくていいのはうれしいかぎりだ。

スポーツ走行に求められるハンドリング性能に加え、低燃費性能、耐摩耗性、ウエットグリップ性能をより高い次元で実現。環境性能にも優れたハイグリップスポーツタイヤとうたわれる「パイロットスポーツ5エナジー」。
スポーツ走行に求められるハンドリング性能に加え、低燃費性能、耐摩耗性、ウエットグリップ性能をより高い次元で実現。環境性能にも優れたハイグリップスポーツタイヤとうたわれる「パイロットスポーツ5エナジー」。拡大
「パイロットスポーツ5エナジー」のサイドウォール。深みのある黒さとベルベットのような手触りを実現するデザイン上の技術「プレミアムタッチ」が採用される。
「パイロットスポーツ5エナジー」のサイドウォール。深みのある黒さとベルベットのような手触りを実現するデザイン上の技術「プレミアムタッチ」が採用される。拡大
235/50R20サイズの「パイロットスポーツ5エナジー」が装着された「トヨタbZ4X」で、ウエットハンドリング路を走行。限界域での挙動を確認した。
235/50R20サイズの「パイロットスポーツ5エナジー」が装着された「トヨタbZ4X」で、ウエットハンドリング路を走行。限界域での挙動を確認した。拡大
高速周回路で「パイロットスポーツ5エナジー」と「パイロットスポーツ4 SUV」を装着した「トヨタbZ4X」を乗り比べ、走りの違いをチェックした。
高速周回路で「パイロットスポーツ5エナジー」と「パイロットスポーツ4 SUV」を装着した「トヨタbZ4X」を乗り比べ、走りの違いをチェックした。拡大

プレミアムコンフォートタイヤにふさわしい性能

次に試したのがプライマシー5エナジー。BEVをターゲットにした「eプライマシー」の後継として開発されたプレミアムコンフォートタイヤだ。転がり抵抗性能は全サイズで最高グレード「AAA」を達成し、耐摩耗性やウエット性能も向上している。

これに貢献しているのが、新世代の「エナジーパッシブ2.0コンパウンド」やエネルギー損失を減らすトレッド構造の「スリムベルト」だ。そのうえ、サイズの異なるブロックを最適に配置する「ピアノアコースティックテクノロジー」やセンターの3本のリブに補強を入れる「サイレントリブテクノロジー」により、プライマシーシリーズ自慢の静粛性に磨きをかけたという。

プライマシー5エナジーの走りは「トヨタ・プリウス」で試すことができた。パイロットスポーツ5エナジーを装着した車両から乗り換えると、ロードノイズの小ささが際立つ。乗り心地もプライマシー5エナジーのほうが快適だが、コンフォートタイヤといっても引き締まった乗り心地は、いかにもミシュランらしい。

パイロンスラロームでも、プライマシー5エナジーは環境性能のコンフォートタイヤというイメージとは裏腹に舵角は最小ですみ、ステアリングを切り始めた瞬間からノーズが素直に向きを変えてくれるので運転が楽しい。高速のレーンチェンジでは、レーンチェンジ後の収まりもよく、安心してステアリング操作ができた。

低燃費性能、耐摩耗性、ウエット性能を高次元で両立させつつ環境にも配慮したプレミアムコンフォートタイヤと位置づけられる「プライマシー5エナジー」。
低燃費性能、耐摩耗性、ウエット性能を高次元で両立させつつ環境にも配慮したプレミアムコンフォートタイヤと位置づけられる「プライマシー5エナジー」。拡大
「プライマシー5エナジー」のサイドウォール。深みのある黒さと、ベルベットのような手触りが得られる「フルリングプレミアムタッチ」が採用される。
「プライマシー5エナジー」のサイドウォール。深みのある黒さと、ベルベットのような手触りが得られる「フルリングプレミアムタッチ」が採用される。拡大
「プライマシー5エナジー」を装着した「プリウス」でパイロンスラロームを実施。環境性能を重視するコンフォートタイヤというイメージとは裏腹に舵角は最小ですみ、運転が楽しく感じられた。
「プライマシー5エナジー」を装着した「プリウス」でパイロンスラロームを実施。環境性能を重視するコンフォートタイヤというイメージとは裏腹に舵角は最小ですみ、運転が楽しく感じられた。拡大
「プライマシー5エナジー」を装着した「プリウス」の走行シーン。高速のレーンチェンジでは、レーンチェンジ後の収まりもよく、安心してステアリング操作ができた。
「プライマシー5エナジー」を装着した「プリウス」の走行シーン。高速のレーンチェンジでは、レーンチェンジ後の収まりもよく、安心してステアリング操作ができた。拡大

ウエット性能の高さもうれしい

ウエットのハンドリング路でも、プライマシー5エナジーはステアリングを切り始めたときの反応が素早く、コーナリングスピードも期待以上に高い。

興味深かったがウエット路面でのブレーキ性能。80km/hからフルブレーキで停止するまでの距離は、新品状態では29.43mだった。この短さも驚きだが、注目すべきは摩耗後の結果だ。残溝2mmまで摩耗したプライマシー5エナジーは1回目が43.11m、2回目が41.93m。平均で約42.5mと、思いのほか制動距離が短かったのだ。そのうえ残溝2mmでも制動時の挙動は安定しており、運転に不安を感じることはなかった。

一般的にタイヤは摩耗が進むにつれて排水性能が低下し、ウエット性能も落ちていく。しかし今回の結果を見るかぎり、プライマシー5エナジーは摩耗後でも高い制動性能を維持していることがわかる。タイヤを最後まで安心して使い切れる性能も、ミシュランが取り組んでいるサステイナビリティー戦略のひとつなのである。

環境性能というと転がり抵抗や燃費の改善に目が向きがちだが、長く使えることもまた重要な要素である。プライマシー5エナジーは、低燃費性能や耐摩耗性だけでなく、摩耗後のウエット性能まで高いレベルで確保している。優れた走行性能と快適性、そして安全性と環境性能の調和を、あらためて確認できた試走会だった。

(文=生方 聡/写真=日本ミシュランタイヤ/編集=櫻井健一)

「プリウス」に新品の「プライマシー5エナジー」と、残溝が2mmとなった同タイヤを装着してウエット路面でのブレーキ性能を比較した。サイズはいずれも195/60R17。
「プリウス」に新品の「プライマシー5エナジー」と、残溝が2mmとなった同タイヤを装着してウエット路面でのブレーキ性能を比較した。サイズはいずれも195/60R17。拡大
ウエット路面において、80km/hからフルブレーキで停止するまでの距離は、新品の「プライマシー5エナジー」では平均29.43m、残溝2mmまで摩耗した同タイヤでは平均42.5mという結果に。ウエットブレーキング性能を約4.5%向上させたとうたうとおり、摩耗後でも十分な制動距離を確保していることが確認できた。
ウエット路面において、80km/hからフルブレーキで停止するまでの距離は、新品の「プライマシー5エナジー」では平均29.43m、残溝2mmまで摩耗した同タイヤでは平均42.5mという結果に。ウエットブレーキング性能を約4.5%向上させたとうたうとおり、摩耗後でも十分な制動距離を確保していることが確認できた。拡大
サイズの異なるブロックを最適に配置する「ピアノアコースティックテクノロジー」や進化した「サイレントリブテクノロジー」が採用された「プライマシー5エナジー」のトレッド面。不快な周波数音の低減と、静粛性の向上もセリングポイントである。
サイズの異なるブロックを最適に配置する「ピアノアコースティックテクノロジー」や進化した「サイレントリブテクノロジー」が採用された「プライマシー5エナジー」のトレッド面。不快な周波数音の低減と、静粛性の向上もセリングポイントである。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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