第200回:「MINIコンバーチブル日記」(その2)つくづく凄いBMW
2005.03.14 小沢コージの勢いまかせ!第200回:「MINIコンバーチブル日記」(その2)つくづく凄いBMW
拡大 |
拡大 |
拡大 |
■BMWだからできた
「MINIクーパー・コンバーチブル」に乗り始めて2ヶ月ちょい。毎日乗って思うのは、これを作ったBMWの凄さかな。マジメな話、普通に乗ってて楽しい。これって結構、大変なことで、こういう感想を抱ける乗用車って今はメルセデスベンツとBMWぐらいにしかないのだ。
その理由はハンドリングに尽きる。別にオープンだからどうのこうのじゃなくて、「BMW 1シリーズ」の時も書いたけど、毎日食べるいいおコメのようにシミジミと楽しい。ベンツ、BMWに“ハマる”ってこういうことなんだろうなぁ。俺は正直、ベンツを買おうなんて一度も思ったことなかったけど、今は買おうかなと思っております。あれだけ人をハマらせるには、なにか秘密があるはず! と見ました。
ところでMINIのハンドリングの魅力なんだけど、この話を日産の某テストドライバーさんとしたら「魅力的なのはわかりますよ。でも今の日本車じゃ作れないでしょうね」と言われた。
簡単に言えば、FFなのにFR的なセッティングをしてるそうだ。「おそらくコーナーを思いっきり攻めたら、普通にスピンするでしょう」。要するにフロントグリップがかなり高く、相対的にリアが低めだから、運転の仕方によっては最終的にスピンに至る、というのがMINIのセッティング。つまり、BMWと同じなのよ。たぶん。
ちなみに、日本じゃそんなセッティングは許されないという。今の国産FFの場合、どこをどうやってもスピンしないくらいにアンダーステア傾向のセッティングになっており、裏を返せば、それが乗っててつまらない原因の一つでもある。MINIの場合、「おそらくそれを無視している」そうだ。
他のエンジニアはこうも言っていた。「BMWはFFを作ったことがないから、あの足まわりができたんでしょう。それはFR的ってこともあるし、手のヌキどころを知らなかった、ということでもある」と。
うーむ、伊達に日本だけで年間1万台以上を売る車種じゃありません。
拡大 |
拡大 |
■実用だけがクルマじゃない
あとね、個人的に勉強になったのは色選び。実は MINIクーパー・コンバーチブルは、ボディカラーが全12色、幌が3色から、ほとんど自由に組み合わせられるんだけど、なかなかピッタリくるのがない。本当は水色のメタリックか白ボディが欲しかったんだけど、残念ながらコンバーチブルに設定はなかった。
そこで元々好きな黒メタをベースに、ダークグリーン幌というなんとも渋い組み合わせに決定。オシャレっぽいのは満足してるけど、シブ過ぎたかなぁとも思っております。赤ボディにダークブルーの幌ってのも良かったかなぁ……とかね。MINIってつくづく洋服みたいなクルマなんで、色は性能以上に大切なのであーる。
ってなワケで、クルマってホントにいろんな面を持ってることを実感。実用だけじゃ語れない。マジ、楽しいですよ。
(文と写真=小沢コージ/2005年3月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
次期型はあるんですか? 「三菱デリカD:5」の未来を開発責任者に聞いた
2025.12.18デイリーコラムデビューから19年がたとうとしている「三菱デリカD:5」が、またしても一部改良。三菱のご長寿モデルは、このまま延命措置を繰り返してフェードアウトしていくのか? それともちゃんと次期型は存在するのか? 開発責任者に話を聞いた。 -
NEW
フォルクスワーゲンID. Buzzプロ ロングホイールベース(前編)
2025.12.18あの多田哲哉の自動車放談現在の自動車界では珍しい、100%電動ミニバン「フォルクスワーゲンID. Buzz」。トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんが、実車に初めて試乗した感想は? -
NEW
第941回:イタルデザインが米企業の傘下に! トリノ激動の一年を振り返る
2025.12.18マッキナ あらモーダ!デザイン開発会社のイタルデザインが、米IT企業の傘下に! 歴史ある企業やブランドの売却・買収に、フィアットによるミラフィオーリの改修開始と、2025年も大いに揺れ動いたトリノ。“自動車の街”の今と未来を、イタリア在住の大矢アキオが語る。 -
ホンダN-ONE e:G(FWD)【試乗記】
2025.12.17試乗記「ホンダN-ONE e:」の一充電走行距離(WLTCモード)は295kmとされている。額面どおりに走れないのは当然ながら、電気自動車にとっては過酷な時期である真冬のロングドライブではどれくらいが目安になるのだろうか。「e:G」グレードの仕上がりとともにリポートする。 -
人気なのになぜ? 「アルピーヌA110」が生産終了になる不思議
2025.12.17デイリーコラム現行型「アルピーヌA110」のモデルライフが間もなく終わる。(比較的)手ごろな価格やあつかいやすいサイズ&パワーなどで愛され、このカテゴリーとして人気の部類に入るはずだが、生産が終わってしまうのはなぜだろうか。 -
第96回:レクサスとセンチュリー(後編) ―レクサスよどこへ行く!? 6輪ミニバンと走る通天閣が示した未来―
2025.12.17カーデザイン曼荼羅業界をあっと言わせた、トヨタの新たな5ブランド戦略。しかし、センチュリーがブランドに“格上げ”されたとなると、気になるのが既存のプレミアムブランドであるレクサスの今後だ。新時代のレクサスに課せられた使命を、カーデザインの識者と考えた。






























