マツダCX-3 XDプロアクティブ(4WD/6MT)
探究はまだ道なかば 2016.12.14 試乗記 デビュー以来、コンスタントに改良が続けられる「マツダCX-3」。現時点における完成度を確かめるため、最新のディーゼル4WD車に試乗。その“走り”の進化に、足まわりの開発におけるマツダの模索を見た。足まわりに“張り”がある
オールニューのモデルとしてでたばかりの頃にプレス試乗会で乗ったCX-3にはちょっと……ではなくビックリさせられた。そのスジの用語でロールの、あるいはロール方向の「張り」とか「張り感」とかいうのだけど、それのなさに。ないとどうなるかというと、真っすぐ走っているだけなのに上屋がグラッと、あるいはフラッと傾く。そのグラッとやフラッとがあまりに目立ったので驚いた。驚いたというか「あ、これのことか!!」と。たしかに「張り」、ちゃんとあったほうがいい。快適だし、運転しやすいし。
その「張り感」のなさというか強烈なグラッとやフラッと、最新バージョンでは減っていた。少なくとも、前回乗ったときのあのビックリはなくなっていた。アラ残念……ではもちろんなくて(笑)、むしろ逆にちょっとビックリ。それプラス、いわゆる乗り心地に関しても、「デミオ」と同じような、似たような感じで雑多な揺れというか揺さぶられが減っていたように感じた。なのでまあメデタイ。
今回の具体的な改良項目のなかの重要なひとつであるところの「TBA(トーションビームアクスル)ブッシュの特性を変更」→「インパクトショックを低減」は、兄弟車デミオよりもむしろこちらにおいて重要だったと考えられる。というのは、CX-3は履いているタイヤがデカい。タイヤだけでなくホイールもデカくて、要はインチアップ&ワイド&ペタンコである。したがって、フツーに考えてインパクトショック的にキツい方向。
リアダンパーの仕様変更に見るマツダの狙い
カタログの装備表をみると、標準装着サイズは全グレードで「215/50R18 92Vタイヤ&18×7Jインチアルミホイール(切削加工)」。それじゃどうしてもイヤだという人のために、一番安いグレードにかぎっては「215/60R16 95Vタイヤ&6 1/2Jインチアルミホイール」がメーカーオプションとして用意されている。前はもっとフツーに16インチを選べた気がするけれど、とにかくいまやCX-3は「18インチで乗ってください」なものになっている。もとよりCX-3、デミオと比べるとクルマ全体にインチアップ感が漂う商品ではありますな。高付加価値タイプ。ちっちゃいのしか買えないから買ったと思われたくない人向け。
TBAブッシュの特性変更とセットでリアのダンパーの減衰の仕様も(あとフロントも)当然というか変わっていて、配布資料のグラフをみると、改良後バージョンのリアのダンパーは圧側伸び側ともに低速側(というのはダンパーのなかのピストンが動くスピードですね以下同)でのダンピングフォースが従来型よりも強い。でも逆に、高速側では従来側よりも弱い。どこまでが低速域でどこからが高速域かは目盛りが書いてない(ワザと省いてある)のでアレだけど、どうやら横軸の真ん中が0.3m/sであるらしい。だとすると、圧側は0.3m/sよりも少し高速側のところで従来タイプのグラフの線とニュータイプのグラフの線がクロスしている。でもって伸び側は、0.3m/sよりも少し低速寄りのところでクロスしている。
そのへんについて資料やプレゼンにていわく、「ベースサスでスムーズさを作り込み、ダンパーで減衰の効いた質感を表現」。ということで、リアのダンパーの減衰力の仕様変更に関しては、ローリングやピッチング等、上屋の姿勢変化の抑えに効く領域(ピストン速度域)のダンピングを強化した……んだろうなと理解。違っていたらすいません。豆知識としては、CX-3用のダンパーはフロントがSHOWA物件でリアが日立オートモーティブシステムズ物件。デミオ用は4本とも日立。
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サスの設計自体は変わっていない
それにしても気になるのは、最初にも書いた張り感のなさ関係……というか、直進中やロクに横Gがでてないときのフラッとやグラッと系の上屋の傾き(あるいは、そういうものの唐突さ)。今回乗ってみてそれが減った気がしたのはどうしてか。
張り感のなさの原因としてアリガチなのは、フロントのロワーアームの下反角の不足である。クルマがロール方向に傾いて、でもまだスタビが効いてくれるほどには傾いていない状況では、その下反角によるジャッキアップ力が貴重なアンチロール力になってくれる。1G(静止)状態でアームがすでに水平だったりバンザイだったりすると、そのアンチロール力が効いてくれない(バンザイ=上反角だと、旋回外側のタイヤからの力の分力がバネ上を押し下げてロールを助長する方向)。で、そのへん、つまりフロントのロワーアームの角度に関しては、CX-3もデミオも、出た当初から変わっていない。デミオのフロントのロールセンターが1G状態で「地面上」だとすると、そのときのデミオのフロントのロワーアームには上反角がついていて、さらにデミオとCX-3とはフロントのロワーアームの角度が「同じです。変えていない」そうなので、したがってCX-3も1G状態でロワーアームに上反角がついていることになる(なお、いわゆるロールセンター理論でいくと、サスペンションのほかの部分が同じでタイヤの径のみがデカくなった場合ロールセンター高は変わります←高くなる方向)。
1G状態のアーム角が同じで、重心高はデミオよりも高くなって、さらにタイヤサイズにはよりビンビンな、すなわちハイグリップでかつちょっと角度が変わっただけで強力にグリップが立ち上がる方向。だとすると、あのグラッとやフラッとは腑(ふ)に落ちる。あとそう、CX-3のフロントのキャスター角や転舵軸と車輪中心の側面視での位置関係がデミオ(ちなみに5度)と同じだとすると、CX-3のフロントのキャスタートレールの量はデミオのよりも大きくなる。タイヤ径がデカくなったぶん。とどうなるかというと、ハンドルをきった際のタイヤの接地中心の横への移動量が大きくなる(実際には、タイヤの位置が地面に対してズルッとズレるのではなく、押された車体側が反対へ動く)。それと、例えば左へハンドルを回した際の右フロントの車高の落ち込みの量が増える(実際のコーナリング中は、サスペンションが縮んでロールするぶんにそのぶんがさらにプラスされる)。
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足まわりの“模索”は続く
その一方、今回の改良ではフロントのロワーアームのNo.2ジョイントのブッシュの「こじり剛性」が「40%低減」されていて、つまり簡単にいうとロールやダイブに対する抵抗が減った。それと、今回のいっこ前の改良でフロントのスタビライザーのレートが低くなっている。これも、ロール剛性的には低くする方向。んー……。全体としては、どう説明されたものか。
最初にフラッと傾いてから急にグッと踏ん張る(あるいは引っ掛かる)ことで感じられた唐突さが減って、つながりがよくなったということですか? と質問してみた。エンジニアの回答は、簡単にいうとイエスだった。ので、そのセンで理解。
EPS=電動パワステのアシスト特性のチューニングも変更。具体的には、ヨリ手応えがある方向へ。これに関しては、前回の改良でフロントのスタビのレートを落としてロール剛性を下げてさらにEPSも手応え軽め方向にしたところ「手応え、足りないね」だったので。
これは筆者個人の勝手な感想ないし思い込みなのだけど、クルマの乗り心地のよさや運転しやすさに関して「これだ!!」というコアの部分、「ここさえできてれば、もし多少ナンかあったとしても大筋バッチリ!!」的なサムシングを、マツダはまだ模索している途中ではないか。SKYACTIVをブチ上げたり高い頻度で「商品改良」をやったりして(それともちろん、クルマそのものの魅力でもって)世間や自動車マスコミ業界から高く評価されているのはダテではないとしても、でもまだ「これだ!!」をホントのホントにつかみきれてはいない。少なくとも、作っている人たちはまだ満足していない。エンジンやトランスミッションのほうでの達成度の高さを基準にすると、ほかのところがまだちょっと……という気もする。だからまあ、「頑張ってくださいゼヒ!!」なんですけどね。応援してます。
(文=森 慶太/写真=向後一宏、マツダ/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
マツダCX-3 XDプロアクティブ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm
ホイールベース:2570mm
車重:1310kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:105ps(77kW)/4000rpm
最大トルク:27.5kgm(270Nm)/1600-2500rpm
タイヤ:(前)215/50R18 92V/(後)215/50R18 92V(トーヨー・プロクセスR40)
燃費:23.4km/リッター(JC08モード)
価格:281万8000円/テスト車=300万1600円
オプション装備:ボディーカラー<ソウルレッドプレミアムメタリック>(5万4000円)/セーフティパッケージ<スマートシティブレーキサポート[後退時]+リアパーキングセンサー[センター/コーナー]+ドライバーアテンションアラート>(3万2400円)/ドライビングポジションサポートパッケージ<運転席10Wayパワーシート&シートメモリー[アクティブドライビングディスプレイ連動]+運転席&助手席シートヒーター+ステアリングヒーター>(6万4800円)/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー<フルセグ>(3万2400円)
テスト車の年式:2016年型
テスト開始時の走行距離:1113km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター
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森 慶太
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