第671回:【Movie】イタリアでスバル一筋40年! 名物店主がいま教えてくれること
2020.09.05 マッキナ あらモーダ!商品への愛情と家族の絆
本欄第661回では、1980年式「スバルGL(日本名:レオーネ)」を修復しているイタリア・シエナのスバル販売店をリポートした。その冒頭で紹介したように、店主はニコロ・マージ氏だ。
2020年末で84歳を迎えるが、今も毎日店頭に立っている。重役出勤ではない。毎朝9時にやってきてドアを開け、夜は19時過ぎまで店頭に立つ。
筆者がたびたび抜き打ちで訪れても、ちゃんと働いているので本当である。
イタリアで多くの自動車販売店は、取り扱いブランドを頻繁に変える。
いっぽうマージ氏は、40年前にイタリアでほぼ無名だったスバルをあえて選び、他車を併売することなく、県内唯一の代理店として顧客を開拓してきた。
今日、県内を走るスバル車のほぼすべてに、彼の店のステッカーを発見できる。
第665回にご登場願ったシュコダ販売店のマッシミリアーノ氏は「マージ氏はわれわれシエナの自動車販売店の誇りだ。先見の明(めい)を持ち、絶えずよりよい仕事をすべく努力してきた」と語る。マージ氏は、地元自動車人たちの伝説なのだ。
今回動画に記録したのは、以前の筆者による文章では伝えきれなかった部分を映像でご覧いただき、本人のキャラクターをより感じ取っていただきたかったからである。
読者諸氏もご存じのとおり、昨今はインターネットを駆使したリモート形式を含め、新しい接客スタイルが模索されている。どれが正解であるかは、未来にならないとわからない。
だがマージ氏の語りは、商品にほれ込んでこそモノは売れるということ、よき仕事はよき家族あってこそということなど、不変の基本を私たちに教えてくれるのである。
【SUBARUにほれて40年(前編)】
【SUBARUにほれて40年(後編)】
(文と写真と動画=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真と動画=大矢麻里<Mari OYA>/編集=藤沢 勝)
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大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、24年間にわたってリポーターを務めている。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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