第43回:(いまさら)ゆく年くる年
2022.01.13 バイパーほったの ヘビの毒にやられまして![]() |
ぼやぼやしているうちに2021年が終了し、いつの間にやら2022年が始動! しかし「ダッジ・バイパー」乗りのwebCG編集部員には、心残りが山ほどある。新年のスタートにあたり、諸般の都合で記事にできなかった旧年の“没ネタ”を、ここに供養いたします!
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“おいでませ2022年”のその前に……
読者諸兄姉の皆さま、こんにちは。先日、旧友の「NISAとかiDeCoとか、ちゃんとやってる?」という問いに対し、「クリームのはさまったイタリアのお菓子だっけ?」的な回答をしたwebCGほったです。ごきげんよう。原始人を見る目でさげすまれましたが、私は元気です。
なんてアホウなことをしているうちに2022年である。「○と×」でも書いたが、2021年は当連載をあまり更新できずに面目ナッシング。わずか5本、しかも内2本がバイパーとは無関係な「コルベット」賛歌(その1、その2)とは。毒蛇乗りの風上にも置けない野郎だ。
いや、紹介するべきネタはしこたまあったのよ。確かにトラブルはなかったし、遠出も普段ほどはできなかったが、それ以上にインディアンにうつつを抜かしたり、やっぱりインディアンにうつつを抜かしたり、キャデラックにうつつを抜かしたり、シボレーにうつつを抜かしたりしているうちに、2021年が過ぎてしまったのだ。一年が365日しかないのがもどかしい(たまに366日の年もあるけど)。
それでいて、もろもろのドタバタが過ぎて後、すなわち年末・年始は特段すべきこともないのが独身野郎のつらいところ。ぼーっとしていても師走の寒さが身に染みるだけなので、こうして駄文をしたためている次第である。
そんなわけで今回は、書こう書こうと思っていて書けなかった2021年のあれこれを、掃(は)き出してしまおうと思う。すなわち没ネタのお炊き上げ。バイパーとは直接関係のないネタもあるのだが、通勤時間のヒマつぶしにでもなれば幸甚である。
【その1】オーナーズクラブのツーリングに行く
「行動はボッチが基本」の記者だが、このほど初めて「バイパーオーナーズアソシエーション」のツーリングに参加させていただいた。このクルマを購入して満5年。走行会などにはちょくちょく顔を出していたが、「皆でつるんで走ろうぜ」的な集まりに轡(くつわ)を並べたのはホントにこれが初である。千葉在住で「ローバー・ミニ」のオーナーだった頃が最後だから、それこそ十余年ぶりのことではないか。
陽キャな向きにおかれては、「『フィット』や『プリウス』じゃあるまいし、そんなクルマを買っておいて、今まで一度もツーリングに顔を出さなかったの?」と言われるかもしれない。しかしそこは自動車メディアの編集部員。複数台でつるんで遠出するのが、文字どおり仕事なわけでして……要するに「休日くらいは自由気ままを許してちょうだいよ」ということなのだ。
もっとも、当然ながらオーナークラブのツーリングは仕事とは全然違うわけでして、当日は撮影カットや行き先の天気を気にしないで済む休日のお出かけを満喫させていただいた。そして「これが新しくできた綾瀬スマートICか」などと言っている間に集合場所の海老名SA(下り)を通り越したり、河津七滝ループ橋の駐車場入り口を素通りしてしまったりと、主催者さまに多大なるご迷惑をかけてしまったことを、ここにおわび申し上げます……。
久々に訪れた伊豆の景色は眼福で、紅姫あまごは大変美味で、もちろん他のオーナー氏との交流は非常に有意義であった。特に印象的だったやり取りがあって、ひとつは記者の「(バイパーオーナーは)みんな肚が座ってますよね」という言葉に対する、某先輩オーナー氏の「見栄(みえ)で乗っていられるようなクルマじゃないですから」という答えである。記者が駄文を連ねて発信してきた「日本でバイパーに乗る」という行為の深奥を、端的に言い表した名句だと感じ入った。
そしてもうひとつは、記者の乱筆にくぎを刺す「あんまりバイパーをディスんないでくださいね(笑)」というお言葉だ。こちとら「アメ車派によるwebCGサーバーの私的利用を許さない」や「もっと『CarGraphic』っぽいこと書けや」などと言われたことはあるが、まさか「バイパーをけなさないで」と言われる日がこようとは。
しかしワタクシ、そんなひどいこと書きましたかね? と思い過去の記事を読み返してみたところ……。そうですね、大概ですね。インテリアがチープとか、マスプロダクトとしてどうなのよとか。いや違うんですよ。これは愛の裏返しというか、あくまで拙者のバイパーのことで……。いや、言い訳はすまい。世のバイパー乗りの皆さま、ご容赦くだされ。これから気をつけます。
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【その2】リモコンキーで(また)やらかす
「いい加減、運動せんと死ぬで?」という健康診断の結果に発奮し、朋友とともに千葉の鋸山へと出かけた日のことである。無事山を下りた記者と友は、金谷のふ頭でちょいと休憩してから「ほな帰りましょか」と駐車場へ向かった。
砂利を蹴りつつバイパーへ向けリモコンキーをぽちっとな。しかしヤツは無視を決め込んだ。いつぞやの九十九里とまったく同じ現象である。またしても接触不良かと思い、キーの電池を入れ直して再度ぽちっとな。しかし、それでもバイパーは無反応。こうなると疑わしきは電池切れだ。幸いにして、キーの電池はなんの変哲もないボタン型。友人に白い目で見られつつ(本人いわく面白がっていたそうだが)、最寄りのコンビニへそそくさと替えを買いに行く。やたら頑丈なパッケージに四苦八苦しながらも、どうにかこうにか電池を交換。3度目の正直に期待して3度目のぽちり。しかし、それでもなお、バイパーは沈黙を守るのだった。ガッデム。
いや、ガッデムとか言っている場合ではない。自分一人ならまだしも、この日は友と一緒である。記者とバイパーの抗争で、ついに一般人に被害が及んでしまったのだ。事情を説明する記者に、スマホで帰路を検索する友。「電車で3時間かかるんだけど」という冷ややかな言葉に背中をブスブス刺されつつ、こちらはJAFに電話である。周囲の目を気にしながら、コソコソ声で救援要請。最悪の場合レッカーしますか? 〇km以上は有料ですが。いえいえ、その場合は自動車保険の付帯サービスを使いますんで。なんて話をしながら恨めしげにバイパーを見やる。この野郎、売っぱらってやろうか。記念すべき鋸山縦走に半刻前までウキウキだったのに、お前のせいで気分は真っ逆さまだよ。中森明菜だよ。……ん? 真っ逆さま? 逆さま?
天啓によりある仮説に達した記者は、バイパーのリモコンキーを再度割り開いた。貝の身よろしく顔をのぞかせるボタン電池に、天を仰ぐ。なんのことはない。新しい電池のプラスとマイナスが逆だったのである。
その後の顛末(てんまつ)に多くの言葉を割く必要はあるまい。アッサリ開帳するバイパーのドア。スマホ越しに平身低頭してJAFにわびる記者。笑う朋友。あんたのいい笑顔が見えてホントによかったぜ。まったく。
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【その3】累計走行距離5万5555マイル達成
先述の鋸山登山でのことだが、往路で地味にオドメーターが5万5555マイルを達成した。ちなみに、kmに換算すると8万9407.11kmと、なんとも中途半端な数字になるのがしまらない。世のアメ車乗りの皆さまは、kmとマイル、どっちの数字で祝い事をするんでしょうね? 総務省統計局にでも聞いてみるか。
ちなみに、今日のオドメーターはそこからちょっと伸びて5万5650マイル(8万9596.5km)。わが家に来た時のバイパーのオドメーターは4万4431マイル(7万1533.9km)だったので、そこからの走行距離は5年間で1万1219マイル(18055.23km)である。思ったよりいってないなという印象だが、都内在住(23区民の皆さん、武蔵野は東京都ですよ?)、バイクと合わせて3台持ち、通勤不使用、そして記者の引きこもり体質を思えば、まあこんなもんであろう。それにわが家の主力機は、なんだかんだでいまだに“寅さん”(1998年式「トライアンフ・サンダーバード スポーツ」)だしね。
せっかくなので、これを機に累計の燃費を測ってみた。これまでの103回の給油で鯨飲した化石燃料は4007.79リッター。先ほど述べた距離を割ると、平均燃費は4.51km/リッターでした。一瞬でも「思ったよりいいな」と感じた記者は、相当マヒしていると思う。ちなみに、給油ごとの計測に見る最高燃費は10.07km/リッター、最低燃費は1.23km/リッターでした。……1.23て、お前。
◆◆◆
以上が、2021年下半期の印象的だったあれやこれやである。なかには途中まで書いていながら放ってしまったものもあり、もったいないのでここに紹介させてもらった。
このほかにも、いつの間にかフロントスポイラーの塗装が落ちていたり、見たことのないところにハゲ(日焼け?)ができていたりと、バイパー氏も年相応なエンタメ性を発揮していて、それをまとめるだけでも1本ネタができた気がする。2023年はこんな記事を書かないで済むよう、本年は気をつけようと思います。
(webCGほった)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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