第281回:やっぱり「ノート」なら「オーラ」だね
2024.04.08 カーマニア人間国宝への道デジタルっぽくは光らない
サクライメール:今度、「日産ノート」にお乗りになりますか?
オレメール:オレ、そういうのに乗りたかったんだよ! 乗る乗る~!
そう返信しつつ、「ところで日産ノートって、最近何か変わったの?」と付け加えた。
サクライメール:顔が変わりました。「デジタルVモーショングリル」になったんです。
オレメール:そうなのね。「ノート オーラ」もデジタルVモーショングリルになった?
サクライメール:ノート オーラは変わってないので、今回は普通のノートです。それでもいいですか?
オレメール:もちろんオッケー!
当日夜8時。いつものようにサクライ君が自宅にやってきた。さっそくデジタルVモーショングリルになったノートの顔を凝視したが、暗くて雨も降っていて、どこがデジタルなのかよくわからない。
オレ:これ、ホントにデジタルVモーション?
サクライ:そうです。デジタルっぽく光ってるでしょ。
オレ:光ってないよー。
サクライ:あれ? 昼間は光って見えたんですけど。
オレ:それ、単なる塗装じゃない?
サクライ:(しばし無言)そうなのかー。LEDでデジタルっぽく光ってるんだとばっかり思ってました。
私としても、ぜひとも夜デジタルっぽく光ってほしかった。なぜなら私はデジタルっぽい光が大好きだから。デジタルVモーショングリルなのに夜デジタルっぽく光らないのはショック!
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ドイツ御三家よりノート オーラ
今回のマイチェンでの最大の変更ポイントは、デジタルVモーショングリルの採用で、それ以外はほとんど変わってないという。そのポイントが暗くてよく見えないのは残念だが、気を取り直してノートを発進させた。
オレ:うわ~、乗り心地いい~! 加速もちょうどよくて癒やされる~!
サクライ:ですよね。
オレ:なんかメチャメチャ安心するし落ち着くね。いや~、ノートっていいなぁ。
サクライ:いいですよね。僕もBMWなんか買わずに、ノートを買えばよかったです。
サクライ君の口調は割とマジだった。その気持ちはよくわかる。人間60年くらい生きていると、欲望が枯れてくる。もうBMWだろうが日産ノートだろうが、モテないことに変わりはない。ならば安くて癒やされる日産ノートに乗っていたほうがいいかも……となってくる。
オレ:でもオレはノートよりノート オーラだな。
サクライ:ノートでもよくないですか?
オレ:グリルがLEDでデジタルっぽく光ればノートでもよかったけど、光らないから絶対ノート オーラだよ! だってノート オーラって内外装も走りもすごい高級感あるし、エリート感もあるじゃない。「Cクラス」よりぜっんぜんいいよ!
サクライ:ピンポイントでメルセデス・ベンツのCクラスよりいいんですね。
オレ:そう。なぜって新型Cクラスの試乗会にノート オーラに乗ってって、「ゼッタイこっちのほうがいいな」って思ったから! 同じ時に同じ場所で走り比べたから間違いないよ!
サクライ:了解です。ドイツ御三家よりノート オーラですね。
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そのすばらしさは冷凍ギョーザ的
雨の首都高をノートで流す。デジタルVモーショングリルは光らなくても、走りは十分ステキだった。内装も質感が高くて大満足である。
最近私は、世の中、そんなに飛び抜けてうまい食べ物はないと思うようになった。ふだん食べているもので十分すぎるほどおいしいので、たまに高級なものを食べても、それほど感動しないのである。逆にコスパ的には、ふだん食べているもの(例:冷凍ギョーザやコンビニスイーツ)のほうが断然上だと確信が深まっている。それと同じで、300万円以内で買えるノートは、冷凍ギョーザ的に実にすばらしい。
しかしそれでも、上には上がいる。それがノート オーラである。ノートとノート オーラは、シロートさんには見分けがつかないほど近いがゆえに、マニア的には中身の差が残酷なほどくっきり感じられてしまう。
やっぱりノートはオーラをおごりたい。ノート オーラなら、もっと静かだしもっと加速もいい。ノート オーラに明確に勝つためには、「レンジローバー」くらい持ってこないとムリ! というくらいノート オーラの高級感は強力だ。
データを見ると、ノートとノート オーラの販売比率は55:45くらい。オーラは高級仕様にもかかわらず、ノートの販売台数の半分近くを占めている。すごいじゃないかノート オーラ!
オレ:結論としては、やっぱりノート オーラだね。
サクライ:さいですか。
オレ:サクライ君のBMWって「2シリーズ」だっけ?
サクライ:はい。「218dアクティブツアラー」です。
考えてみたら、私は今のアクティブツアラーに乗ったことがない。今度はサクライ君の自家用車で首都高に出撃し、ノート オーラとどっちがいいか結論を出したいものだ。ワクワク。
(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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