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第21回:オラオラ系カーデザイン進化論(前編)

2024.04.17 カーデザイン曼荼羅 渕野 健太郎清水 草一
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ミニバンや軽のトールワゴンなど、箱型のクルマで勢力を伸ばしているオラオラ系のデザイン。フロントグリルはどこまで巨大化するのか? 顔全体がグリルになっても、さらにその先の展開はあるのか!? カーデザイン歴20年の識者と、“ドヤ顔カー”の未来を考える。

クリス・バングルも今や普通

清水草一(以下、清水):まず、このテーマを提案した私からお話しさせていただきます。自動車デザインに関して「エグい」と感じるレベルっていうのは、ほぼ一本調子に上がっていて、「エグくてもオッケー」の間口がどんどん広がっているわけです。おそらく自動車の歴史が始まってからずっとその傾向が続いてるんじゃないでしょうか。

渕野健太郎(以下、渕野):それは主には顔まわりの話ですね?

清水:主に顔です。フォルムよりもグラフィック的な部分です。

webCGほった(以下、ほった):ええと、BMWの……誰でしたっけ?

渕野:クリス・バングル氏。

ほった:そうそう。クリス・バングルのデザインなんかもそうですか?

清水:左様です。当時はあれがエグかったわけですが、今見たら「え? これが?」じゃないですか。アウディのシングルフレームグリルもエグくて下品だと言われていた。レクサスのスピンドルグリルも、「トヨタ・クラウン」の稲妻グリルも全部そうでした。

ほった:稲妻グリルは私ゃ今でもダメですけどね。

清水:そんなことではいけない! 昔「ダイハツ・ムーヴラテ」が出たとき、私はあのデザインにものすごい嫌悪感があったんですよ。女性向けのカワイイ系デザインの嚆矢(こうし)です。

渕野:はい。

清水:しかし、当時テリー伊藤さんと対談したところ、テリーさんはムーヴラテについて、「あれはドンキホーテの圧縮陳列みたいなもんで、世界に誇るジャパンオリジナルなんだよぉ!」ってすごく高く評価したんです。僕はどうにも吐き気が抑えられなかったんですが、テリーさんが言うには、嫌悪感を抱くものを乗り越えなかったら、人間に成長はないと。そう言われて、ハッそうか、自分はつまらない固定観念に縛られていたのかと気づかされて、それ以来、嫌悪感を抱くデザインを門前払いするんじゃなく、まず凝視して受け入れる気持ちを持たなきゃいけないと思うようになったんですね。

ニッポンが世界に誇るキング・オブ・オラオラカーの「トヨタ・アルファード」。
ニッポンが世界に誇るキング・オブ・オラオラカーの「トヨタ・アルファード」。拡大
2001年に登場した4代目「BMW 7シリーズ」。クリス・バングルの前衛的デザインに、デビュー当初は「BMWは終わった!」と嘆かれたものだが……今となってはつつましいほどのデザインである。
2001年に登場した4代目「BMW 7シリーズ」。クリス・バングルの前衛的デザインに、デビュー当初は「BMWは終わった!」と嘆かれたものだが……今となってはつつましいほどのデザインである。拡大
今日に受け継がれるアウディのシングルフレームグリルは、2005年に2代目「A8」の6リッターモデルに初採用された。こちらも当初は「端正なアウディのイメージが台無し!」と批判されたものだが……。
今日に受け継がれるアウディのシングルフレームグリルは、2005年に2代目「A8」の6リッターモデルに初採用された。こちらも当初は「端正なアウディのイメージが台無し!」と批判されたものだが……。拡大
2004年に登場した「ダイハツ・ムーヴラテ」。ファンシーなデザインと利便性の高さが自慢の軽ハイトワゴンで、ひたすらに女性をターゲットとしたモデルだった。
2004年に登場した「ダイハツ・ムーヴラテ」。ファンシーなデザインと利便性の高さが自慢の軽ハイトワゴンで、ひたすらに女性をターゲットとしたモデルだった。拡大
車名には「ムーヴ」の名を冠しているが、車体は完全にオリジナル。気合の入った一台だった。
車名には「ムーヴ」の名を冠しているが、車体は完全にオリジナル。気合の入った一台だった。拡大
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ミニバンを高級にできるのはトヨタだけ?

ほった:一応、確認ですけど、ムーヴラテってのはオラオラ系デザインのクルマじゃないですよね? まさか清水さんはそのご認識で?

清水:んなわけないでしょ。未知のカーデザインを体現したクルマの例だよ。

渕野:私は「ムーヴラテって形どんなんだっけ?」と思って写真を探したぐらいで、実はあんまり記憶がなかったんですけど。

清水:えっ、当時あの世界初のカワイイ系自動車デザインに、デザイナーとして何も感じなかったんですか!?

渕野:基本的には、丸目を付けたちょっと丸いハイトワゴンっていうぐらいで、なんかこれといった特徴がないでしょう。デザインがどうのこうのって話は、ちょっとしにくいかなとは思います。

清水:その反応はアカデミックすぎますよ! 自動車デザインに初めてヌイグルミみたいなかわいさを導入したクルマですよ!? ある意味革命的だったんですよ! いまだに大嫌いだけど(笑)!

ほった:私ゃ好きでしたけどね。2ボックスのフォルムがちゃんとしてて。

清水:そんな難しい話はいいの! 表面が大事なんだよ! ユーザーはデザインのプロじゃないんだから! ムーヴラテとは狙いが逆方向ですけども、先代「トヨタ・アルファード」が出たときは、カーマニアは総スカンでしたよね。こんな顔のクルマが出るなんて世も末だっていう感じで。

ほった:全員血圧爆上がりでしたよね。

清水:自分はテリーさんの教えがあったから、これはすごいと一瞬で見抜いたんです(笑)。これはもう、われわれの常識をはるかに超えている。すごいデザインだと言っていたら、ユーザーは常識うんぬんの縛りもなく、一瞬で多くの人が受け入れて大ヒットになったわけです。

渕野:自分も「アルファード/ヴェルファイア」のデザインは、先代からすごくよくできてるなと思ってました。ミニバンのパッケージなのに、これだけ高級に見せられるっていうのはトヨタにしかできないなと。現行型もそれを踏襲してますけど、結構すごいです。

清水:アルファードはすごいんですね?

渕野:自分がデザインやってみろって言われても、ここまで高級車・高価格車に見せられるかというと、厳しいかなと思いました。

清水:高級なんですね? これは。

渕野:クラウンに取って代わるようなものだと、世間も認識してるんじゃないんですか。

ぬいぐるみチックなデザインに拒否反応も多かったモデルだが……。 
ほった「以前は中古車メディアにいたんですけど、茨城あたりの“街の軽自動車屋さん”を取材すると、店先の在庫車を指さして、『このクルマを買います』って女性がたくさんいたそうですよ」
ぬいぐるみチックなデザインに拒否反応も多かったモデルだが……。 
	ほった「以前は中古車メディアにいたんですけど、茨城あたりの“街の軽自動車屋さん”を取材すると、店先の在庫車を指さして、『このクルマを買います』って女性がたくさんいたそうですよ」拡大
2015年に登場した3代目「トヨタ・アルファード」(写真向かって右)と2代目「ヴェルファイア」(同左)。(写真:田村 弥)
2015年に登場した3代目「トヨタ・アルファード」(写真向かって右)と2代目「ヴェルファイア」(同左)。(写真:田村 弥)拡大
3代目「トヨタ・アルファード」と2代目「ヴェルファイア」の発表会の様子。初めてこのクルマと相まみえたときの自動車メディアの空気感は、今でも忘れられない……。
3代目「トヨタ・アルファード」と2代目「ヴェルファイア」の発表会の様子。初めてこのクルマと相まみえたときの自動車メディアの空気感は、今でも忘れられない……。拡大

ドヤ顔ミニバンに見るデザイナーの苦悩

渕野:先代アルファード/ヴェルファイアの具体的な話をすると、サイドのリフレクションの変化とか抑揚に、これまでになかった試みを感じました。これの前の型(つまり2世代前のモデル)は結構パキパキですよね。過去のモデルとはそこが大きく変わっていて、好みはあれどデザイン的にはすごくよかった。

清水:この鎧(よろい)みたいな、銀歯みたいな、こういうグリルを顔の6割ぐらいに貼り付けるという発想については、どう思われました?

渕野:顔に関しては、ボディーに対してちょっと違和感がありましたけど。

ほった:でもアレが受けたんですよね。現行型にもそれが受け継がれてるし。

渕野:そうなんですよね。あと、トヨタは現行型のアルファード/ヴェルファイアでもデザインスケッチをたくさん公開してくれてますが、それを見て思うのは、おそらく顔まわりは最後まで決めずに、まずはこのプロポーションからつくっていったんじゃないかな、ということです。まあデザインの順番としてはそれが普通なんですけど。全体をつくっているときには「ここらへんは大きなグリルがくるだろう」と思ってはいるけど、細部にはあんまり触れないんですよ。

ほった:先代のあのグリルも、そんな感じで生まれたんだろうってことですか。

渕野:まあ現行型では、顔そのものの造形についても早い段階から模索していたみたいですけど。例えばこのスケッチでは、グリルを上下2分割にしているじゃないですか。一方で、実際の市販モデルはこうです(写真を見せる)。現行型はフェンダーのボリュームとサイドパネルのボリュームを軸にデザインが構成されてる感じなんですけど……どうも“顔”が、それに合ってない。もうちょっとフェンダー上部の立体感をフロントにも感じられたら、より明快になったと思うんです。グリルが上下2分割のスケッチのほうが、関連性が感じられるでしょ?

ほった:確かに、こっちのスケッチのほうがフロントからサイドへのつながり感がありますね。

渕野:でもそれだと、グリルはかなり小さくなる。なんやかんやで迫力のあるグリルを付けることになって、グリルだけのデザインをするわけですよ。デザイナーとしては、ボディーと顔が合っていてほしいんだけど、市場要望では「大きいグリルがマストだ!」と。そこのジレンマを感じました。

ほった:いやいやいや。

清水:見方がアカデミックすぎる……。

2代目「アルファード」のサイドビュー。(写真:峰 昌宏)
2代目「アルファード」のサイドビュー。(写真:峰 昌宏)拡大
3代目「アルファード」のサイドビュー。フロントサイドウィンドウやBピラーなど、グリーンハウスまわりに先代の面影はあるが、ドアパネルの表情は大きく異なっている。(写真:田村 弥)
3代目「アルファード」のサイドビュー。フロントサイドウィンドウやBピラーなど、グリーンハウスまわりに先代の面影はあるが、ドアパネルの表情は大きく異なっている。(写真:田村 弥)拡大
3代目「アルファード」の巨大なフロントグリル(もちろん大部分がダミー)。アルファードはこのグリルデザインでもって、兄弟車「ヴェルファイア」を廃止の一歩手前に追い込むほどに人気を独占した。
3代目「アルファード」の巨大なフロントグリル(もちろん大部分がダミー)。アルファードはこのグリルデザインでもって、兄弟車「ヴェルファイア」を廃止の一歩手前に追い込むほどに人気を独占した。拡大
現行型「アルファード/ヴェルファイア」のデザインスケッチ。左側に、渕野氏の言う「グリルを上下2分割にしている」スケッチが描かれている。
現行型「アルファード/ヴェルファイア」のデザインスケッチ。左側に、渕野氏の言う「グリルを上下2分割にしている」スケッチが描かれている。拡大
「アルファード/ヴェルファイア」のフロントマスクのデザインスケッチ。
「アルファード/ヴェルファイア」のフロントマスクのデザインスケッチ。拡大
こちらが現行型「アルファード」の実車。抑揚のあるサイドビューと比べると、フロントマスクはちょっとグラフィックで頑張りました感が強く、またフロントとサイドの面の連続性も希薄だ。
こちらが現行型「アルファード」の実車。抑揚のあるサイドビューと比べると、フロントマスクはちょっとグラフィックで頑張りました感が強く、またフロントとサイドの面の連続性も希薄だ。拡大

もっと刺激を! もっと刺激を!!

渕野:続きまして……これは「ノア」のベースグレードと上級の“カスタム顔”です。

ほった:やべえ。何度見てもすげえ。

渕野:スケッチを見ると、ベースグレードのほうがボディーと顔のつり合いがとれている。デザイナーはベースグレードを基本にデザインしているんです。上級グレードはバンパーの両端でフェンダーからの流れをぶつ切りにしていて、前と横で全く違う造形にしてるじゃないですか。これは多分、ノアの基本立体を考えたデザイナーの狙いとは違うと思います。推測ですけど、“ベースグレード顔”でデザインしたものの、ちょっと迫力不足という指摘がデザイン部以外のところからあったりして、こういう顔を追加したのかなと想像しました。

清水:今はそういう、「もっともっと迫力を出してくれ!」っていう要望が、どんどんどんどんエスカレートしているわけですよ。もっと強い刺激くれ、と。

ほった:ヤク中ですね。

清水:ヤク中だよ! この流れがどこまで行くのか? そのあたり、デザイナーとしての意見を伺いたいんですよ。主に顔のグラフィックについて。

渕野:うーん。もう現状、正面から見たらほとんどボディー色が見えないぐらいのところまできちゃってるんで(全員爆笑)。これ以上エグくって言われても、こっちの方向としては、やりきってる感がありますよね、ノアとかヴェルファイアを見ると。

清水:私としては、まだやれることがあるんじゃないかと。例えばこのグリル、今はまだ面積がデカいだけで、面としては割とメカニカルでフラットじゃないですか。これをもっと有機的にぐちゃぐちゃにしていくっていう方向性は、絶対あると思うんですよ。最終的には、サファリパークのライオンバスみたいなものが出てくるんじゃないか(全員爆笑)。このままいくとそうなってしまう。そうなるのかな? そうなるんだろうな、ひょっとして。と思っているわけです。どこまでオッケーなのかは誰にも決められない。市場が決めることなので……。

渕野:でも、エグい系のミニバンデザインをやってるのってトヨタぐらいで、例えば「ホンダ・ステップワゴン」はそうじゃないし、日産の「セレナ」もそこまでじゃない。

清水:誰もついていけないんですよ、トヨタに(笑)! 同じ方向で戦ったら負けちゃうってわかってるから、結局トヨタがぶっちぎってるわけです。

ほった:ぶっちぎってますよね。デザイン的にも販売的にも。

4代目となる現行型「トヨタ・ノア」。「X」「G」「Z」といった標準系のデザインはそれほどでもないが……。
4代目となる現行型「トヨタ・ノア」。「X」「G」「Z」といった標準系のデザインはそれほどでもないが……。拡大
「S-G」「S-Z」グレードはご覧のとおり。除雪車もはだしで逃げ出す強烈なフロントマスクとなった。
「S-G」「S-Z」グレードはご覧のとおり。除雪車もはだしで逃げ出す強烈なフロントマスクとなった。拡大
現行型「ノア」のアイデアスケッチ。
現行型「ノア」のアイデアスケッチ。拡大
「S-G」「S-Z」グレードのデザインを見ると、フロントマスクとボディーサイドのつながりを、グリルの縁がバーンっとぶった切っている。渕野氏いわく、「これはおそらく、デザイナーの意図ではない」とのこと。
「S-G」「S-Z」グレードのデザインを見ると、フロントマスクとボディーサイドのつながりを、グリルの縁がバーンっとぶった切っている。渕野氏いわく、「これはおそらく、デザイナーの意図ではない」とのこと。拡大
フロントマスクを見ると、もはやグリルじゃない箇所を探すのが難しいほどにグリルがデカい。口の巨大化はこれ以上不可能なので、オラオラ系デザインの次なる進化には、全く新しいアイデアが待たれる。
フロントマスクを見ると、もはやグリルじゃない箇所を探すのが難しいほどにグリルがデカい。口の巨大化はこれ以上不可能なので、オラオラ系デザインの次なる進化には、全く新しいアイデアが待たれる。拡大
オラオラ系の伸長が著しい日本のミニバンデザインだが、すべての車種がドヤ顔化しているわけではない。写真はホンダの箱型ミニバン「ステップワゴン」。(写真:向後一宏)
オラオラ系の伸長が著しい日本のミニバンデザインだが、すべての車種がドヤ顔化しているわけではない。写真はホンダの箱型ミニバン「ステップワゴン」。(写真:向後一宏)拡大

オラオラ顔のクルマばかりでいいの?

渕野:しかし、今やトヨタは、自動車デザインの社会性みたいなものを本気で考えるべき段階まできてるんじゃないですか?

清水:それを聞きたいんですよ! 良識を持って「いい加減やめろ」と言ってもらいたいんです(笑)。僕は反対にアオりますけど。

渕野:いやいやいや(笑)。そもそもトヨタがどんどんエスカレートしていったのは、あくまで市場要望で「こうしてくれ!」っていうのがあったからで、それに対して「じゃあこれで」って商品を出すのは、流れとしては正しいわけですよ。だけど、トヨタほどの大メーカーになると、そろそろインフラ的なところまで交通社会でのポジションが上がってきてるじゃないですか。もう少し社会性を持ったデザインというのも考えていいのではないかと。

清水:インフラですか。

ほった:都内とかだと、もう街の景観的にも見過ごせない台数のアル/ヴェルが走ってますからねぇ。

清水:うーん……。僕はね、アルファードの顔の進化というか、最初にあの巨大銀歯みたいなアルファードを提案してきた姿勢はすごいと思うんですよ。ものすごい冒険じゃないですか。常識をブッ壊す挑戦的ですよ! かつてトヨタのデザインといえば、平凡でつまんないのが定番だったのが、180°転換して真逆の位置に立ってる。街の景観も、超退屈な「カローラ」だらけから、超攻撃的布陣に変わったわけです(笑)。ものすごく先鋭的ですよね? ここまでエグい顔のクルマがいっぱい走ってる国ってあんまないよね。多分。

ほった:確かに、私が出張で飛ばされた街のなかだと、東京が一番突き抜けてますね。

清水:世界中でデザインはエグくなってるけど、そのなかでトヨタのエグデザインは最先端を走っている。それってすごいことじゃないですか!

ほった:突き抜けていることと、それがイイことか悪いことかは別な気がしますが。

渕野:そうですねぇ。例えばさっきは“社会性”って言葉を使いましたけど、やはり第三者から見て威圧感がドーンってくるクルマばかりになるっていうのは、どうかと思うんですけど。

ほった:乗ってる人だけがイキれて気持ちよければ、それでいいのかと。

渕野:少数の、クルマ好きが選ぶクルマだったらまぁいいんですよ。台数が少なきゃまだいいと思うんですけど。トヨタほどの台数を売るところがオラオラ系に突き進んで、道ゆくクルマがみんなこの顔ってなると、ちょっと怖いっていうか(笑)。

清水:世界に冠たるホラー国ですよ(笑)!

後編へ続く)

(語り=渕野健太郎/文=清水草一/写真=田村 弥、峰 昌宏、向後一宏、山本佳吾、トヨタ自動車、BMW、アウディ、ダイハツ工業、webCG/編集=堀田剛資)

試乗会の会場に並ぶ「トヨタ・アルファード」の図。こういうデザインのクルマがあってもいいけど、皆が皆こうなってしまうと、なんだか怖い気がしてしまう。(写真:山本佳吾)
試乗会の会場に並ぶ「トヨタ・アルファード」の図。こういうデザインのクルマがあってもいいけど、皆が皆こうなってしまうと、なんだか怖い気がしてしまう。(写真:山本佳吾)拡大
清水「オラオラ系のクルマばっかりだと街の景観はどうなるのかって言いますけど、かつては街行くクルマがみんな『カローラ』だった時代もあるんですよ。『アルファード』とか『ノア』のほうが、ずっと先進的じゃないですか!」 
ほった「どっちも遠慮します」
清水「オラオラ系のクルマばっかりだと街の景観はどうなるのかって言いますけど、かつては街行くクルマがみんな『カローラ』だった時代もあるんですよ。『アルファード』とか『ノア』のほうが、ずっと先進的じゃないですか!」 
	ほった「どっちも遠慮します」拡大
清水「これナニ?」 
ほった「出張で出かけた海外の街です。上2枚がニューヨークで、下1枚がイタリアのサン・ジェミニっていう小さな町。意見に賛同するかは別にして、実際に海外の(特に欧米の)街でクルマを眺めていると、渕野さんの言わんとしていることは、なんとなく理解できると思いますよ」
清水「これナニ?」 
	ほった「出張で出かけた海外の街です。上2枚がニューヨークで、下1枚がイタリアのサン・ジェミニっていう小さな町。意見に賛同するかは別にして、実際に海外の(特に欧米の)街でクルマを眺めていると、渕野さんの言わんとしていることは、なんとなく理解できると思いますよ」拡大
現行型「トヨタ・ヴェルファイア」のフロントマスク。確かに、年がら年中こうした顔のクルマに後ろにつかれていると、ちょっとヘキエキしてくるかもしれない……。(写真:山本佳吾)
現行型「トヨタ・ヴェルファイア」のフロントマスク。確かに、年がら年中こうした顔のクルマに後ろにつかれていると、ちょっとヘキエキしてくるかもしれない……。(写真:山本佳吾)拡大
渕野 健太郎

渕野 健太郎

プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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