第291回:なぜ新型「フリード」はカーマニアに人気なのか
2024.08.26 カーマニア人間国宝への道見た目は地味なファミリーカー
ホンダの新型「フリード」に関する記事が、webCGで人気だ。アクセスランキングで軒並み1位あたりにきている。いったいナゼ!?
webCGの読者さまは、全員カーマニアだろう。クルマを冷蔵庫の仲間くらいに思っている人が、わざわざwebCGを見にくるとは思えない。私が冷蔵庫の専門サイトを見ないのと同じだ。そんなwebCGでフリードの記事が人気ということは、フリードはカーマニアの関心の的ということになる。
なんで?
フリードってそんなにカーマニアに刺さるクルマだろうか。だってミニバンだし、割と地味だし、超典型的なファミリーカーでしょ。
私はメディア向け試乗会で新型フリードに試乗したが、それはまさに地味なファミリーカーだった。いいクルマだとは思ったけど、カーマニア的に「地味すぎてシブい!」とか「刺さるぅ~!」とは感じなかった。
世の中には地味すぎてシブいクルマが存在する。最近では新型「スイフト」がそうだった。新型「アコード」も刺さりまくった。
ところがフリードはそうでもない。シャシーはまぁしっかりしてるけど、「乗り心地いいな~」って感じだし、ハイブリッドの「e:HEV」は回してもいい音がしないスタンダードタイプ。そしてデザインは、あまりにも“素”すぎて「タウンエース」みたいに見えた。「タウンエース最高!」という人もいるでしょうが。
ということで、自他ともに認めるカーマニアの私には、フリードは刺さらなかった。なのにどうしてwebCGでこんなに人気があんの!?
そこで、カーマニアの巣であるwebCG編集部でアンケートを採った。
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シンプル&クリーンなデザインが魅力?
『カーマニア人間国宝への道』を担当するwebCGサクライ君のコメント。
「新型フリード、実用的なモノとしてのカッコ良さが出ている気がします。従来型の万人受けしそうな凡庸なデザインを考えれば、新型は適度に個性的。内外装の仕上がりもいいし、視界も使い勝手も文句ナシです。個人的には遊び心のある『クロスター』のほうに魅力を感じますが、5ナンバー車サイズに収めてほしかったと思います。そこが残念ポイントですね」
うーむ、実用的なモノとしてのカッコ良さか。確かに新型フリードのデザインは「ステップワゴン」に続く超シンプル路線。私もステップワゴンの「エアー」はすごくキレイで「レンジローバー」みたいだと思っているが、フリードはなんかちょっと質感が足りないと思っている。でもサクライ君は絶賛。なるほどぉ。
現在家族のためのクルマ購入を検討中で愛車が子供乗せ電動ママチャリのwebCG関氏のコメント。
「欲しいです。独自路線のシンプル&クリーンなデザインがナイス。しかも内装はキズや汚れに強くて◎。新型は2列目キャプテンシートが自慢とのことですが、3列目の広さも印象的で、正直驚きました。これでトヨタ車みたいに軽~く跳ね上がったら言うことナシです」
シンプル&クリーンなデザインがナイスなのね。ふたりともデザインに引かれてるんだね。しかし不思議なのは、同じシンプル&クリーン路線のステップワゴンは販売不振なのに、フリードは受注好調という点だ。ステップワゴンクラスはオラオラ顔じゃないとダメで、フリードクラスはシンプル&クリーン路線が吉なのか。コンパクトミニバンを選ぶのは都会派で知性派、ステップワゴンクラスは地方のヤンキー層が中心だから?
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車いす仕様車が地味にスゴイ
2000年式「ダッジ・バイパー」と1998年式「トライアンフ・サンダーバードスポーツ」で六輪生活を送るwebCG堀田氏のコメント。
「幸せ家族のクルマに用はない。アメ車かクロカンで出直してきてください」
このコメントは無視で。
結局、3人中2人のカーマニアが、フリードのシンプルでクリーンなデザインに引かれ、「中身もイイ」みたいなことで支持していることがわかった。webCG読者さまもだいたい同じなのだろう、たぶん。
かくいう私も、一台のフリードには大いに感心した。それはフリード クロスターの車いす仕様車「クロスター スロープ」! なにしろ私は「ダイハツ・タントスローパー」のオーナーだ。スロープ付きならまかせろって感じだが、そんな私をしても、フリードのスロープ付き介護車はすばらしかった。
実は私、車いすに乗った状態でスロープ付きの介護車に乗車したことはありません。なぜって、タントスローパーは持ってるけど、車いすを持ってないからです。
ところがフリードの試乗会には車いすが用意されていて、それに座って介護してもらいながら、フリード クロスター スロープに体験試乗できた。それはまさに初体験。「ええっ、こんなに快適なの!?」と仰天しました。
フリード クロスターの車いす仕様車は、1列目・2列目シートを出したまま、その後ろの3列目相当部分に車いすを固定できる。これがまずスゴイ。ライバル車「トヨタ・シエンタ」の車いす仕様車には全然できない芸当だ。しかも車いすは全幅中央に固定されるので、前方視界がとってもイイ! サスがフンワリしてるから後方でも快適。早く介護されてみたいとすら思った。
このクルマ、まだ介護の予定がなくても、自転車とかを積むのにとっても便利だから、普通に買って後悔ナシ! 介護車両なので消費税非課税! んで老後に備えられる! カーマニアの最後を飾るのにピッタリかも! ピンポイントで刺さりました!
でも、タントスローパーからわざわざ買い替えたいとは思わなかった。やっぱり介護車両を買うのは、できれば生涯一度きりにしたいので。
(文=清水草一/写真=清水草一、トヨタ自動車/編集=櫻井健一)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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