-
1/18デビューとともに話題沸騰中の「レクサスLBX」。抑揚のあるそのデザインは、素晴らしいものなのか? それともちょっとやりすぎか?
-
2/18「LBX」を俯瞰(ふかん)で見たところ。ショルダー部は複数のキャラクターラインが斜めに走っているだけでなく、リアドアパネルまでボディーを絞り、そこからボンと膨らませているのだ。
-
3/18抑揚のあるショルダー部の造形に対し、車体下部のデザインはいたって普通。「トヨタ・クラウン スポーツ」などと比べると、かなり基本に忠実だ。
-
4/18新しいフロントマスクのコンセプト「ユニファイドスピンドル」が用いられた「LBX」の顔まわり。フロントグリルの格子とバンパー側の模様に連続性を持たせた“シームレスグリル”と、低く構えたフードの組み合わせで、「低重心で見ごたえある存在感」を表現しているという。
-
5/182023年9月の「LEXUS SHOWCASE」より、「LBX」(写真向かって右)と「LM」(同左)と、レクサスインターナショナルの渡辺 剛プレジデント。「ユニファイドスピンドル」は、今後さまざまな車種に取り入れられていくようだ。(写真:荒川正幸)
-
レクサス の中古車webCG中古車検索
-
6/18横浜の市街地を行く「LBX」の図。
ほった「光の具合もあって、ショルダー部のベクトルの変化がわかりやすいですね」
(写真:向後一宏) -
7/18光の加減や背景の映り込みもあって、屋外で見るとボディーパネルのうねりやキャラクターの向きの変化が、よりわかりやすい。(写真:向後一宏)
-
8/18「レクサスLBX」のデザインのキモである、リアフェンダーの張り出し。抑揚のあるデザインを実現するため、LBXは同じ「GA-B」プラットフォームのSUV「トヨタ・ヤリス クロス」より、60mmも全幅が大きい。(写真:向後一宏)
-
9/18「レクサスLBX」と同じBセグメントのコンパクトSUV「マツダCX-3」。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm(一部のモデルは全幅=1780mm)と、LBXよりやや全長が長く、全幅が狭い。(写真:荒川正幸)
-
10/18「マツダCX-3」のリアクオータービュー。
清水「これでもまだ抑揚が足りないと申すか!?」
ほった「コンパクトSUVだからこれで十分ではあるんですけど、『レクサスLBX』の場合は、高級車ですからね」
(写真:向後一宏) -
11/18「マツダCX-3」(上)と「レクサスLBX」(下)のサイドビュー。ルーフラインやCピラーの処理、やや立ち気味のAピラーなど、両車のデザインには共通する部分が少なくない。
-
12/18プロポーションにおける「レクサスLBX」と「マツダCX-3」の大きな違いは、やはりリアフェンダーの迫力だ。この写真と、本稿1ページ2枚目の写真を比べればわかりやすいが、スポーツカーばりにフェンダーが張り出したLBXに対し、CX-3のそれは実に控えめだ。
-
13/18清水「わかったかねほった君! コンパクトSUVがこんなプリプリしたお尻である必要はないのだよ!」
ほった「そんなビンボーくさいこと言っててどうすんですか。これ、レクサスですよ?」 -
14/18適度な包まれ感のある「LBX」のインテリア。他のレクサス車と比べるとデザインはいたってシンプルで、奇をてらったところはない。
-
15/18包まれ感を強調するインテリアのキモのひとつが、助手席側のダッシュボード。ご覧のとおり“下を向いている”のだ。
-
16/18「LBX」(左ハンドル仕様)の助手席の写真だが、ここではダッシュボードの“横顔”のほうにご注目。張り出しがほとんどなく、面が下を向いているのがよくわかる。
-
17/18既述の助手席側ダッシュボードの“向き”に加え、ダッシュボードとドアトリムのオーナメントには連続性がもたされており、またドア側のインナーパネルには十分な“迎え”の量が確保されている。両者が曲面でひとつながりとなったように見せることで、内装の一体感、車内の包まれ感を強調しているのだ。
-
18/18コンセプト、エクステリア、インテリアを総合的に見ても、高いレベルにある「レクサスLBX」。好き嫌いがハッキリ分かれる意匠ではあるが、「デザインがいいクルマ」と評すべき一台なのは間違いないだろう。

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
レクサス の中古車webCG中古車検索
カーデザイン曼荼羅の新着記事
-
第85回:ステランティスの3兄弟を総括する(その3) ―「ジープ・アベンジャー」にただよう“コレジャナイ感”の正体― 2025.9.17 ステランティスの将来を占う、コンパクトSUV 3兄弟のデザインを大考察! 最終回のお題は「ジープ・アベンジャー」だ。3兄弟のなかでもとくに影が薄いと言わざるを得ない一台だが、それはなぜか? ただよう“コレジャナイ感”の正体とは? 有識者と考えた。
-
第84回:ステランティスの3兄弟を総括する(その2) ―「フィアット600」からにじみ出るデザイナーの苦悩― 2025.9.10 ステランティスの未来を担う、SUV 3兄弟のデザインを大総括! 2回目のお題は「フィアット600」である。共通プラットフォームをベースに、超人気車種「500」の顔をくっつけた同車だが、その仕上がりに、有識者はデザイナーの苦悩を感じ取ったのだった……。
-
第83回:ステランティスの3兄弟を総括する(その1) ―「ジュニア」に託されたアルファ・ロメオ再興の夢― 2025.9.3 ステランティスが起死回生を期して発表した、コンパクトSUV 3兄弟。なかでもクルマ好きの注目を集めているのが「アルファ・ロメオ・ジュニア」だ。そのデザインは、名門アルファの再興という重責に応えられるものなのか? 有識者と考えてみた。
-
第82回:革新のネオレトロ(後編) ―未来より過去のほうがカッコいい? トレンドを席巻する懐古デザインの行く先― 2025.8.27 その流れはスーパーカーの世界にまで! 今やカーデザインの大きなトレンドとなっているネオレトロ。この潮流はどのように始まり、どこへ向かおうとしているのか? もはやユーザーは新しいものに興味がないのか!? 有識者と、温故知新のその先について考えた。
-
第81回:革新のネオレトロ(前編) ―「フォルクスワーゲンID. Buzz」にみる“いいレトロデザイン”の条件― 2025.8.20 かの「フォルクスワーゲン・ニュービートル」の誕生から四半世紀が過ぎ、すっかりカーデザインのトレンドとして定着したネオレトロ。普通のクルマとは、ちょっと評価軸の違うそのデザインのよしあしは、なにで決まるのか? 最新作「ID. Buzz」を題材に考えた。
新着記事
-
NEW
数字が車名になっているクルマ特集
2025.10.1日刊!名車列伝過去のクルマを振り返ると、しゃれたペットネームではなく、数字を車名に採用しているモデルがたくさんあります。今月は、さまざまなメーカー/ブランドの“数字車名車”を日替わりで紹介します。 -
NEW
カタログ燃費と実燃費に差が出てしまうのはなぜか?
2025.9.30あの多田哲哉のクルマQ&Aカタログに記載されているクルマの燃費と、実際に公道を運転した際の燃費とでは、前者のほうが“いい値”になることが多い。このような差は、どうして生じてしまうのか? 元トヨタのエンジニアである多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
MINIカントリーマンD(FF/7AT)【試乗記】
2025.9.30試乗記大きなボディーと伝統の名称復活に違和感を覚えつつも、モダンで機能的なファミリーカーとしてみればその実力は申し分ない「MINIカントリーマン」。ラインナップでひときわ注目されるディーゼルエンジン搭載モデルに試乗し、人気の秘密を探った。 -
なぜ伝統の名を使うのか? フェラーリの新たな「テスタロッサ」に思うこと
2025.9.29デイリーコラムフェラーリはなぜ、新型のプラグインハイブリッドモデルに、伝説的かつ伝統的な「テスタロッサ」の名前を与えたのか。その背景を、今昔の跳ね馬に詳しいモータージャーナリスト西川 淳が語る。 -
BMW 220dグランクーペMスポーツ(FF/7AT)【試乗記】
2025.9.29試乗記「BMW 2シリーズ グランクーペ」がフルモデルチェンジ。新型を端的に表現するならば「正常進化」がふさわしい。絶妙なボディーサイズはそのままに、最新の装備類によって機能面では大幅なステップアップを果たしている。2リッターディーゼルモデルを試す。 -
ランボルギーニ・ウルスSE(後編)
2025.9.28思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「ランボルギーニ・ウルスSE」に試乗。前編ではエンジンとモーターの絶妙な連携を絶賛した山野。後編では車重2.6tにも達する超ヘビー級SUVのハンドリング性能について話を聞いた。