第42回:最新ディーゼル4台イッキ乗り!
Sクラスのディーゼルハイブリッドは高い!? 安い!?
2017.05.23
カーマニア人間国宝への道
ディーゼルはここまで静かにできる!
最新ディーゼルをイッキに4台試乗の掉尾(とうび)を飾るのは、ディーゼルの頂点に君臨する(と思われる)、「メルセデス・ベンツS300hエクスクルーシブ」。コイツはスゲエぜ!
排気量は2.2リッターで、同日試乗した「GLC220d 4MATICクーペ スポーツ(本革仕様)」と同じだが、最高出力は170psから204psに、最大トルクは400Nmから500Nmへとアップ。そこに27ps/250Nmの電気モーターが加わる。電気モーターって27psしかなくても、ディーゼルの半分のトルクあるんだね~。あらためて感心。
で、その乗り味はといいますと、さすがに頂点! スゲエとしかいいようがない。
乗り心地が極上なのは「Sクラス」の素性なので措(お)くとしても、音も振動もほとんどゼロ! ゼロは言い過ぎだけどゼロに感じるくらい小さい!
走行中、耳を澄ますとかすかにカラカラ音が聞こえるが、それも角が丸まったまろやか~なもので、むしろ心地いいくらいだ。ディーゼルはここまで静かにできるのか!
どうしてこんなに静かなのかと申しますと、メルセデスのリリースには特に技術的なことは書いてないのですが、遮音材やエンジンマウントなど、基本的なところで徹底的に対策してるっつーことでしょう。やっぱものごとは基本が大事やね。
まさにディーゼルドリーム!
ハイブリッドなので当然アイドリングストップするが、発進の時アクセルを踏んでも「ブルン」という再始動がなく、モーターのみでしずしずと動き出すのもとっても甘美。「プリウス」と同じだろ! と言われれば同じですが、さすがにプリウスよりかなりお高いクルマだけに、その静粛性・快適性はケタはずれで、それだけで猛烈に気持ちイイのだ。
このおクルマ、どれくらいお高いのか?
1283万円だそうです。
や、安い!
これは安いッス! GLC220dの775万円は高いと思ったけど、S300hエクスクルーシブの1283万円は安い!
そりゃまあ、Sクラスとしては速さはそれほどでもない。全般に穏やかなセッティングが施されていることもあり、こんだけトルクがあっても、V8やV12ツインターボの「グワ~!」という迫力には負ける。もちろん各種「AMG」にも断然負ける。
でも、3000万円以上のモデルもあるSクラスで、これだけ猛烈に高級感満点で装備も満載で、たったの1283万円ってのは激安じゃないか! しかも、「エクスクルーシブ」じゃないただの「S300h」なら、たったの998万円! 思わずツルシで1台欲しくなった! だってトロットロに気持ちいいクルマなんだもん!
燃費だってJC08モードで20km/リッター前後。ロングドライブならマジで20km/リッターを超える。夢のようなクルマだ……。
これはまさにディーゼルの夢。ディーゼルドリームだ!
10年後にまた会おう
ということで、今回4台の最新ディーゼルに乗らせていただき、自分のいくべき道が見えてきました。単に次に買うべきディーゼル車が絞られただけですが、カーマニアなんてそんなもんです。底の浅い人生で申し訳ありません。
当面の狙いは、「プジョー308SW BlueHDi」か、「BMW 320dツーリング」の中古。いや、308の自動ブレーキが今の「ついてないよりマシ」程度から進歩すれば、新車を買ってもいい!
ディーゼルは日進月歩の技術につき、最新モデルに魅力があるし、自動ブレーキ系も同様です。そろそろ自分の運転(というか脳)に自信がなくなってきていることもあって、たまにしか乗らないフェラーリはABSもパワステもなんもついてなくていいけど、普段の足は最新装備が欲しいです。
で、たとえば10年後。65歳のジジイとなった頃に、メルセデス・ベンツS300hエクスクルーシブを買う! 10年10万km落ちくらいのを。
その頃、果たしておいくらで買えるか?
試しに、日本におけるクリーンディーゼルの草分けである、「メルセデス・ベンツE320CDI」の中古車相場を検索してみた。
おお! 10年10万kmのタマが、支払総額99万円からあるやんけ!
そこから類推するに、10年後なら、S300hエクスクルーシブも150万円くらいで買えるはず。200万円出せば上ダマがゲットできるだろう。
うおおおお、人生が楽しみになってきた! 年を取るのも悪くないネ。
(文=清水草一/写真=池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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