第99回:同業者最速(!?)ジムニー試乗
2018.07.17 カーマニア人間国宝への道カッコイイぞ! ジムニー
新型「ジムニー」はチビ「Gクラス」でオッケー! という原稿を先日書きましたが、アレを執筆した時点では、まだ実車を見ておりませんでした。
で、新型ジムニーが正式発表になったのは7月5日。
ところが私は、その前日に実車を見ることができてしまった! 「クラウン」と「カローラ スポーツ」の試乗会の帰路、首都高湾岸線を走っていたところ、偶然、ジムニーと「ジムニーシエラ」を載せたカーキャリアに遭遇したのです!
「あれ、新型ジムニーじゃないですか?」と、最初に気づいたのは、カメラマンの池之平昌信氏でした。さすがカメラマンは目が命。
よく見りゃそこには確かに、猛烈に四角いクルマが。おお、あれはまさに新型ジムニーとジムニーシエラ! まさしくチビGクラス!
「カッコイイ~~~!」
「カッコいいね!」
「これはいいですね~」
車内の一同、感嘆の声を上げました。
偶然、正式発表前日に見られたという一期一会感もあり、初めて見るジムニーは、チビGクラスというより濃縮Gクラスで、確かにメチャメチャカッコよく見えた。
明日の発表会には行けないけど、クルマは自然光の下で見てナンボ。今度の週末には、近所のディーラーに行ってみよう。そう心に決めました。
ディーラー試乗へGO!
7月7日土曜日、七夕&「RX-7」の日。私は近所のスズキディーラーへ、愛車のエリート特急号こと「BMW 320d」で乗り込みました。
ディーラー前の屋外に置いてあったのは、グレーのジムニーでした。オーバーフェンダー付きのシエラのほうが、よりGクラスっぽくてカッコよかったけど、税金の安さなどを考えたら、やっぱ本命はジムニーだし、これでも十分カッコいい。
いや、それよりまずデカく見える。「これが軽?」というくらい。
全高は軽ハイトワゴンの「スペーシア」あたりのほうが高いけど、その差は6cm程度。ジムニーは最低地上高が高い分、十分背が高い上に、キャビン上部の絞り込みがほとんどなく、逆に雨どい部分が外に張り出している分、大きさ感が非常に高まっておりまして、実物はチビGクラスというより、Gクラスのちょい小さい版程度なのでした。
というわけで、実物をいち早く自然光の下で見ることができただけで、大満足だったのですが、営業マン氏が「試乗できますよ」と言ってくれるではありませんか。メディア向け試乗会は月末頃の予定なのに、まさかこんなに早く試乗できるとは!
ディーラー指定の市街地コースではありますが、私は同業者の中ではたぶん一番早く(?)、新型ジムニーに試乗することができたのです。まぁ誰だってディーラーに行けば乗れるんだけど。
乗り心地はイイけど……
試乗車は4段AT仕様。ジムニーのエンジンは、全車660㏄のターボ付き(64ps)です。
まず感じたのは、乗り心地が猛烈にイイ! ということ。実はワタクシ、先代ジムニーに乗ったのは昔すぎて、まったく記憶がないのですが、とにかく新型は乗り味がすんごくソフトでストローク感たっぷりだ。リアがハネるなんてことはまったくない。ほとんど「ハスラー」と変わらないレベル。
しかし、加速はハスラーよりかなり悪い。ターボが付いてて遅いと感じる軽は久しぶりでしたが、原因は車重が1tを超えていることと、CVTではなく4段ATを使っていることにあるでしょう。やっぱ今の軽のCVTって、軽のトランスミッションとして極限の効率を実現してるんだよね。トルコンATになった途端、ガックリ遅くなる。それは4段ATの軽トラや軽バンに乗っても実感する。
しかしまぁ、これを遅いと感じるマニアは、迷わず5段MTを選べば良し。恐らくスズキは、CVTの効率よりも、トルコンATの耐久性を取ったのでしょう。国内外問わずプロユースも多いジムニーですから、それはそれで納得です。欲を言えば、ゲタ的に使うヒト向けに、CVTバージョンもあったらなぁとは思うけど。
最後に、見積書をいただきました。
ジムニーXC 4AT パートタイム4WD スズキセーフティサポート付きで、車両本体188万4600円、オプション28万0752円、諸費用15万4914円。
総額232万0266円!
う~~~~~ん……。
昨年買った我がエリート特急号こと3年落ち「BMW 320d」は、総額255万円だった。取りあえず今日のところは、エリート特急号の勝ちと判定して、スズキディーラーを撤退した私でした。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。