ますます現実味を帯びてきた!
「CES 2019」に見る自動運転テクノロジー
2019.01.11
デイリーコラム
もう夢物語ではない
オートノマス(自動運転)なんて、あたりまえ。問題はその次だ。何ができて、そのためには何が必要なのか? 世界最大級のエレクトロニクスとITの見本市「CES 2019」では、その課題にリアルに向かい合う、地に足のついた展示が目立った。
今回、驚いたのは自動車メーカーもサプライヤーも「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)向けの箱型の自動運転EV」だらけだったということ。メルセデス・ベンツを筆頭に、コンチネンタル、ボッシュ、ZF、シェフラー、デンソー、アイシン、ヤマハ、キア、パナソニックなどのブースには、それぞれの技術を駆使した箱型EVが並んだ。走るだけではない、その先の提案である。
それらのコンセプトカーの多くは、オンデマンドのエンターテインメントやオンラインショッピングといったさまざまなサービスを提案するものであり、それを実現させるための技術を展示するものとなっていた。
このうちヤマハは、「Public Personal Mobility(PPM)」と名付けられた自動運転のデモを実施した。ただし、そのプロダクトは、20km/h程度で走るゴルフカート。低速自動走行車による移動サービスで、カメラや地面に埋め込んだマーカーを頼りに決まったルートを走るという内容だった。
「LiDAR(ライダー)は高すぎる。しかし、普及して安くなるのを待っていたら遅すぎる。低速で、走る場所が限定されれば、自動運転の実用化は可能なのです」とヤマハの開発者は語る。200km/hではなく、20km/hであれば安全に安価に自動で走ることができる。社会的なコンセンサスも得られやすいし、事業性も高いというのだ。日本各地で実証実験を繰り返してきたヤマハだからこその説得力ある提案だ。
周辺技術の向上もマスト
一方、新型の自動運転実験車「TRI-P4」を公開したトヨタは、プレスカンファレンスを実施したのみだったが、自動運転の公道テスト中のもらい事故の動画も公開。そのうえで、事故を避けるための「ガーディアン」と呼ばれる新たな運転支援技術を紹介した。このガーディアンは戦闘機の制御技術にヒントを得たもので、ドライバー(人間)が常にクルマをコントロールすることを前提に、事故の瞬間が迫ってきたときにはドライバーによる操作と協調しつつ正確に事故を回避するという。
ヴァレオもレベル3での自動運転中にドライバーが病気などで意識を失ったときに、遠隔地の管理者がリモートコントロールでクルマを安全に停車させるデモを行った。「自動運転中にどう安全性を確保するか」という、よりリアルなアクシデントを想定した技術開発を進めていたのだ。
興味深いのは、自動運転技術ではマストアイテムとなるカメラである。CES 2019の会場では、その表面の汚れを落とす技術が、クラリオンやヴァレオなど複数のサプライヤーから提案されていた。地味ではあるが、カメラの汚れや雨の水滴を除去する技術も、自動運転の実現には必須なのだ。
ほかにも、より高機能な運転支援を実現させるためのCPUとソフトをNVIDIA(エヌビディア)が発表。シェフラーのブースには箱型EVを実現させるインホイールモーターのサスペンションが展示された。
デンソーは、自動運転におけるコネクテッド環境をより安全に確立するための「モビリティIoTコア」という技術を、アイシンは顔認識機能を活用して乗員の疲れを癒やすマッサージ機能などを提案。さらにマグナが、ロングドライブから自動運転中までシートアレンジが変化する機能を紹介。ドライバーをモニタリングするシステムの展示も、会場のあちらこちらで確認することができた。
つまり、クルマを自動で走らせるための基本的な技術には目鼻がついているのだ。あとは周辺技術だけ。自動運転の実用化に向けて、世の中は一歩一歩前進している。そう感じたCESの取材だった。
(文と写真=鈴木ケンイチ/編集=関 顕也)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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